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【私のハマった3冊】未来をつくるのはウェブ? 最新技術がもたらす未来予測

2014年04月26日 11時00分更新

wambook

アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日
著 桃田健史
洋泉社
1512円

第五の権力
Googleには見えている未来
著 エリック・シュミット、ジャレッド・コーエン
ダイヤモンド社
1944円

ウェブとはすなわち現実世界の未来図である
著 小林弘人
PHP新書
821円
 

 専門化の未来予測はたいてい間違う。優れた見識(偏見)の持ち主である僕は、未来予測本の類いは、眉につばを付けて勘ぐりながら読む。今回取り上げる本は、最新技術とそれがもたらす未来予測に関する本だ。

 自動運転のクルマ。これも疑わしい未来予測のひとつ。自動運転車は登場しないに一票だが、自動車産業とITの垣根がなくなりつつあるのは明確な事実。『アップル、グーグルが自動車産業を乗っとる日』は、デトロイトからシリコンバレーへと、自動車産業の中心地が移りつつある自動車産業の現在を広い視点でとらえたもの。現状は、グーグルが先導する車載器用アンドロイドの“オープン・オートモーティブ・アライアンス”陣営とアップルが先導する“iOS in the Car”陣営に分かれての陣営競争が始まっている。この本で初めて知ったが、グーグルは自動運転の実験からすでに身を引いたという。びっくり。

 次はグーグルのシュミット会長の『第五の権力 Googleには見えている未来』。グーグルが未来をつくることを前提とした鼻白む話も多いが、おもしろいのが、報道メディアの未来についての予測。セレブが慈善事業を利用して自己宣伝するのと同じ動機で、辺境の紛争地などからニュースを配信する“凡庸で中身の薄い”メディアをつくる未来を予測している箇所。これは当たりそう。

 小林弘人『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』は、画期的な本。本書は、現代の社会が、ウェブの原理や規範のコピーになりつつあるという。例えば、オープンソースはウェブ上で発達した原理だが、“オープン”は現実にも活用される手法になった。オバマは、それを選挙活動に利用して大統領になった。“シェア”なども同様。著者は「仮想といわれた現実は、私たちの内面となり、リアルな社会へと影響を及ぼす」という。

 確かに“炎上”なども“デモ”として現実化するのか。納得。
 

速水健朗
フリー編集者・ライター。近著に『1995年』(ちくま新書)、『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)。

※本記事は週刊アスキー5/6号(4月22日発売)の記事を転載したものです。

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