kintoneカスタマイズを競う名物企画 今年は若手の台頭と生成AI活用がポイント
kintone show+case unlimited開催!今年は老若男女どころか海外からも登壇
kintoneアプリの関係を魔法のように見える化(Kintone Corporation ベザニスさん)
トリの7番手は、Kintone Corporationのセールスエンジニアであるエライアス・ベザニス(Elias Bezanis)さん。シカゴ出身なので、初の外国籍の登壇。当然、プレゼンの言語は英語になる。
「kintoneの活用事例は無限大」と語るベザニスさんは、さまざまなユースケースを説明。先ほどのデモのようにビデオゲームまでカバーしてしまう。kintoneばかり売っているので、盛り上がってついつい営業トークになってしまう。さて、kintoneシステムを構築する中で、ベザニスさんが感じたのは、アプリを視覚的に表現する必要性だ。
とあるお客さんでは、導入1年でkintoneの社内活用が進み、新たに3部門で活用中。社内で数多くのアプリが作られるようになったが、その反面アプリの関係性やシステムの効率性を把握するのが難しくなってきたという。また、事業が拡大するとともに、サービス連携の必要も出てきた。そのため、連携を検討するパートナーにも、既存システムをきちんと理解してもらう必要がある。
では、kintoneのアプリを見える化するにはどうしたらよいか? この課題を解決すべく、ベザニスさんが作ったのが「kintoneアプリマップ」だ。「kintoneアプリマップを使えば、複雑なアプリ一覧がインタラクティブな関係図に生まれ変わる」とベザニスさんはアピール。検討中のユーザーはkintoneの豊富な機能を信頼しやすくなり、既存のユーザーはアプリの計画や構築が立てやすくなるという。
kintoneアプリマップは、グラフ化したいスペースやアプリを指定すると、アプリ間の関係図を自動的に作成してくれる。重要なフィールドも見やすくなり、グラフ化したいものを指定し、保存したり、出力することもできる。ログインユーザーのアクセス権が適用されるという。
まさに魔法のようにkintoneアプリ同士の関係が見える化されるkintoneアプリマップだが、開発はkintone APIとGoJSライブラリのみ利用。また、階層グラフ描画に関しては、1981年に杉山公造氏が発表した「階層構造の可視化方法」という40年以上前のアルゴリズムを用いているという。
開発に至った課題感、網羅性の高いダイアグラム、設計思想など興味深いトピック満載で、クオリティ的にも製品化を希望したいレベル。すでに米国でも、ここまでkintoneを愛し、ここまでカスタマイズするユーザーがいるのかと思うと、ちょっとうれしくなった。
トップはTEAM K.F.C! 今年も期待を超えてきたカスタマイズ
ここまでのトップはTEAM K.F.C。会場の集計でベザニスさんの点数はトップにおよばず、大作を愉快なプレゼンで魅せたTEAM K.F.Cが優勝に輝いた。ファミコンというキャッチーな見た目ながらも、レガシー扱いされがちな「昭和世代」のIT導入というテーマを扱いつつ、業務システムのガチなゲーミフィケーションにチャレンジしたネタでもあり、改めてよく練られたシナリオだと思った。
毎年このイベントのレポート記事を書き終えると、「来年これ以上のカスタマイズネタ出てくるのかなあ」と心配になるが、毎年のようにこれも杞憂になる。新しい登壇者、新しいテクノロジーの登場で、さまざまなkintoneとの掛け合わせがどんどん生まれてくるのが、このkintone show+case unlimitedのすごいところ。今年は、若手の台頭とChatGPTをはじめとする生成AIの活用が大きなテーマだったと思うが、来年ももっとすごいカスタマイズが見られるに違いない。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう