週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

AMD派待望の「RX Vega」はハイエンドGPUにおける周回後れを取り戻せるか?

2017年08月21日 11時00分更新

文● 加藤勝明 編集●北村/ASCII編集部

 2017年の自作PC界隈を激しく動かしているのはAMDが次々と投入する新製品なのは言うまでもない。そしていよいよ8月21日、開発コードネーム“Vega”の名で知られていたハイエンドクラスのビデオカード「Radeon RX Vega 64」が発売された。

Vega 64搭載の最上位モデル(左)は水冷クーラー搭載、普及価格帯のVega 64(中央)は“V”のロゴ付きのLimited Editionと通常版の2種類となる。一番右はやや遅れて発売されるVega 56だ

 Radeonのハイエンドラインは2015年にHBM1メモリーを世界に先駆けて採用した「Radeon R9 Fury X」を最後に更新が停止。PolarisベースのRX 400および500シリーズはミドルクラス向けを想定した製品だったため、約2年にわたりRadeonのハイエンドは空前の“大空位時代”だったわけだ。

 ハイエンドビデオカードが欲しいが、GeForceではなくRadeonが欲しい! とこだわっていた人にとって、今回のVegaは待ちに待った一品となるはずだ。

 発売されるVega 64はリファレンスデザインのものが主となるが、リファレンスデザインでもクーラーデザインの違いで3種類(水冷1種、空冷2種)あるが、今回入手したのは一番スタンダードな空冷クーラーを搭載したモデルだ。

Radeonのハイエンド大空位時代に終止符を打った「Radeon RX Vega 64(右)」と「同56(左)」。どちらもリファレンス仕様のものを入手できた

 AMDによれば米国におけるRadeon RX Vega 64の価格は499ドルと“ハイエンドにしては安い”ことを武器にしているが、米国以外では世界規模で割高な設定になっており、日本でも税抜7万4000円前後とやや高額な値段になっているのが残念だ。

 今回はVega 64のほかに、後日発売予定の準ハイエンドモデル「Radeon RX Vega 56」のリファレンスカードも入手できた。果たしてVegaはハイエンドに飢えていたRadeon派を満足させる出来なのだろうか? さまざまなベンチを通じて検証してみたい。

Vega 64の評価キットに入っていたVegaのダイのモックアップ。大きなVegaダイのすぐ脇に2基のHBM2チップが配置されている

HBM2&Infinity Fablicをはじめ、内部は大きく変化

 まず最初にVega 56/64のスペックを眺めてみよう。VegaのアーキテクチャーはGCN(明言されていないがおそらく第5世代)だが、従来のGCNベースのGPUと内部の構成を大きく変えてきている。

 SP数はFury Xと同じ4096基であるため、高クロック化してメモリーをより新しいHBM2メモリーに変換しただけのようにも見えるが、Vegaは単純な数値の上下以上の改善が含まれている。以降、アーキテクチャー的な見どころをかいつまんで解説する。

各ビデオカードの比較表
  Radeon RX Vega64
Liquid Cooled
Radeon RX Vega64 Radeon RX Vega56 Radeon R9 Fury X Radeon RX 580X
開発コードネーム Vega10 Vega10 Vega10 Fuji Polaris20
製造プロセス 14nm
FinFET
14nm
FinFET
14nm
FinFET
28nm 14nm
FinFET
Compute Unit数 64基 64基 56基 64基 36基
ストリーミング
プロセッサー数
4096基 4096基 3586基 4096基 2304基
ベースクロック 1406MHz 1274MHz 1156MHz - 1257MHz
ブーストクロック 1677MHz 1546MHz 1471MHz 1050MHz 1340MHz
テクスチャー
ユニット数
256基 256基 256基 256基 144基
ROP数 64基 64基 64基 64基 32基
メモリークロック(相当) 1890MHz? 1890MHz 1600MHz 1GHz 8GHz
メモリータイプ HBM2 HBM2 HBM2 HBM1 GDDR5
メモリーバス幅 2048bit 2048bit 2048bit 4096bit 256bit
メモリー搭載量 8GB 8GB 8GB 4GB 8GB
消費電力(Typical) 345W 295W 210W 275W 185W
外部電源 8ピン×2 8ピン×2 8ピン×2 8ピン×2 8ピン

「GPU-Z」で入手したVega 64(左)と56(右)の情報をチェックしてみたが、今回使用したバージョン(2.2.0)ではGPU-Z側が対応していないため、どちらも表記抜けやミスが多い

今回入手したVegaのリファレンスカードの表裏(56も64も共通)。一見するとRX 480のリファレンスカードと同じようだが、RX 480は表面のクーラーカバーがプラスチック製だったが、Vegaでは金属製となり高級感が増している

外部電源はVega 56/64ともに8ピン×2構成。コネクターの付け根にはLED「GPU Tach」が仕込まれており、動作中の負荷に応じて点灯する個数が増減する。スイッチで点灯色を変えられるなど、Fury Xとほぼ同じものが載っているようだ

映像出力は最近増えてきたDVIなし、DisplayPort多めの構成

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

この連載の記事