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同じCore i5-12400でも2種類ある?

Alder Lake-Sの廉価モデル、Core i5-12400&Core i3-12100の実力を検証!エントリークラスの覇者となれるか

2022年01月05日 03時10分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

「Far Cry 6」でもCore i5-12400と11400Fの差は小さい

 「Far Cry 6」でも検証をやってみよう。画質“最高”設定だが高解像度テクスチャーやレイトレーシング、FSR等の設定は無効としている。内蔵ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。

「Far Cry 6」1920×1080ドット時のフレームレート

 ここでのトップはCore i5-12600Kだが、Core i5-12400もすぐ後ろにつけている。だがCorei5-12400とCore i5-11400Fとの差は誤差といっても良いほどに差がない。Alder Lake-Sベースだからといって、どんなシーンでもRocket Lake-Sより強いとは限らない、ということだ。

2位〜5位までほぼダンゴになった「F1 2021」

 ゲーム検証のラストを飾るのは「F1 2021」だ。画質は“超高”だが、レイトレーシングはオフとしている。アンチエイリアスはTXAAのみ、解像度の動的変更設定もオフとした。内ベンチマーク機能を利用してフレームレートを計測した。ベンチマークモードの条件は「モナコ+ウエット」とした。

「F1 2021」1920×1080ドット時のフレームレート

 このゲームはDDR5メモリーの環境でフレームレートが伸びることが分かっているが、今回はDDR4で統一しているため、メモリー帯域のアドバンテージはない。Ryzen 5 5600Xがトップに立ったのはRainbow Six Siegeと同じだが、2番手以降5番手までほぼ同じような結果になっている。今回の計測環境においてはEコアの存在もさほど役には立っていない。

「Media Encoder 2022」ではCore i3の進化が見られる

 ゲームの次はクリエイティブ系アプリにおけるパフォーマンスだ。まずは「Media Encoder 2022」を使った動画エンコード時間を比較する。「Premiere Pro 2022」で編集した再生時間約3分の4K動画を、Media Encoder 2022にキュー出しした後エンコードさせ、その時間を比較する。コーデックはH.264とH.265であり、ビットレートはVBR 50Mbps、1パスのソフトウェアエンコードとした。

「Media Encoder 2022」のエンコード時間

 このテストでは、CPU計算量への依存度が高いH.265でCore i5-12600KがRyzen 5 5600Xに対し1分半以上の差をつけているが、Core i5-12400はRyzen 5 5600Xに対し1分以上遅れをとっている。そしてここでもCore i5-12400と11400Fの差は小さいどころか、やや11400Fの方が速いという結果まで出ている。とはいえ、差は10秒もないので誤差程度の差といえるし、Core i5-11400FがZ590マザーを使っているという点から11400Fはゲタを履いているともいえる。ともかくMedia Encoder 2022に関しては両者の差は甲乙付けがたい。

 Core i3-12100に関しては10105から大きく飛躍したと言えなくもないが、同時にRyzen 3 3300Xとほぼ同じ、という結果になった。2年近くの歳月をかけて、ようやくエントリーCPUでライバルのCPUに追い付いた形といえる。

「Handbrake」もほぼ同じ結果に

 「Handbrake」のエンコード時間も計測してみよう。Handbrakeは第12世代Core(のK付きモデル)環境だとWindows 11でないとPコアが働かないが、今回はEコアがないCPUがほとんどなので問題はない。検証は再生時間約3分の4K動画(60fps)をHandbrakeプリセットの“Super HQ 1080p30 Surround”および“H.265 MKV 1080p30”でMP4やMKV形式に書き出す時間を比較する。

「Handbrake」によるエンコード時間

 全体的な傾向はMedia Encoder 2022と同じである。つまりCore i5-12400は旧世代のCore i5-11400Fと大差なく、Core i3-12100は10105に比べれば大きく性能を伸ばしたものの、Ryzen 3 3300Xとほぼ同じ所に着地している。

「Lightroom Classic」では第12世代の意地を見せる

 「Lightroom Classic」を使って100枚のDNG画像をJPEGに書き出す時間も比較してみよう。調整済みのDNG画像(61メガピクセル)100枚を用意し、最高画質のJPEGに書き出す時間を計測するが、その際書き出しのウインドウでシャープネス処理(スクリーン用、適用量標準)を追加している。

「Lightroom Classic」によるDNG→JPEG書き出し時時間

 トップはCore i5-12600K、2番手はRyzen 5 5600Xというのはこれまでの検証と同じ。Core i5-12400はRyzen 5 5600Xに若干及ばないものの、その差は10秒ちょっととかなり近いところにまで詰め寄っている。

 動画エンコード系ではCore i5-12400と11400Fの差はほぼゼロだったが、Lightroom Classicでは明らかにCore i5-11400Fよりも12400が速いと言い切れる結果が得られた。同様にCore i3-12100もRyzen 3 3300Xを上回っているが、こちらは差があるが劇的とまではいかない、という結果になった。

Intel 7プロセス最大の強みが出た消費電力

 今回試した第12世代のK無しモデルは、コア数もクロックも前世代から変化していないが、プロセスルールは14nmプロセスからIntel 7(10nm)プロセスへシュリンクしている。当然ながら消費電力にも影響しているはずだ。K付きモデルはMTPが高いため消費電力も高くなる傾向(特にDDR5を使うと顕著)だが、MTPが大人しいK無しモデルではどうだろうか?

 ここでの検証はラトックシステムの電力計「RS-WFWATTCH01」を用い、システム全体の消費電力を計測した。アイドル時とはシステム起動10分後、OCCT時とは「OCCT Pro」のCPUテスト(エクストリーム&負荷一定)を10分実施した時を指す。それぞれ安定値を読み取った。

システム全体の消費電力

 まず、消費電力でトップは14nmプロセスのCore i5-11400F。続いてIntel 7プロセスだがMTPが高く設定されているCore i5-12600K。続いてRyzen 5 5600X、Ryzen 3 3300Xと続き、今回注目するCore i5-12400やCore i3-12100は下から数えた方が早いという結果になった。ゲーム系ベンチではCore i5-11400Fに対しパッとした結果が出せていなかったが、消費電力という観点では大幅に改善している。

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