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3D V-Cache搭載「Ryzen 7 5800X3D」はCPUのゲームチェンジャーになれたのか?

2022年04月14日 22時00分更新

検証環境は?

 Ryzen 7 5800X3Dの検証を行うにあたり用意した環境は以下の通りだ。コア数やTDPが等しいRyzen 7 5800Xと、コア数が勝るRyzen 9 5900Xのほかに、ライバルであるCore i9-12900KS/12900K、さらにCore i7-12700Kと比較する。価格で考えるとRyzen 7 5800X3DはCore i9-12900Kより数千円安く、1万5000円ほど下にCore i7-12700Kが控えている。

 6万円台中盤のRyzen 7 5800X3Dが価格的にライバルなCore i9-12900Kや、10万円オーバーのCore i9-12900KSに対しどういったポイントで優勢に、あるいは劣勢になるかチェックしてみよう。

 今回試したどの環境もWindows 11であり、メモリー分離やセキュアブート、Resizable BARなどの要素は全て有効としている。AMDのチップセットドライバーは先日リリースされた「4.03.03.431」を、GPUドライバーは「22.4.1」を使用している。

 ちなみにRyzen 7 5800X3DのメモリーはDDR4-3600を勧めていたが、筆者のファーストレビュー時の決まりとして強制でない限りは定格を使うというものがあるため、DDR4-3200を使用している。

【検証環境:AMD】
CPU AMD「Ryzen 9 5900X」(12コア/24スレッド、最大4.8GHz)、
AMD「Ryzen 7 5800X3D」(8コア/16スレッド、最大4.5GHz)、
AMD「Ryzen 7 5800X」(8コア/16スレッド、最大4.7GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
ビデオカード AMD「Radeon RX 6800リファレンスカード」
マザーボード GIGABYTE「B550 Vision D」
(AMD B550、BIOS F15a)
メモリー G.Skill「Trident Z RGB F4-3200C16D-32GTZRX」
(DDR4-3200、16GB×2)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)
+Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(80PLUS Platinum、1000W)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」
【検証環境:インテル】
CPU インテル「Core i9-12900KS」(16コア/24スレッド、最大5.5GHz)、
インテル「Core i9-12900K」(16コア/24スレッド、最大5.2GHz)、
インテル「Core i7-12700K」(12コア/20スレッド、最大5GHz)
CPUクーラー ASUS「ROG RYUJIN 360」
(AIO水冷、360mmラジエーター)
ビデオカード AMD「Radeon RX 6800リファレンスカード」
マザーボード ASRock「Z690 PG Velocita」
(Intel Z690、BIOS 7.03)
メモリー Kingston「KF552C60BBK2-32」
(DDR5-4800動作、16GB×2)
ストレージ Corsair「CSSD-F1000GBMP600」(NVMe M.2 SSD、1TB、システム用)
+Silicon Power「SP002TBP34A80M28」(NVMe M.2 SSD、2TB、ゲーム用)
電源ユニット Super Flower「LEADEX PLATINUM SE 1000W-BK」(1000W、80PLUS Platinum)
OS Microsoft「Windows 11 Pro」

L3の多さは関係なかった「CINEBENCH R23」

 いつも通り「CINEBENCH R23」のスコアー比べから検証を始める。Ryzen 7 5800X3Dはコア数的にはRyzen 7 5800Xと変わりなく、さらにクロックも低めに設定されている。L3キャッシュを増築することで得られるメリットはあるのか否かを見てみたい。

「CINEBENCH R23」のスコアー

 この結果からほぼコア数とクロックなりのスコアーであり、L3キャッシュの量はCINEBENCH R23のスコアーに影響していないことが示されている。そしてRyzen 7 5800Xとのスコアー差は非常に小さい。Ryzen 9 5900Xや第12世代Coreプロセッサーなどと比較するとマルチスレッドのスコアーが低いのは、単純にコア数の問題だ。

「V-Ray Benchmark」ではRyzen 7 5800Xに辛勝するも……

「V-Ray Benchmark」でも試してみよう。GPU(CUDAおよびRTX)を使ったテストもあるが、今回はCPUだけを使うテストを使用する。

「V-Ray Benchmark」の結果。値が大きいほど高速

 CINEBENCH R23とは逆にRyzen 7 5800X3Dの方がRyzen 7 5800Xを上回っているが、誤差の範囲といってよい。こちらもコア数の多い上位モデルやライバルには大きな差を付けられている。

「Blender」でも同傾向

 CG系ラストの検証は「Blender」の公式ベンチマーク「Blender Benchmark」だ。「Blender-Open Data(https://opendata.blender.org)」で配布されている専用ツールを使い、デフォルトの3シーン(Monster/Junkshop/Classroom)におけるCPUの計算力を比較する。

「Blender Benchmark」のスコアー

 ここでも超大容量L3キャッシュを活かせなかったRyzen 7 5800X3Dは、Ryzen 7 5800Xのやや下というポジションで終わっている。つまりL3キャッシュの量が効かないシチュエーションでは、Ryzen 7 5800X3Dではなく普通のRyzen 7 5800Xを選んだ方が断然お得であることを示している。

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