週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

リトアニアで寿司を食べ、寝台列車でロシアに入国:SIMフリースマホと大陸横断の旅03

2015年04月25日 10時30分更新

文● 中山智  編集●KONOSU

 乗り込んだのは上下2段ベッドが2つある2等寝台で、料金は165ポンド(約2万9000円)。チケットはこのあとのロシア内のチケットも含めて、RealRussiaという旅行代理店のサイトを使って予約しました。ただし、ロシア内のチケットはメールでeチケットが送られてきましたが、このヴィリニュスからサンクトペテルブルグのチケットは、国境を越える国際路線のためかチケットは郵送(送料は56ポンド)。あらかじめ日本で申し込んでおいたのですが、到着まで国際郵便を使って1週間ほどかかりました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
このあとのシベリア鉄道の予約も、RealRussiaを利用。

 2等寝台は4人が定員ですが、サンクトペテルブルグまでの約14時間、私のコンパートメントに乗り込んできた乗客はなし。ひとりで一部屋を専有して使えました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
上下にベッドのある2等寝台。下段ベッドを跳ね上げるとスペースがあるので、スーツケースなど大きな荷物も置ける。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
跳ね上げた椅子を下げた状態。ひとりで使えたので広々。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
背もたれを倒すとベッドモードに。平らになるので寝やすい。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
室内に電源はなく、コンパートメントの外の通路にあります。

 ヴィリニュス駅を発車すると、客車の担当者が各コンパートメントを回ってシーツと枕カバーを配布してくれるので、自分で寝床をセット。ほかの乗客も居ないので、気楽にゴロゴロしながら過ごします。

 しばらく走ると、国境を越えて隣国のラトビアに入国。とはいえラトビアも国境審査の必要がないシェンゲン協定参加国。そのまま乗車しているだけ。ですがリトアニアで購入したSIMは通信ができなくなったので、ポーランド入国時と同じように、ドイツのBlauのSIMに挿し変えます。これでラトビア走行時でも問題なく通信できました。

■ロシア入国の準備

 現地時間で日付が変わる頃、ロシア国境手前の街カルサバに到着。ロシアはシェンゲン協定参加国ではないため、出国審査が必要です。といっても列車を降りる必要はなく、係員が列車に乗り込んできてパスポートチェックに回ってきます。

 出国審査を終えると、列車は動きだし国境を越えてロシアへ入国しました。するとすぐにロシア側の国境の街プィタロヴォに停車し、また同じように係員が乗り込んできて、今度はロシアへの入国審査です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
プィタロヴォ停車中の車窓。見えるのは貨物車だけ……。

 ロシアを旅行する際にめんどうなのはビザが必要なこと。しかもロシアのビザは、宿泊先からバウチャーを送ってもらったり、あらかじめ旅程を申請したりと、ほかの国と比べても手続きが大変。特にロシア内での宿泊先や細かな旅程は、日本を出発してから決めたので、個人で申請手続きをするにはかなりハードルが高い。

 そこで、今回はロシアのビザを専門に扱っているサービスを利用しました。今回のように旅程や宿泊先をキッチリと決めないで移動する旅の場合、こういった専門のサービスに頼んだ方が手数料などはかかるものの、スムーズに申請できます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
ビザ申請に利用したロシアビザ取得申請代行センター。最安の場合は8000円で申請可能ですが、ビザ発行まで約2週間かかります。

 ただし、申請にはパスポートを預ける必要があるので、日本国外からのビザ申請はできません。以前は日本以外の国に滞在中でも、滞在国のロシア大使館や旅行代理店でロシアビザの申請ができたようですが、現在では規定が変わり難しい状況です。
 日本以外の国からロシアに入国する旅行の場合でも、日本でビザを申請してから出かけたほうが無難ですね。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
パスポートに貼り付けられたビザ。最長で30日のビザが申請可能。帰国日ピッタリではなく数日余裕をもって申請しておいたほうが、トラブルがあったときも安心。


■ロシアのSIMはあらかじめ入手

 ロシアへの入国審査が済んだところで、ロシアのSIMに挿し替えます。スペインのSIMと同ように(関連記事)、ロシアのSIMもネット通販しているサービスがあったので、あらかじめ日本で購入しておきました。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
ロシアをはじめ各国のSIMを販売しているSIMTELジャパン。

 購入したSIMのキャリアはBeeline。ウェブサイトに記載されているデータプランを見てみると5GBで495ルーブル(約1140円)というのがあります。もともとSIM自体に200ルーブルがチャージされているので、300ルーブル(約700円)ぶんのチャージを追加すれば申し込みが可能です。価格は送料と合わせて、トータル5650円でした。プランの申し込み方法は、送られてきたSIMに日本語で添付されていたので、そのとおりに進めるだけとカンタン。APNなどの設定は下記のとおりです。

 APN:internet.beeline.ru
 ユーザーID:Beeline
 パスワード:Beeline

 ロシアの滞在は約2週間で、そのうちの10日間はシベリア鉄道に乗車している予定。その間スマホだけでなく、テザリングでPCやタブレットからも通信するつもりなので、5GBではとうてい足りません。
 サンクトペテルブルグに到着したら、別途通信容量の多いSIMを購入することにして、ひとまずBeelineのSIMで対処することにします。

■サンクトペテルブルグでSIMを購入するもトラブル発生

 入国審査が済めば、あとはひたすら寝て過ごすだけ。翌日の10時28分にサンクトペテルブルグのヴィチェプスク駅に到着しました。ここからモスクワへ向かうため、モスクワ駅へと地下鉄で移動します。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
途中で増結されたようで、発車時よりも長い編成になっていました。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
到着したヴィチェプスク駅。ロシアの駅の外観は普通の建物っぽい。

