週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

熊野神社:五角形と八咫烏に”らしさ”を感じる安倍晴明ゆかりの都内の神社

2024年04月19日 12時00分更新

 御朱印集めが趣味の私。とはいえ、ただ神社仏閣を訪れるだけではもったいない。せっかくなら健康促進も兼ねて、目的の神社仏閣の最寄り駅のひと駅手前で下車。散策しながら、周辺の街の魅力も織り交ぜながら御朱印旅に励みます。題して「ひと駅手前から歩いて行く神社仏閣1万歩の旅」──第2回は東京・立石の「熊野神社」を訪れました。

きっかけは大河ドラマ「光る君へ」

 平安時代中期の999年~1003年に創建された熊野神社。陰陽師の安倍晴明が勧請したという、葛飾区内最古の神社です。今私は大河ドラマ「光る君へ」にハマっていて、「都内にも安倍晴明ゆかりの神社があるの!?」と驚き、このたび訪ねてみることにしました。

「青砥」の一つ手前は「京成立石」

晴れの日を狙って上陸

 熊野神社の最寄りは京成電鉄青砥駅ということで、ひと駅手前は京成立石駅。駅前の立石仲見世にはお肉屋さんや八百屋さんなどが並ぶ中、ひときわにぎわっていたのが立ち飲み屋さん。外で順番を待つお客さんが多かったので、後ろ髪を引かれる思いで通り過ぎます…。

味のある仲見世商店街。買い物や昼飲み目当てらしきお客さんが歩いていました

芋ようかんで有名な「舟和」唯一ののれん分け店

 仲見世から1本横道に逸れたところに「舟」の看板を発見しました。よく見ると「舟和」と書いてあります。こちらは芋ようかんで有名なあの「舟和」ののれん分け店で、食事メニューが充実している様子。

「酒」ののぼりが立石感あります。「舟和」で飲めるイメージはなかったなあ

喫茶メニューは「舟和」っぽい。ランチもお酒もある

 ランチが気になったのですが、おなかの空き具合から「舟和セット」をオーダー。芋ようかんはほんのり温かく、ホクホクしていて美味。あんこ玉は甘さ控えめの粒あんです。苦みのある抹茶とよく合います。

「舟和セット」(¥770)

「おとなセット」のお抹茶ハイにだいぶ心を動かされました。おいしそう

きしめん、焼きそば、ナポリタン…。おでんもあるな…

甘味メニューはなじみのあるラインアップ。隣の席のお客さんに「クリームあんみつがおすすめですよ」と話しているお店の方の声が聞こえてそれも気になってくる

舟和
住所:葛飾区立石1-18-10
公式サイト:https://www.instagram.com/tateish_funawa/

『キャプテン翼』の聖地でもあり、おもちゃの聖地でもある

 青砥駅方面に向かう途中で、『キャプテン翼』の銅像を見つけました。原作者の高橋陽一先生が葛飾区の出身ということで、四つ木から立石エリアにかけて全部で9体の像が設置されています。

主人公の大空翼。ヒールリフトでライバルの日向小次郎を抜き去るシーンでしょうか ©高橋陽一/集英社

翼のライバルの一人、ゴールキーパーの若林源三。背景にはゴールネットも描かれています ©高橋陽一/集英社

 ところで、私は10年くらいデザインマンホールの写真を撮り続けているので、わりと足元を見て歩いています。横断歩道の先に何かあるな…と思って近付くと、トミカのマンホールでした。タカラトミーの社屋が葛飾区にあるということで、6種類のマンホールが設置されています。

最初に見つけたマンホール。トミカ誕生50周年を記念して設置されたそう

トミカとリカちゃん。この2つは青砥駅の近くにあります © TOMY

熊野神社に向かう前に、コーヒーでひと息

このあたりは高架が多くて楽しいエリアですね。上を見たり下を見たりと目線が忙しかったです(笑)

 ここでいい感じのコーヒー屋さんを見つけたので寄り道することに。「TOHO COFFEE」は、もともと立石で営業しており、青砥駅近くに移転して今年で7年目を迎えるんだそう。メインはコーヒー豆販売ですが、店内のカフェスペースでコーヒーやスイーツを楽しむことができます。私がひと息入れている間、豆を購入しにお客さんが訪れていました。

「本日のホットコーヒー」はモカ(Mサイズ ¥280)。メニューや価格は変わる可能性があります

よく見ると入口左手の看板や右手の鎖樋(鎖状の雨樋)がコーヒーカップ型!

TOHO COFFEE
住所:東京都葛飾区青戸3-41-11
公式サイト:https://www.instagram.com/toho.coffee/?igsh=ZGR6c2NicWhmZjlt&utm_source=qr

いよいよ安倍晴明ゆかりの熊野神社へ

 熊野神社は平安時代中期、安倍晴明が勧請して創建されました。陰陽師として活躍していた晴明は、当時厚く信仰されていた和歌山・熊野の地で修行を行い、その後聖地を求めて旅をする途中でこの立石を選定し、熊野大神を鎮座させたといわれています。

 平日の15時頃に訪れると、大鳥居のあたりで野菜の直売が行われていたり、数人の子どもたちが遊んでいました。ですが境内に入るととても静か。地元と思われる方が数人参拝していました。こぢんまりとした中に、しんとした雰囲気が漂っています。

大鳥居の真ん中に、ご神紋の八咫烏(やたがらす)が。熊野の神様のお使いとされていて、サッカー日本代表のマークとしてもおなじみ

よく見るとあちこちに八咫烏があしらわれています

お賽銭箱に八咫烏の紋。安倍晴明というと五角形、五芒星のイメージがあります

屋根の所にも八咫烏。写真中央あたり、金色の部分です

 宮司の千島俊司さんに話を伺うと、境内は「三十間五角」の形をしているとのこと。三十間とは約55メートルで、一辺が約55メートルの正五角形の形になっているそうです。晴明はこの五角形に結界を張ったともいわれています。

 千島さんは「陰陽道には陰陽五行説(木火土金水)がありますが、そのうちの”水”と”石(金)”の観点からこの地を選定したのではないか」と話をしてくれました。

「ここは近くに中川という川が流れていて、その風景が、晴明公が修行した和歌山の熊野川の風景と似ていたのではないでしょうか。またこのあたりは奈良・平安時代の古代東海道となっていて、”立石様”と呼ばれている石が道標になっていたといわれています。それらが、ここが選ばれた理由なのかなと思っていますがどうなんでしょうね。
歴史がありすぎて当時の文献がなく、なぜ境内が正五角形になっているのか、なぜこの地を選んだのかは謎なんです。先ほど私がお話ししたことも、私がそうなんじゃないかなと思っているだけです。ぜひ自分なりの謎解きをして楽しんでほしいですね」(千島さん)

神社に向かう途中で撮った中川。熊野神社は中川に囲まれています

「立石様」の様子。熊野神社から歩いて5分くらいの「立石児童遊園」の中にあります

古代東海道の道標と考えられること、この地名の由来になったことなどが書かれていました

真ん中の白っぽい石が「立石様」です。説明によると元は高さ60センチメートルほどあったそうですが、お守りとして削られるなどした結果、現在は4センチメートルほどに

熊野神社の本殿。ご神体は「神代の石剣」という石の剣だそう。ご神体は鏡や剣のイメージがありましたが、石でできた剣というのはめずらしい気がします

天井にも八咫烏がたくさん!

外の灯篭にも八咫烏のモチーフがありました

 面白いお話をたくさん聞かせていただいたところで御朱印をいただきました。4月の月替わりの御朱印は、桜が舞い散る可愛らしいデザイン。右上の五角形に熊野神社らしさを感じます。

左下に描かれた馬はポニー。神馬として飼育していて、七五三などで馬車を引くそうです

 安倍晴明に思いを馳せての参拝はとても楽しいものでした。天文学者でもあった晴明にちなんで、新月と満月の夜には夜詣り参拝を行っているので、こちらも大変興味があります。

熊野神社
住所:東京都葛飾区立石8丁目44-31
公式サイト:https://jinjya.kumano-kids.com/

今回の歩数は5,034歩

 京成立石駅から熊野神社まで、5,034歩でした。ひと駅手前から歩いても1万歩には届かないものですね…。平坦な道が多いので、普段そんなに歩かないという方にもチャレンジしやすいコースだと思います。次回はどのエリアを歩こうかな?


文 / 風都ナツメ(LoveWalker編集部)

東北出身。
ゆるく御朱印集めを趣味にしています。その流れで御城印も少しずつ収集中。

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事