バルミューダが貫く「シンプル&デザイン」の価値
発表会でバルミューダが強調していたのは「シンプルだから使いやすい。ストレスなく使える」ということでした。実際、購入者がバルミューダ製品でもっとも評価していたのは「シンプルな機能とデザイン性」だということです。
特にオーブンレンジは単機能のレンジと違って「頑張って料理をしないといけないというプレッシャーがある」と言い、オーブン機能はごく基本的なオーブン調理や発酵などに絞った形で採用。簡単にオーブン料理ができるFALCON社製のベイクウエア(耐熱皿)やレシピブックをアクセサリーに用意することで調理の手助けとしています。
そう考えると、多少お金をかけてでもバルミューダを選ぶのは、「操作が簡単でデザインがいいものがほしい人」ということになるのでしょう。
振り返ってみれば、扇風機もトースターも、そして恐らくはスマートフォンも、バルミューダが手がけてきた製品はすべて「シンプルで、デザインがいい」ことを目指したものでした。特にトースター発売時は、昔ながらの機能一辺倒の家電と対照的だったことが思い出されます。
たとえばトースターであれば、バルミューダ製品にとって「パンがおいしく焼ける」のは要素のひとつであり、あくまでも「シンプル&デザイン」こそが最大の価値。そう考えるとバルミューダの価値は、ブランドとして統一されたデザインなのではないかと考えさせられました。
寺尾社長は会見などでよく「バルミューダはデザインの会社ではない」という主旨のことを言っていますが、機能性、操作感、意匠、価格付け、ブランドイメージなどのすべてが一定水準でデザインされていることがバルミューダの価値ということになるのではないかと思います。パフォーマンス単位での評価ができない雰囲気や空気のようなものに価値を見出し、製品企画として追求するというブランド企業としての判断こそが、いわゆるメーカーらしさのないバルミューダの価値であり、強みにつながっていくところなのかもしれないとあらためて感じさせられました。
発表会では、秋ごろふたたびキッチン関連製品を発表するという予告もありました。新製品もやはり「シンプル&デザイン」を核としてくるのでしょう。スマホがなくなり、利益がカツカツになってきた今こそ本業で鮮やかな復活劇を見せてほしいとき。寺尾社長は今後「一般的な生活家電を飛び越えたジャンル」に挑戦するとも会見で話していたので、そのあたりに期待したいところです。
書いた人──盛田 諒(Ryo Morita)
1983年生まれ。6歳児と2歳児の保護者です。Facebookでおたより募集中。
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