 サンクトペテルブルグなのにモスクワ駅というのは変な感じですが、ロシアの場合、その駅から発車する列車の代表的な目的地が駅名になっています。そのため、モスクワにあるのはモスクワ駅ではなく、レニングラード(サンクトペテルブルグの旧名)駅があるわけです。
 ちなみに地方の途中駅の場合、その地域に駅がひとつしかないので、ロシア語で“バグザール(駅)”というだけで通じます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
モスクワ方面への列車が発車するモスクワ駅。

 地下鉄を降りてモスクワ駅に向かう途中、ロシアのキャリアMegaFonのショップを発見。次の列車までは時間があったので、ショップに入り店員に話しかけてみると英語が通じるので、SIMについて聞いてみることに。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
キリル文字なので読みにくいですが、アルファベット表記にするとMegaFonです。

 たくさん通信するので、ピッタリのプランはないかたずねると、800ルーブル(約1900円)で定額利用できるプランがあるとのこと。そこで、その定額プランを適用させたSIMを購入。支払い終了後、開通まで10分ほど待つように言われたので、ショップ内を見学しつつ待ち、通信ができるようになったのを確認してからショップを出ます。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
スマホのラインアップはAndroidがメインですが、Windows Phoneも意外と多い。

 通販で購入したBeelineのSIMは3Gでの接続ですが、MegaFonのSIMはLTEで接続できました。試しに速度を測ってみると、下りで76.63Mbpsと爆速。これは良いSIMを買った! とこのときは思っていたのですが……。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
まだLTEユーザーが少ないのか、MegaFonのLTEは爆速。この時点では大満足。

 APNなど設定項目は下記のとおり。iPhone6と海外版のXperia Z1に装着しましたが、どちらもLTEが使えました。

 APN:internet
 ユーザーID:gdata
 パスワード:gdata

 SIMの準備もできたのでモスクワ駅構内へ入ってみると、そこかしこにSIMを販売しているキャリアのスタンドがありました。ただ、どの店員もあまり英語が得意ではないようなので、やはり大きめのキャリアショップで購入した方が無難です。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
手前がMTCのスタンドで、奥にはMegaFonのカウンターも。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
モスクワ駅構内の路線図。キリル文字なのでよくわかりません。

 モスクワ駅から乗り込んだのは超特急のサプサン号。ロシアの最新列車で、サンクトペテルブルグからモスクワまでを約4時間で結びます。料金は41.56ポンド(約7400円)でチケットはRealRussiaで購入。Eチケットがメールで送られてきているので、プリントアウトしたEチケットをを車掌にみせて乗り込めばオーケーです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
サプサンはロシア語ではやぶさのこと。名前のとおり、赤い翼がペイントされたています。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
乗車時にチケットとパスポートをチェックするので、乗客が多いと乗車に時間がかかります。

 車両内は新型ということもあり快適。2等車のためか電源が見当たらなかったのは残念ですが、テーブルも大きくノートPCを取り出して仕事をするのにも十分なサイズです。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
ヘッドレスト、レッグレストもあり座りやすいシート。
SIMフリースマホと大陸横断の旅03
奥行きのあるテーブルなので、ノートPCを広げても十分スペースに余裕がある。

 予定どおり13時30分にモスクワ駅を出発し、快調に走るサプサン号。購入したMegaFonのSIMも、しばらくすると3G接続になってしまったものの、スムーズに通信できていました……1時間ほどしてSMSを受信するまでは……。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
サプサン号走行中に受信したSMS。やはりキリル文字でわかりません。

 SMSを受信したあとは、インターネットに接続できなくなりました! APNをチェックしたり、iPhone6からXperia Z1に挿し変えたりしてみましたがダメ。そこで、BeelineのSIMを挿入した端末でテザリングをして、先ほどのSMSのテキストをGoogle翻訳アプリで日本語訳してみることに。

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
完全な日本語ではないですが、エリア外という案内だということは分りました。

 どうやらロシアは国土が広大なので、通話とSMSはそのまま使えても、通信に関しては同じキャリアでも地域ごとにパケットプランを提供しているようです。そのため、地域を移動してしまうと、そのプランが適用されず通信ができなくなってしまうわけです。

 地域ごとにプランが違う方式は中国も同じで、中国でもその地域専用のデータプランを販売しています。国土の広い国ならではの方式といったところでしょうか。

 SMSにはローミングで利用できるような記載もありますが、イマイチやり方が分りません。せっかく購入した定額データSIMを通信できない状態でかかえたまま、サプサン号はモスクワへ向かってひた走る……というところで次回へ続きます。

【ユーラシア大陸最西端から日本までの移動費】

●ワルシャワ→ヴィリニュス:16ユーロ(約2040円)
●ヴィリニュス駅→ヴィチェプスク駅:165ポンド(約2万9000円)
●ヴィチェプスク駅→モスクワ駅:28ルーブル(約70円)
●モスクワ駅→レニングラード駅:41.56ポンド(約7400円)
●前回の移動費:5万1495円

合計……9万5円

SIMフリースマホと大陸横断の旅03
今回のログです。ポーランドからリトアニアだけバス移動。ここが鉄道なら、大陸の移動はすべて鉄道にできただけに残念。

■関連サイト
Ecolines
RealRussia
Ezys
SIMTELジャパン
MegaFon
ロシアビザ取得申請代行センター

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう