2012年10月09日14時00分

KDDI田中社長「iPhone 5のMNPは5.5倍。機能もLTEもauの勝ち」

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 9月度の携帯電話契約の純増数が22万4900件、MNPによる転入数が約10万件に達したKDDI。もちろん、iPhone 5の影響であることは明らかです。
 同社の田中孝司 代表取締役社長に、具体的なiPhone 5の販売状況やLTEサービスに関する戦略などについて話を聞きました。

KDDI iPhone 5 interview
↑KDDIの田中孝司 代表取締役社長。白のiPhone 5に、auオンラインショップで販売中のカバー『Red ENGAGE FORM』(直販価格 2310円)を装着。

iPhone 5のMNPは4Sの5.5倍

――iPhone 5の販売状況はいかがですか?

田中氏 予約の約4割が新規、6割が機種変でした。新規のうち8割がMNPによる転入で、これは去年のiPhone 4Sの5.5倍です。ソフトバンクからも相当な数流入しています。

――あらためてau版のiPhone 5のメリットを教えてください。

田中氏 今まではあまり紹介していなかった点について説明します。
 まず、バッテリーの持ちです。アップルのティム・クックCEOは米国での発表会で、「待ち受けが225時間」と言いましたが、auのLTEでは最大260時間までもつようにチューニングしてあります。
 LTEのネットワーク内にいるときは、基地局からそれを知らせてくれる。auのiPhone 5は、LTEエリアにいる場合は余計なネットワークのスキャンはしません。そういうところをチューニングしています。
 また緊急地震速報についても、定期的に情報を受け取りに行くソフトバンクに対して、auはプッシュで必要なときだけ情報を受け取るのでバッテリーのもちに影響しません。
 さらにLTEでのテザリング中、ウェブページを閲覧するなどして通信が発生しない間はこまめに電波をオフにします。テザリングでは電池がもたないと言われていますが、これで8時間もちます。

 次に、いわゆる“コンカレント通信”について。LTEでデータ通信中に通話するとLTEが切れるのは、実はauもソフトバンクも同じなんです。iPhone 5では、世界中どこの通信事業者であっても、LTEのデータ通信と通話を同時に行なうことはできません。米国での発表会でLTEに関して“Single radio”という説明がありましたが、これはLTEと3Gは同時に通信しないことを意味しています。

KDDI iPhone 5 interview

 LTE通信中に着信すると、3Gでの通話が始まります。auの場合は通話が終わればすぐLTEに復帰します。1秒もかかりません。ソフトバンクの場合は3GからLTEの復帰に約1分を要します。

 最後に、エリアについて。auとソフトバンクでは基地局のタイプが違います。ソフトバンクは基地局から電波を360度発射します。そのぶん1基でカバーできるエリアが狭く、エリアを埋めようとすると重ねないといけない。だから基地局数が必要だし、重なる部分では干渉が起きてスピードが落ちてしまいます。
 auは3セクターといって、ひとつの基地局から120度ごとに3つの電波を吹くようになっています。こうすると、エリアがきれいに埋まっていく。ここから、同じような基地局数でもつながりやすい、つながりにくいという違いが出ているのです。
 3Gでもソフトバンクの基地局数が多いのはこういう理由です。ですから、単に基地局の数で比較するのはダメじゃないの? と私は思っています。

KDDI iPhone 5 interview
↑LTEの基地局のタイプ。左はau、右はソフトバンクが採用している。

※10月10日17:30追記 ソフトバンクモバイルの広報によると、同社の2.1GHz帯のLTEでも3セクタータイプの基地局であり、オムニセクターのタイプはごく一部のLTEの基地局でのみ使われているとのことです。
 

基地局数の単純比較はしたくない

――週刊アスキー編集部で行なった都内全国のLTE速度調査を見ていると、auは地方よりも都心で強い印象があります。それは戦略ですか?

田中氏 都心がいちばん混んでいるから、それだけです。まず都心から拡充していきます。基地局は年末までに1万弱にする予定です。

――iPhone 5用の2GHz帯と、これからサービスを始める800MHz帯、1.5GHz帯を合わせた数ですか?

田中氏 う~ん、それは非公表です。今、基地局数を比較してマルとバツを付けられる傾向があるようですが数だけの問題ではないので、あまり言わないようにしています。そういう安易な比較にはのらない!(笑)

――全国の調査結果では、ソフトバンクは30Mbps出ているところがあるのに対して、auは最大で17Mbpsでした。この違いは何でしょうか?

