ついに発売開始の次世代AIプロセッサーです!!
「RTX Spark」でAI動画を生成したら爆速すぎだった=ASUS「ProArt P14」実機レビュー=3D性能はRTX5060レベル
2026年10月17日 00時01分更新
ASUSは「NVIDIA RTX Spark」を採用した次世代AIノートPC「ProArt P14(H7407)」と「ProArt P16(H7607)」の2製品4モデルの予約開始を発表した。予約は10月14日から始まっており、10月23日から順次発売される。
両製品は、NVIDIA Grace CPU とBlackwell RTX GPUとを統合した「NVIDIA RTX Spark」を搭載するノートPCだ。最大1ペタフロップスのAI性能を実現しており、高度なクリエイティブワークを快適にこなせることはもちろんのこと、ローカル環境での生成AI動画制作も実用的な速度で実行可能だ。
今回は14型の「ProArt P14(H7407)」をASUSから借りたので、定番ベンチマークだけでなく、実際にどのぐらいの品質の動画をどれだけの時間でオンデバイスでAI生成できるのか試してみた。高価なマシンである本製品の秘める価値についてじっくりチェックしていこう。
Armベースの20コアCPUと
6144基のCUDAコアを持つGPUに
最大128GBメモリーを搭載
「ProArt P14(H7407)」は、Windows 11 Proを搭載した14型クリエイター向けノートPCだ。プロセッサーには「NVIDIA RTX Spark N1X」を採用。このプロセッサーには、20コアのNVIDIA Grace CPUと、6144基のCUDAコアを備えるNVIDIA Blackwell RTX GPUが統合されている。AI処理性能は最大1ペタフロップス(FP4)と謳われているから驚きである。
CPUはArmベースなのでArmバイナリーのネイティブアプリでフル性能を発揮できる。一般のWindows用アプリはインテルのx86バイナリーなので、Prismが間に入ったエミュレーションになる。
メモリーは128GBまたは48GBのLPDDR5X-9400を搭載。CPUとGPUで共有するユニファイドメモリーとなっており、特に128GBモデルは大規模な生成AIモデルをローカル環境で実行する際に魅力的なスペックだ。なお、ストレージは両モデルとも1TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載している。
ディスプレーは14型3K有機EL(2880×1800ドット)を搭載。リフレッシュレートは120Hz。タッチ操作に対応し、表面はCorning Gorilla Glass 3で保護されている。ディスプレー上部には207万画素の赤外線カメラが内蔵されており、顔認証でロックを解除可能だ。
インターフェースはUSB4(Type-C、USB Power Delivery、映像出力対応)×3、USB3.2 Gen2 Type-A、HDMI、SDメモリーカードスロット、3.5mmコンボジャックを装備。ワイヤレス通信はWi-Fi 7とBluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは310.7×218.9×13.9~15.9mm、重量は約1.48kg。バッテリー駆動時間は動画再生時約9.5時間、アイドル時約16時間と謳われている(JEITA 3.0測定法)。
128GBモデルの価格は119万8000円で、10月23日発売予定。48GBモデルは94万9800円で、11月中旬発売予定。下位モデルのほうが発売が後なのは、ASUS恒例である。また、128GBモデルはナノブラックとネオホワイトの2色が用意されるが、48GBモデルはナノブラックのみ。注力商品は128GBモデルということなのだろう。
ちなみに16型の「ProArt P16」のほうは、128GBモデルが124万8000円、48GBモデルは99万9800円で、こちらも10月23日と11月中旬発売予定である。
定番ベンチマークでCPU、GPUを計測
3Dゲーム性能はRTX5060~5070レベル
動画再生なら11時間駆動も
それでは早速ベンチマークテストを実施してみよう。比較対象機種として、以下を並べてみた。
・「ASUS Zenbook SORA 16 UX3607OA」
Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100
(18コア4.7GHz)
・「HyperX OMEN 15」
Core i7-14650HX
(16コア5.2GHz)
+GeForce RTX5060
・「Alienware 16X Aurora」
Core Ultra 9 290HX Plus
(24コア5.5GHz)
+GeForce RTX5070 Ti
CPU性能については、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1697pts、CPU(Single Core)は133pts、「CINEBENCH 2026」のCPU(Multiple Threads)は7087pts、CPU(Single Threads)は554ptsを記録した。ともにArmバイナリー版で計測している。
「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は1697pts、CPU(Single Core)は133pts。「CINEBENCH 2026」のCPU(Multiple Threads)は7087pts、CPU(Single Threads)は554pts
3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のTime Spyは12643、Fire Strikeは23761だった。この2本はx86バイナリーなのでエミュレータで実行になる。Port Royalは8764、Wild Lifeは69455で、こちらはArmバイナリーなのでネイティブ実行だ。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは17289(非常に快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは11584(とても快適)を記録した。この2本もx86バイナリーなのでエミュレータ経由になる。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」は17289(非常に快適)。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」は11584(とても快適)。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「SAMSUNG MZVL81T0HFLB-00BTW」を搭載しており、「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7248MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5886MB/sを記録した。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「SAMSUNG MZVL81T0HFLB-00BTW」を搭載。「CrystalDiskMark 9」のリード(SEQ1M Q8T1)は7248MB/s、ライト(SEQ1M Q8T1)は5886MB/s。
AI性能については、「UL Procyon AI Computer Vision 2.0 Benchmark」のfp16は3785を記録した。
バッテリー駆動時間については、ディスプレー輝度、ボリュームを40%に設定し、YouTube動画を連続再生したところ、バッテリー残量が100%から90%に減るまで、1時間9分10秒(4150秒)を要した。つまり単純計算で、バッテリー残量0%までであれば11時間31分も動作することになる。
ベンチマークを総括すると、「NVIDIA RTX Spark」を搭載した「ProArt P16(H7607)」は、ディスクリートGPUにGeForce RTX 5060を搭載したマシンと同等の3Dグラフィックス性能を発揮している。CPUのマルチコア性能についても、Snapdragon X2 Elite Extreme X2E-94-100、Core i7-14650HX、Core Ultra 9 290HX Plus搭載機とそん色ない。本製品が本領を発揮するAI処理以外においても、現行モバイルノートPCのなかで上位クラスの性能を備えていることは間違いない。
ArmネイティブのAI動画生成では
5秒間の動画を平均81.67秒で出力
CINEBENCHや3DMarkなどのベンチマークで性能を測るだけでは、RTX Sparkの実力を体感できない。そこで今回はローカル環境でAI動画生成に挑戦してみた。
使用したのは、生成AIをノードベースで操作できる「ComfyUI」と、動画生成AI「LTX-2.5」でWindows on Armに対応だ。LTX-2.5の22B蒸留モデル(INT8)で、テキストから動画を生成する「Text to Video」を実施している。
生成したのは、雨の夜のネオン街で、メタリックブラックのボディーを持つ女性型アンドロイドが振り向いて銃を構えるという映像だ。趣味丸出しで気恥ずかしいが、同好の士は多いはずだ。
動画の長さは5秒に設定し、出力解像度は1280×704ドット、フレームレートは25fpsに設定。モデルやプロンプトなどの条件は固定し、シード値だけを変更して3回生成した。また、生成するたびに1分間のアイドル時間を設けている。
生成時間はComfyUIの実行ログから取得したが、1回目は83.61秒、2回目は80.83秒、3回目は80.58秒となった。平均は81.67秒、つまり約1分22秒で、約5秒間のAI動画を生成できたわけだ。3回の生成時間の差も最大3.03秒と小さかった。
それでは、実際に生成された3本の動画を見てほしい。1本目は、女性型アンドロイドが正面から一瞬背後を振り返り、すぐさま銃をこちらに向けるという構成になった。顔の造形は自然で、メタリックブラックのボディーに映り込む光や、雨に濡れた路面の質感もよくできている。振り向きから銃を構えるまでの流れも比較的スムーズに生成されている。
1本目の生成動画(生成時間83.61秒)。顔やボディーの質感もよい感じ
2本目は、後ろ姿からスタートして、振り向いて銃を構える映像となった。振り返る際の身体の動きや、顔がこちらを向くまでの流れは一番自然だ。ただし、銃を取り出す動作は描かれておらず、唐突に銃が手元に現れている。
2本目の生成動画(生成時間80.83秒)。後ろ姿から振り向き、銃を構えるという展開になった
3本目は、女性型アンドロイドが一度銃を持ち上げたあと、構え直すような動きを見せている。表情やボディーの描写は良好で、動きにも躍動感があるが、銃を扱う動作にややぎこちなさが残る。
3本目の生成動画(生成時間80.58秒)。顔の描写は自然だが、銃の形状や構える動作には不自然な部分も見られた
今回の3本は細部を見ればAI動画特有の不自然さも残っているが、これらの動画をすべてノートPC単体で、短時間で生成できた。今回は約5秒の動画を1本あたり平均約1分22秒で生成できたので、やり直しもそれほど苦ではない。そして何回やり直しても、クラウドサービスの生成クレジットを消費することもない。
実は今回の記事を書くうえで、最も時間がかかったというか、楽しんでしまったのがこの生成AI動画作成のパートである。モデルのダウンロードや環境構築にはある程度の時間が必要だが、一度環境を整えれば、プロンプトを変えながらローカルで動画生成を繰り返せる。NVIDIA RTX Sparkを搭載した「ProArt P14」の性能と大容量ユニファイドメモリーを生かせる用途の筆頭であることは間違いない。
お値段120万円は個人ユーザーには高価だが
X68000やAmigaと同じ予感がする
「ProArt P14」は高価だ。個人的には50万円を超えるPCを購入したことがないので、約120万円という本製品の価格を自分自身に対して正当化する言葉は、現段階でも見つからない。
しかし、NVIDIA RTX Sparkを搭載した「ProArt P14」は、従来のクリエイティブワークに加えて、ローカル生成AIという用途でも高いパフォーマンスを発揮する。大容量のユニファイドメモリーにより、要求スペックの高い生成AIモデルをローカルで実行でき、しかもさまざまな場所に持ち運んで試行錯誤を楽しめる。最先端の生成AIを存分に活用したいと考えている人にとって、非常に魅力的な製品だ。
私はこれまで、採算度外視でX68000やAmigaなどのコンピューターを購入したことがある。もちろん分割払いだったので、その後数年は食生活などがまあまあ圧迫された。しかし、購入したことをまったく後悔していない。
ProArt P14には、あのころX68000やAmigaに感じたような、新しい体験をさせてくれる予感がある。そして、きっと何かを自分に残してくれる気がしてならないのだ。本製品はそんなマシンなのである。
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