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【私のハマった3冊】週アスの表紙の女性に本屋で買ってほしい3冊を妄想してみる

2015年01月03日 11時00分更新

1010BOOK

知的生き方教室
著 中原昌也
文藝春秋
1998円

もしもし
著 ニコルソン・ベイカー
白水Uブックス
1026円

現代罪悪集
著 藤谷治
河出書房新社
1620円

 

 今あなたが手にしているアスキーの表紙を見直してほしい、その女性がもしこの3冊を本屋のレジカウンターに持っていくのを目撃したら。僕はこんな気持ちを抱いて満足するだろう。

 1冊目に中原昌也『知的生き方教室』が見えた。汚い部分をきっちり汚い言葉で見えて良いのだと肯定してくれる長編小説は、普段礼儀正しく生きていなければいけない彼女の心の平穏を保つにはちょうど良いのだろうし、物事が汚く見えてしまっても、彼女の見え方はあくまで甘く、こんな言い回しで物ごとをなじる人がいるのだと毒っぽく思えていた彼女の心情を軽々と超えてくる読後感を得るのだなあ、とニヤニヤしてしまう。

 2冊目に見えたのは白水Uブックス、岸本佐知子訳の『もしもし』。現代の携帯文字送信ツールの発展は相手と会話する時間を減らし文字テキストのみでやりとりすることも多い、というのは月並みで、通話機能をマネージャーからの電話ばかりで主に仕事のツールとして使うであろう表紙の彼女は彼の声も聴きたい様な緊迫した現場の空気を毎日体感しているので、この本を読んで通話のドキドキするやりとりを心に記憶し切迫した瞬間に身体が思い出させてくれる様、購入しようとしているのだと勝手に考えるこちらはドキドキしてきてしまう。(※あくまで妄想です。)

 そして最後3冊目には藤谷治著『現代罪悪集』が見えた。誰もが犯しうる現代版“七つの大罪”について書かれているこの本を、仕事で汚い部分が見えてしまうから……、と想像するのは安易で、プライベートで自分に降りかかってきてしまった時の心構えと、演技の勉強に役立つ本として選んだに違いないと妄想できる。実際に著者がこれら七つの大罪を経験したのではないかと思わずにいられない文章の巧みさが彼女を本に没頭させてくれる素晴らしい本だ。憎い3冊選ぶなー。(※以上、あくまですべて妄想でした。)
 

あんろ
女将役の着物にはグッと来ましたし、キャバクラ嬢の演技、僕は嫌いじゃなかったです!

※本記事は週刊アスキー1/6-13号(12月22日発売)の記事を転載したものです。

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