田中氏 LTEのエリアでは、基地局から遠ざかるほどスピードが出ません。LTEの一般的なセクターあたりのスループットは、ひとりで使って20Mbpsくらいです。端に近づくと数Mbpsまで落ちます。だから、計測した場所がちょうど基地局の3セクターのはざまだったかもしれません。ソフトバンクの場合は、近隣に干渉を起こす基地局がなければ安定して速度が出る、と言えます。

――週刊アスキーの調査では、iPhone 5の発売当日にアップルストアで下りが50~60Mbpsも出ました。ただし1週間後には、10Mbps出ないこともありました。

田中氏 それは皆が使っているからじゃないですか。シェアしますから。たくさんのお客様が使うと遅くなります。10Mbps出れば十分では?

――現在、ここはLTEがつながりにくいというエリアはありますか?

田中氏 LTEの前からですけど、品川、渋谷、池袋は厳しいですね。どのキャリアでも共通で、これ以上打ち込めないというくらい3Gの基地局を設置して、WiFiスポットも設けている。そこに、さらにLTEも増やさなければならない。キャリアによっては、LTEを増やした結果3Gがつながりにくくなったとも聞いています。
 金曜日の夕方はいちばん混みますね。あれは悲惨です。

7GBにはちょっとやそっとでは行かない

――LTEで通信が快適になると通信量も増えると思いますが、auには定額の動画配信サービスがありますよね。7GBのデータ量制限に引っかかってしまうユーザーがけっこういそうではありませんか?

田中氏 7GBにはちょっとやそっとでは行かないと思っています。たとえば朝から晩までビデオを見ている、といった特殊な使い方をしなければ。「そういうお客様は規制します」そして「それ以上使いたいなら追加料金を払ってください」というレベルが7GBなんです。5%ほどしかいないと見ています。
 ビデオを見るなら家に帰ってWiFiを使うよね、とも思います。携帯電話からスマホに移行すると、ひとりで使うデータ通信量は3~10倍になります。でも料金は10倍にはできません。そうなると、家にいるときはWiFi、外ではLTEと3Gという“マルチネットワーク”にしないとキャリアも困ってしまう。お客様も「つながるけど遅い」という状態になってしまう。それはよくないですよね。SDのビデオならいいですが、HDのビデオならWiFiで観て欲しいと思っています。

――では、公衆無線LANのスポットも拡充は続けるんですね?

田中氏 そうです。今は約20万の“au Wi-Fi SPOT”があります。5GHz帯にも対応しましたし、WiFiで使うユーザーは増えると考えています。

機能もネットワークもauの勝ち。サービスも拡充する

――iPhone 5の発売記念イベントで、「ソフトバンクを追い抜いた」という言葉がありましたが、ソフトバンクもどんどん対抗策を出してきていますね。KDDIは今後どのような戦略を考えていますか?

田中氏 端末の機能はソフトバンクを完全に追い抜きました。ネットワークに関してもどう見てもウチのほうがいい。料金も、標準的なプランでは勝っていると思います。詳細はまだ言えませんが、サービスも拡充する予定です。
 われわれが目指しているのはマルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースの“3M”です。ネットワークは今回LTEを始めることによってほぼ達成しました。デバイスは、スマホはほとんどカバーしています。タブレットはちょっと弱いかなと思うので、秋の展開を考えています。あとは“スマートパス”でのサービス強化です。
 これで今年ほぼ3M構想が整うので、来年はもっと自由に、使いやすくなるように頑張っていきたいなと思っています。

――ところで、田中社長がiPhone 5にインストールしたアプリを教えてください。

田中氏 それはやばいよ(笑)。笑われそう。心の中をのぞかれるようで……。よそゆきのアプリを入れて、今度お見せしようかな。
 このカバーもそんなに見せたいわけではない……。「赤持ってる~」とか「何考えてるんだ」とか「センスが悪い」とか言われるんですよきっと(笑)。

――いえいえそんなことは……。iPhone 5でいちばん気に入っているところは?

田中氏 縦長になったのがいいよね。軽くなったのも。これに比べるとiPhone 4Sは重かったよね。これは本当に軽い。最初に持ったとき「これ、モック?」と言ったもの。まじで。

KDDI iPhone 5 interview
↑「パノラマもいいよね!」とiPhone 5にかなりご満悦のようすでした。

 ……というわけで、非常にざっくばらんにauのiPhone 5について語ってくれた田中氏。LTEに関しては、お話のとおりユーザー数でも速度が変わるので、週刊アスキーでも継続的な調査が必要だと考えています。今秋の発表が見込まれるLTE対応のAndroid端末ではどのような結果になるのか、そちらも楽しみですね。

iPhone5まとめ

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