プロが撮影する料理写真はボケで立体感を作っている
「ポートレートのぼかし」できれいな仕上がりに
プロが撮影する料理写真では、ボケで立体感を作り出していることが多い。大型ストロボで撮影すればそれなりにメリハリや立体感はあるのだが、心地よい自然光で絞りを開けて=ボケを大きくして撮った写真にはかなわない。2倍以上にズームしたりポートレートモードを使うのは先に書いたが、もっとも仕上がりがきれいなのは上の写真のように「編集」→「ツール」→「ポートレートのぼかし」で後からボカすことだ。
行きつけのバーで、マスターの息子さんが昼間にカフェを始めるというので開店初日に行ってみた。1倍+マクロモードで撮影すると、カウンターにある本棚までくっきり(写真左)。これはこれで店の特徴を表しているが、自信作というあんバタースコーンが目立たない。そこで花のアイコンをタップしてマクロモードをオフ(写真右)
ボケは大きくなったが、背景をさらに整理したいので2倍にズーム(写真左)。これでスコーンが浮かび上がってきた。しかし寒色気味なのが気になる。そこで「編集」をタップすると、「候補」の中に「ウォーム」の項目が。タップすると暖色にシフトしつつ、メリハリもついた。さらに「調整」の最後にある「周辺減光」で、わずかに四隅を暗く落とした
さらに後述する「ポートレートのぼかし」で「ぼかし」を50、「奥行き」を25でさらに背景をボカしてレタッチ完了。周辺減光は主役に視線を誘導させるテクニックのひとつだ(撮影協力:sugeo coffee)
ハンバーガーはスマホで普通に撮ると、ピントの深さゆえにボリューム感が出しにくい
そこで「ぼかし」を最大の100、ピントの合う範囲を決める「奥行き」を25に
さらに「調整」で「色温度」を70、 「シャドウ」を-10、「周辺減光」を10にして仕上げたのがこれ。レタッチだけで雑誌や広告に使えそうなレベルになった
義母から庭の畑で栽培したニンニクが届いたので、ペペロンチーノを作ってみた。ピザやラーメンなど盛りが平らな料理で「ポートレートのぼかし」をかけると、ボケがまだらになることがある。しかしこれくらい盛り付けに立体感があればきれいに効いてくれる
上のペペロンチーノは窓際に面している我が家のキッチンで撮影している。窓際の光はスマホでの料理撮影に最適で、直射日光は当たらないが明るいという状況がベストだ。その柔らかい光を奥から当てることで、立体感やボリューム感、さらには料理をおいしそうに見せる“テリ”を表現できる。仕事で大型ストロボを組んで撮影するときも、料理を時計の文字盤に例えると、10時から2時の方向から光を当てる。
飲食店で写真を撮りたいときは、可能であれば窓際の席や、窓からの光がこちらに向かっている席に座ってみよう。このカレーライスも窓際の席で撮影した(撮影協力:喫茶ランドリー森下・両国)
ただし背中から光が当たる順光も、ときに効果的なこともある。たまたま入ったカフェでカフェラテを注文。窓を背にする席しか空いていなかったのだが、西日がいい陰影を作ってくれた