2014年07月16日17時00分

Windows情報局ななふぉ出張所

Chromebookが無償版Windowsより安い理由

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 グーグルは7月14日、Chromebookを日本国内向けに提供開始すると発表しました。米国を始めとする海外では2011年から発売されているものの、日本国内向けとしては今回が初めての発表となります。

 一方でWindowsデバイスは2in1など多様化が進み、最近では低価格のWindows 8.1 with Bing搭載PCが続々と発表されています。果たして、満を持して登場するChromebookの優位性はどこにあるのでしょうか。

■日本では出遅れたChromebook

 Chromebookはこれまで日本で発売されていなかったものの、2014年に入ってからは徐々に情報が増えており、東芝による投入との新聞報道が注目を集めたこともありました。

 そして今回、日本でも企業や教育機関向けに展開を開始することが正式発表され、2014年7月以降、日本エイサー、ASUS、日本HP、デル、東芝の5社から、端末が順次発売される予定となっています。

Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑日本エイサーによる11.6インチのサンプル機。米国では『Acer C720 Chromebook』として、200ドル程度(約2万300円)で販売されている。
Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑こちらはASUSによる11.6インチモデル。米国では『ASUS Chromebook C200』250ドル程度(約2万5500円)で販売中。
Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑日本HPがSoftBank World 2014に参考展示した、未発表のChromebook。海外版の11.6インチモデル『Chromebook 11』の後継機で、詳細スペックは未定とのこと。

 ここまで遅れた理由として、グーグルは「販売チャネルやサポート、メーカー側の準備などで時間がかかった」と説明しているものの、さすがに出遅れた感は否めません。日本のPC市場は2013年後半から2014年前半まで、Windows XPからの移行需要により大きく伸びています。この“ビッグウェーブ”に乗れなかったのは痛いところです。米国では7~8月が新学期商戦(Back to school)として知られていますが、日本では微妙な時期といえます。

 ただ、今後もPC市場は買い換え需要などにより横ばいで推移するとみられるため、まだまだ追いつくチャンスはあるでしょう。

 Chromebookに期待していた個人ユーザーとして残念な点は、国内での個人向け展開が後回しになっていることです。米国では量販店にChromebookコーナーが設置されているのも珍しくありませんが、日本でこうした個人向け展開が始まるようになるまでには、もう少し時間がかかりそうです。
 

■無償版Windowsの登場後もChromebookのほうが安い理由

 企業や教育機関向けにChromebookを展開するにあたって、まずライバルとなるのが一般的なWindowsのノートPCとなるでしょう。

 ChromebookとWindowsを比較すると、Windowsのほうがあらゆる面で優れているように思えます。WindowsにChromeブラウザーをインストールすれば、Chromebookと同じことができるようになります。もっと言うと、Windows PCなら豊富なデスクトップアプリや周辺機器によって、いくらでも潰しが効きます。

 管理面でもWindowsは優れています。グーグルがChromebookと同時にリリースするシンプルな端末管理機能『Chrome管理コンソール』に対して、マイクロソフトにはクラウド型PC管理サービス『Windows Intune』があります。クラウドベースで、専門の管理者を必要としないという点は互角。さらにWindowsなら、必要とあらばさらに大規模で複雑な端末管理システムを構築することも可能です。

 これに対してグーグルは、3年間のトータルコストという興味深い数字を挙げています。従来のコンピュータとの比較では、3年間のコストでChromebookは6分の1になるというのです。

Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑従来型PCと3年間のトータルコストを比較したグラフ。従来型PCとは、おそらくWindowsを想定していると思われる。

 注目したいのは、PC本体の購入価格はそれほど大きな割合を占めていないという点です。むしろWindowsでは、PC本体以外の部分に多大なコストがかかっています。グーグルによれば、この中にはIT部門のコストや、アンチウィルスソフトの費用が含まれているとのことです。

 これはWindowsにとって厳しい結果といえるでしょう。

 マイクロソフトは低価格デバイス向けに無償、またはそれに近い価格で『Windows 8.1 with Bing』を提供し、Chromebookに対抗できる価格帯のPCを充実させることで、迎撃態勢を整えています。また、米マイクロソフトのパートナー向けイベントWorldwide Partner Conference 2014では、99ドルのWindowsタブレットや199ドルのWindowsノートPCによる対抗策も発表されました。

 しかし重要なのはOSの価格やPCの価格ではなく、運用コストであると、グーグルは指摘したわけです。

■Windows依存の機能はリモート利用でも解決できる

 この比較はグーグルの調査にもとづいたものであり、マイクロソフトによる反論も大いに期待したいところですが、Windowsの運用コストが高い理由は、ある程度推測できます。Windowsはあまりにも自由度が高く、高機能であるがゆえに、その機能を制限したり、安全性を確保するコストが高くなる傾向にあるからです。

 コストを理由にWindowsからChromebookへと移行することは、現実的なのでしょうか?

 たしかに近年では企業の業務システムもWebアプリが主流となっています。しかし実際に社内調査を行なえば、ほとんどの企業が“Windowsは必要不可欠”という結論に行き着くはずです。特定のWindowsアプリやデバイスドライバーが業務に欠かせない存在になっている職場がまだまだあり、未だにWindows XPから移行できない企業も残っています。

 これに対してグーグルは、デスクトップ仮想化という方法を用意しています。サーバー側でWindowsの仮想マシンを実行し、そこにChromebookからリモート接続して、Windowsアプリを利用するというわけです。これにより日常業務にはChromebookを導入することでコストを削減し、必要なときだけWindowsを利用することで機能を補完するというシナリオが見えてきます。

 一方、シンプルで運用コストの低いOSとして、マイクロソフトには『Windows RT』があります。もしWindows RTが、“デスクトップアプリが動かない制限付きWindows”ではなく、“ストアアプリとInternet Explorerを中心とした、スマートなWindows”と認識されていれば、Chromebookがここまで盛り上がることはなかったかもしれません。

■日本でChromebookは売れるだろうか

 実際、米国でのChromebook販売は好調で、米Amazon.comのランキングでも常連となっています。またグーグルによれば、北米市場のビジネス向けノートPCのうち、出荷台数の21%をChromebookが占めているとの調査もあるとのこと。

Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑米Amazon.comのノートPCランキング。原稿執筆時点でもトップ10のうち3台がChromebookだ。

 しかし日本で売れるかどうかは、難しいところです。日本マイクロソフトによれば、『Office 365』は教育市場でシェア1位となっており、『Google Apps』を抜いたとみられています。最近ではGoogle Appsのユーザーだった日本大学が10万人の学生向けにOffice 365を導入したという事例も注目を集めました。

Chromebookが無償版Windowsより安い理由
↑5月にはOffice 365 Educationのユーザー数が170万人を突破し国内シェア1位となったが、さらにその後も日本大学など大規模導入事例が続いている。

 初等・中等教育の現場でも、先生がMicrosoft Officeで手作りした教材をそのまま使えること、電子教科書がWindowsアプリであることなどの理由で、Windows PCが好まれる傾向にあります。企業向けPCの大半がWindowsである以上、Windowsのほうが就職に有利ではないか、といった保護者の期待もあるでしょう。

 ここにChromebookがどのような形で切り込んでいくのか。

 まずは近日中に期待される、各メーカーによる日本向けChromebookの発表を待ちたいところです。

【2014年7/17 11:30】正確を期すため、日本大学についての記述を一部修正致しました。

■関連サイト
Chromebook 

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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