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落合陽一サマースクールで子供たちは「吾唯足知」の精神を学ぶ

2022年08月31日 09時00分更新

社会問題解決のキーワード「吾唯足知」

 サマースクール3日目は、KDDI維新ホールでサマースクール参加者各自が自分の作品を発表。持ち時間1分で、なぜその被写体を選んだかや、構図の狙いなどをアピール。作品のできとそのアピールを元に、落合氏が優秀作品5点を選び、今回落合氏が撮影しサイアノタイプで刷った作品がプレゼントされました。

最終日はKDDI維新ホールで作品のプレゼンや表彰式を開催

各自1分ずつ自分の作品をアピール

作品について落合氏からの寸評も全員ぶん行なわれた

落合氏が優秀作品をピックアップ

 今回落合氏が撮影したモチーフは、瑠璃光寺にあった「知足の手水鉢」。手水鉢には「吾唯足知(われ ただ たるを しる)」と書かれており、この「吾唯足知」は、今回のテーマと密接に関連しているとのこと。

優秀者に送られた、落合氏の今回の作品

落合氏は5つのドリンクを使って、仕上がりの色味を変えていた

 落合氏は現在の問題点として、「資産や資本はどんどん蓄積されているのに世界から貧困などがなくならないのは、資本や資産が偏ってしまっているため」と説明します。その上で「『吾唯足知』は直訳すると、自分は満ち足りているということだけを知っているという意味になる。満ち足りていることを知らない人は、いくらものがあっても足りないと思ってしまう。なぜ『SDGs』のようなものを作ったかというと、誰かが持っていると言われているものをさらに持たせようとするとき、環境に優しかったりとか資源を再配分する方向に持っていこうという考えから。ただ、SDGsで挙げられている問題点は、テクノロジーなどで解決できる問題。唯一解決が難しいのが資産や資本が偏ってしまうこと。『吾唯足知』そういった内的動機を皆さんが持ってくれたらいいなと思う」と子どもたちに話していました。

「吾唯足知」を内的動機に持って欲しいと話す落合氏

参加者のみなさんには卒業証明NFTを発行

 前回までと同様、サマースクールの参加者には卒業証明NFTが発行されます。すでに海外では日々の値動きに右往左往しがちな投機目的のNFTだけでなく、保有者だけが視聴可能なコンテンツとか、売買できない特典の享受といった、新しいNFTの利活用が始まっています。卒業証明などのNFT発行について、Table Unstable実行委員会の鈴木淳一氏は「このNFTを持っているということは、落合先生の門下生であることを示すものであり、それと同時にTable Unstableの卒業生として、これからの人類の「知の拡張」を担うクリエイター・コミュニティの一員であることを示す会員証でもあります」

 これから先、今回のサマースクールのような課外学習活動や、ボランティア活動の実績など、NFTによる「行動実績の証明」が一般化することで、その人らしさというものをNFTで証明・表現することが可能になるでしょう。難しい言葉でアイデンティティと呼びますが、私たちは個人の価値観やアイデンティティ表現につながる資産としてNFTを捉えていて、そのためパブリックチェーンを使っています。

 この先、このNFTを保有していることで、みなさんのところには私たちTable Unstableとは関わりのない外部事業者からも、僕たちは、あなたのために、こういった協⼒ができるといったようなオファーをうけることができるようになるかもしれません。また、同窓会コミュニティーが⼤きくなって、将来みなさんが学校選択やキャリア転向を考えるとき、このつながりで相談できる⼈が増えていくようになったらいいなとも思っています」と話しています。

Table Unstable実行委員の鈴木淳一氏

NFTの卒業証明発行の様子

発行された卒業証明書

 また、ウォレットのキーとして、オリジナルのカードが配られることに関しては「デジタル空間上でウォレットを管理しようとすると、ウォレット盗難など自分の暗号資産が知らない間に動かされて取られてしまう心配がある。しかしNFTの場合、電子署名しないと移りません。物理的なカードの中に電子署名に必要な秘密鍵を保管しておくことで、そういったことが起きないようにできる。NFTはデジタル完結の技術と思われがちだが、そこにハードウェアとしてのICカード、今回非接触ICカード技術FeliCaで培った知見をもとにソニーが開発したハードウェア・ウォレット技術を使っていますが、それとシビラのWeb3ウォレット技術を組み合わせることの有用性について検証する実証実験にもなっています」と鈴木氏は説明しています。

電子署名が入ったオリジナルのカード

 今回が2回目となる今回のサマースクールに参加した宮本莉瑠さん(中学3年生)は、以前のサマースクールにも参加しており、NFT用のオリジナルカードをすでに持っているひとり。以前の参加者はNFTでその証明ができ、今回の申し込みも優先権を得られるシステムが採用されている。

今回が2回目の参加となる宮本莉瑠さん

 宮本さんは今回のサマースクールについて、「以前参加した落合先生のサマースクールで写真を撮るのが楽しいと思って、今回も参加しました。写真を現像するのはなかなかできないことで、試行錯誤してやるのが楽しかった」とのこと。さらに「色々な子が居るので、話ができてすごい楽しかった。それと森さんのバナナペーパーを使う話に興味があって、私自身が留学したいと思っているので、経験者のお話が聞けたのは良かった」とも話していました。

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