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Ryzen Threadripper 3990Xの64コアを使うアプリもわかった! サイコム最強のデュアル水冷BTO PCをガチ検証する!

2020年02月27日 19時00分更新

 メニーコア化で最大性能を積み上げているRyzenシリーズだが、その中でもエンスージアスト向けとなるのが「Ryzen Threadripper」シリーズだ。メインストリームとなるソケットAM4とは形状の異なる、ソケットTR4を採用して登場したシリーズで、第1世代では最大16コア/32スレッドとなる「Ryzen Threadripper 1950X」が登場し、同クラスのCPUが見当たらないといっても過言ではないほど、ひたすら圧倒的な性能を見せつけたのが記憶に強く残っている。

加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 1950Xのレビュー記事から。4つのコアを1組とし、Infinity Fablicで2組接続しているのがCCX。このCCXを2つ接続することで、16コアを実現していた

 これが第2世代となると、さらにコア数が増加。32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper 2990WX」の性能は暴力的ともいえるものだった。タスクマネージャーの論理コア表示がグラフではなく数値のみとなることを知ったのも、このCPUだったという人は多いことだろう。

こちらも加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 2990WXのレビュー記事から。64スレッドというのがすでに圧巻だが、タスクマネージャーの表示がグラフではなく、負荷率の数値だけになるというのが新鮮だった

 そして第3世代ではアーキテクチャーがZen2へと進化。ソケットもsTRX4へと変更されており、互換性はなくなっている。大きな変更点は、メモリーコントローラーを独立化したことだろう。これにより、第2世代で問題視されていたメモリーアクセス時のハンデが解消され、どのコアからも高速なアクセスが可能になった。

 また、PCI Expressが3.0から4.0へと高速化されたほか、チップセットとCPU間のレーン数が2倍に強化されたことにより、ボトルネックが解消されているというのも大きい。

 先に登場したのは、32コア/64スレッドの「Ryzen Threadripper 3970X」だ。コア数が変わっていないだけに第2世代からそれほど性能上昇はないと考えてしまいがちだが、Zen2でIPC(クロック当たりの処理命令数)が大きく改善されたこと、さらに先に述べたようなボトルネックの解消などにより、実際の性能はCINEBENCH R20のスコアーでRyzen Threadripper 2990WXの約1.5倍となっていた。

同じく加藤勝明氏によるRyzen Threadripper 3970Xのレビュー記事から。ライバルを圧倒するのは当然として、同じRyzen Threadripperの第2世代すら寄せ付けない圧倒的な強さに目を奪われる

 BTOパソコンを扱うサイコムはハイエンドPCに力を入れており、新しいRyzen Threadripperが登場するたび対応モデルをリリースしている。過去にレビューで紹介した「G-Master SLI-X399A」(Ryzen Threadripper 1950X)、「Aqua-Master X399AII」(Ryzen Threadripper 2990WX)、「G-Master Hydro TRX40 Extreme」(Ryzen Threadripper 3970X)などを見てもらえれば、その意気込みが伝わるだろう。

 すでにRyzen Threadripper 3970Xでライバル不在といっていいほどの強さを見せていたのだが、今年の2月頭に解禁された「Ryzen Threadripper 3990X」では、さらにコア数が増加。なんと、倍となる64コア/128スレッドを実現しているのだ。

 当然、これを見逃すサイコムではない。先日レビューした「G-Master Hydro TRX40 Extreme」のBTOメニューに、この最新CPUが追加されていたので、BTOパソコンの特徴をおさらいしつつ、性能をチェックしていこう。

64コア128スレッドとなるRyzen Threadripper 3990X。当然ながら見た目は同3970Xと変わらないが、コア数は単純に2倍になっている

「CPU-Z」を使い詳細情報を表示したところ、64コア/128スレッドというのが確認できた。「Max TDP 280.0W」という、若干不安になる数字も見えている

「G-Master Hydro TRX40 Extreme」は
360mmラジエーターの水冷クーラーを装備したハイエンドCPU向けモデル

 今回試用した「G-Master Hydro TRX40 Extreme」の特徴は、何といってもCPUにRyzen Threadripper 3990Xを採用していること。正直なところ、64コア/128スレッドとなるこのCPUのライバルとなるものが見当たらず、ある意味孤高の存在となっている。

