心を奪われる、色鮮やかな日本の自然風景
Ghost of Tsushimaの自然風景はあまりにも美しく、殺伐とした戦に赴くプレイヤーの心を癒してくれる。緑が映える草原、風に揺れるススキ、華麗に舞う花びら、秋の趣を感じさせる紅葉など、対馬全体に広がる色彩豊かな美景に何度も心を奪われた。
美しき風景を眺望していると、血塗られた動乱を一時的に忘れ、自然と一体化したいという願望が芽生えてくる。人間同士の争いは醜く、そして何の成果も得られない。対馬に蔓延る脅威を打ち倒す使命が、ふと愚かに思えてしまうほどだった。これから本作をプレイする人は、幻想的な美しさで彩られた日本の風景に圧倒されることだろう。
そのほか、島民が暮らす集落や蒙古軍の拠点、神社、城など、対馬の雰囲気を堪能できるスポットが数多く存在する。使命をいったん忘れて対馬を探索するという娯楽に興じるのも悪くない。
拠点制圧やサブクエストなど、骨の髄まで遊び尽くせる寄り道要素
オープンワールドゲームの定番である「プレイボリュームの高さ」は、本作にも強く反映されている。先述した物語と浮世草のほか、先人の武士が遺した装備を探す特別クエスト「伝承」や、蒙古軍の拠点制圧および集落の解放などといった寄り道要素も多数用意。遊び甲斐はかなり高く、時間を許す限り骨の髄まで遊び尽くせるのがうれしい。装備をコンプリートしてもよし、実績解除に励んでもよしと楽しみ方はさまざまだ。
本編のクリアはまだできていないが、序盤のエリアを隅々まで探索し、各地にあるクエストを7割ほど攻略した時点でおよそ10時間以上かかっている。進捗状況としては3分の1ほどなので、エンディングに到達するのは当分先になるだろう。おそらくクリアするのに20~30時間はかかるのではないかと予測している。休日を有意義に過ごすのに最適なゲームかもしれない。
50年代の時代劇映画に様変わりする「黒澤モード」がすごい
最後に、本作に実装されている「黒澤モード」を紹介したい。通常はカラーなのだが、黒澤モードに切り替えると、なんと50年代の時代劇映画を彷彿とさせる白黒の映像に様変わりするのだ。白と黒のトーンは本作の雰囲気にフィットしているため、黒澤映画を観ているような感覚で楽しめる。
すごいのはこれだけでなく、フィルムの粒子の表現やくぐもった音響など、当時の日本映画らしさもちゃんと再現されているのだ。こういった強いこだわりから、黒澤映画、ならびに古きよき時代劇映画への敬意を感じ取るに至った。
私は、「用心棒」「椿三十郎」「隠し砦の三悪人」「七人の侍」など、50~60年代の黒澤映画が好きである。黒澤モードに切り替えてGhost of Tsushimaをプレイしていると、無性に黒澤映画が観たくなってしまう。黒澤映画をまだ観たことがない人も、本作をプレイすれば黒澤映画に興味を持つようになるのではないだろうか。この調子で七人の侍をゲーム化してほしいものだと願う私であった。
究極の時代劇アクションゲーム、ここにあり!
Ghost of Tsushimaは、侍の魂を目覚めさせる最高の時代劇だった。私が長年待ちわびていたゲームといっても過言ではない。元寇を題材にしたストーリーと世界観、生々しくも刺激のある剣戟、相反する2つのプレイスタイル、ボリューミーなクエストが魅力で、オープンワールドゲームの醍醐味が詰まったゲームに仕上がっている。あまりの面白さに、時間を忘れて蒙古合戦に励むほどだった。
7月17日に発売される本作は、PlayStation 4専用タイトルにおける最高傑作であると考えている。ゲームファンはもちろんのこと、映画ファンも満足するはずだ。侍の魂が目覚めるまで、あと3日。究極の時代劇アクションゲームを、多くの人にぜひ体験してもらいたい。
©Sony Interactive Entertainment LLC.
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