ケースはシンプルながらも高級感のあるFractal Design「Define S2 Black TG」。側面はガラスパネルとなっている

 さらに、CPUとビデオカードの両方に水冷クーラーを採用しているデュアル水冷モデルだというのも見逃せないポイントだ。特にCPUクーラーは、サイコムのオーバークロックモデルなどでも実績のあるFractal Designの「Celsius S36」。360mmという大型のラジエーターを備えた製品で、TDPが280Wと高いRyzen Threadripper 3990Xを冷却するのにぴったりなクーラーだ。

360mmのラジエーターはフロントに装備。冷たい外気で何よりもCPUを優先して冷却するという、こだわった配置になっている

CPUへ固定するウォーターブロックはポンプ一体型。CPUの熱を液体へと移動し、ラジエーターで強力に冷却してくれる

 ビデオカードは水冷化にASETEKの水冷ユニットを使用しているほか、カバーの加工まで独自に行っている。手間のかかる作業だが、こういった部分までこだわって組み立てているというのがサイコムらしさといえるだろう。

120mmラジエーターを採用した水冷ビデオカード。試用したモデルにはGeForce RTX 2070 SUPERが搭載されていたが、高負荷時でも騒音が小さいのがメリットだ

 第3世代RyzenからはPCIe 4.0に対応しているということもあり、当然ながら「G-Master Hydro TRX40 Extreme」でもPCIe4.0対応のSSDを選択できる。

 マザーボードのASUS「PRIME TRX40-PRO」では、ビデオカードの下側に2つM.2スロットを用意。ここに大きなヒートシンクが標準で装備されており、高速なSSDをしっかり冷却できるような構成となっているのがありがたい。

ビデオカードとヒートシンクを外してみたところ。2つのM.2スロットがあり、どちらもPCIe4.0に対応している

ヒートシンクを取り付け、ビデオカードも挿した状態。ヒートシンクの上半分ほどが隠れてしまっているが、冷却性能には影響ない

 大型のラジエーターなどもすべて内蔵しているだけに、ケース内はギチギチな状態になっているように思ってしまうが、内部を見ると意外とスペースに余裕があることに気づく。

 これは、M.2 SSDを採用してケーブル類を必要最小限に抑えているというのもあるが、裏配線を多用するサイコムの組み立て技術に寄るところが大きい。これによりエアフローが改善され、ケース内温度の上昇が抑えられるため、安定した動作を実現しているわけだ。

目立つものといえば、水冷クーラーのチューブとビデオカードの電源ケーブル程度。空気の流れを阻害するジャマなケーブルは一切ない

 ケースの内部に余裕があるのはいいが、せっかくのタワー型なのにドライブベイがほとんどなく、HDDやSSDの増設がしづらいと感じた人も多いだろう。だが安心して欲しい。ドライブベイは逆サイド側にしっかり用意されている。

 サイドパネルを外すと、3.5インチベイ×3、2.5インチベイ×2が使えることがわかる。タワー型PCとしては数は少ないものの、通常使用しても1つか2つ程度。5つものストレージが使えるのであれば、まず困ることはない。

マザーボードの裏側となる逆サイドに、ドライブベイを装備。3.5インチ×3、2.5インチ×2のベイが利用できる

 「G-Master Hydro TRX40 Extreme」の特徴をざっと紹介してきたが、高性能CPUを搭載するにふさわしい構成となっていることは間違いない。続いて簡単に性能をチェックしてみよう。

試用機の主なスペック
機種名 G-Master Hydro TRX40 Extreme
CPU Ryzen Threadripper 3990X
グラフィックス GeForce RTX 2070 SUPER(サイコムオリジナル水冷静音仕様)
メモリー 128GB(16GB×8、DDR4-3200)
ストレージ 1TB SSD(M.2接続、CSSD-M2B1TPG3VNF)
マザーボード ASUS PRIME TRX40-PRO
PCケース Fractal Design Define S2 Black TG
電源 Corsair RM850x(850W/80PLUS Gold)
OS Windows 10 Home(64bit)
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