第31回
豪華審査員軍団は何を最も変態なガジェットに選ぶのか?
ガジェットマニアとは何か―――変態ガジェットフリマとアワード2026
2026年10月17日 09時00分更新
デジタルガジェットマニアというのは、新しい機械が好きな人間のことではない。そう定義するのだとしたら家電量販店のポイントカードを持っている全員が、スティーブ・ジョブズになってしまう。
彼らが愛しているのは機械だけではない。「まだ誰も使い方を知らない機械を、自分だけが先に理解している」という状況が重要なのである。
普通の人間はスマートウォッチを見て、「時刻がわかる」と思う。メールの受信やSNSのメンションくらいは知らせてもらっているだろう。しかし、ガジェットマニアは違う。「血中酸素濃度を測れたり、電子決済はもちろんできて、しかも睡眠中の寝返りまで記録される」ものだととらえている。
そこで、これを読まれている方は疑問に思うことがあると思う。その寝返りの記録とは、いったい何と戦うために使うのだろう?
昨夜は右に12回、左に9回。右の勝ちでした。
ガジェットマニアは、まだ起きていない問題に備えて機械を買う。バッテリーが切れるかもしれないからモバイルバッテリを持つのはふつうの人もやっていることだ。しかし、ガジェットマニアは、1個や2個のモバイルバッテリではない。
私が持っていていちばん大好きなモバイルバッテリは、香港のPMQで買ったマトリョーシカの形をしたそれである。ほかにも、コンパクトカセットの形やファミコンカートリッジの形のモバイルバッテリをもちろん持っている。
ガジェットマニアにとって、レビュー記事やレビュー動画は、その生息域である。あるときは、そうしたレビューを30個も見た末に「今回は見送る」と宣言する。Insta360やDJIのカメラやHOVERAirのような製品は、そうしたものの代表である。しかし、それは撤退とは考えていない。次のモデルを待つという名の戦力の立て直しである。
ガジェットマニアは未来を待てない。未来が玄関まで宅配されるのを待っている。配送状況を1時間に3回は確認し、「配達中」の3文字から運転手の現在地を推理する。
ガジェットマニアは、ファームウェア・アップデートによって人生の不具合まで解消されると錯覚しているようなところがある。なんたる素晴らしいしきたりだろう。なにしろ、それによってバッテリーの持続時間は7パーセント改善するしバグも解消される。
それは、彼ら以外の人からみたら小さなことのように見えるかもしれない。しかし、世の中のほとんどの人も、世間的にまともだと考えられている企業の取り組みなども、その程度の改善を「成長」とか、ときに「革新」と呼びながら進んでいるのではなかろうか?
イベント「ちょもろー」と変態ガジェットアワード2026のご案内
そんなガジェットについて、今年もイベントをお手伝いをすることになった。
2026年11月7日(土)、8日(日)の2日間にわたって、東京都港区海岸にある東京ポートシティ竹芝、ウォーターズ竹芝を会場に開催されるのが、「ちょっと先のおもしろい未来」、略して「ちょもろー」だ。詳細は、公式ページ(https://www.change-tomorrow.tokyo/)をご覧いただきたい。
この「ちょもろー」において、今年も「変態ガジェットフリマ2026――お宝と〇〇同然の逸品に出会えるデジタルをこよなく愛する人たちのリアルマーケット」が開催される。
私も昨年は、伝説のソニーのラテカセ「Jackal 300」や米マテルの世界最初のLEDゲーム機、『秋葉三尺坊の大冒険』などを並べたが、やってくる老若男女とのコミュニケーションも楽しかった。ガジェット界で有名な方々も参加してくれて、大いに盛り上がった。
この記事を書いている時点で、出店者の受付も行われているので、この機会にガジェットの断捨離と考えている方は出店を検討してみてはいかがだろう(申し込みページは https://gadget2026.peatix.com/)。フリマの開催は、11月8日(日)のみなので注意のこと。時間は、午前10時から午後6時までの中でとなっている。
「変態ガジェットアワード2026」の審査員が揃った
また同日、14:00~14:50には、「変態ガジェットアワード2026」も開催される。各界豪華ガジェッターを審査員として迎え、どのガジェットが、ガジェットの中でも最も変態ガジェットにふさわしいかを議論の上、ステージ上で「第2回 変態ガジェットアワード」を選出する。
そもそも、どのあたりが「ガジェット」として世の中に認識されていて、どんなマシンが議論されるの? という疑問のある方は、以下の「ガジェットの年表 0.2」をご覧いただきたい。各年の項目を叩くとその年に発売された主なガジェット一覧が表示、地球マークを選ぶとその機種のWikipediaや関連ページですぐに内容を確認できる。
ガジェットの年表0.2(https://xnative.pages.dev/)
当日の審査員には、テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」でデジタルものの鑑定をするほか、今年はこれ以上ガジェット的に深い本はないとも思える『初期Macintoshを支えた描画エンジン QuickDrawの技法』を上梓した柴田文彦さん。自らさまざまなハード、ソフトを実装し、ガジェット界において「キモズム理論」の提唱者としても知られる近藤義仁氏(NULL=RUN、@GOROman、無職、元Facebookエンジニア)、絶滅メディア博物館(https://extinct-media-museum.blog.jp/otemachi/)の館長こと川井拓也氏が登壇。
これに、変態ガジェットプロジェクト発起人のSOLAくん(昨年の記事参照)と、この記事の筆者である遠藤がモデレーター兼審査員として加わり、合計5名で審査を行う予定。
なお、昨年の栄えある第1回「変態ガジェットアワード2025」は、1979年(昭和54年)にシャープから発売された「ラテカピュータ」が受賞した。まだ、パソコンという言葉も定着していなかった時代に、複合商品を得意としていたシャープから発売された、ラジオ、テレビ・カセットプレイヤー、コンピューターが合体した伝説の製品である。
さて、今年はどんな機械が壇上で輝くことになるのだろうか。その日まで、箱は開けないでおきたい。
■名 称 :変態ガジェットアワード2026 表彰式
■実施日程 :2026年11月8日(日)
■時 間 :14:00~14:50
■会 場 :東京ポートシティ竹芝1Fポートプラザ前特設ステージ
https://www.portcity-hall.tokyo/access/
・浜松町駅(JR山手線・京浜東北線・東京モノレール)徒歩4分
・竹芝駅(ゆりかもめ)西口 徒歩2分
・大門駅(都営地下鉄浅草線・大江戸線)B1・B2出口
■ちょもろー公式ページ:https://www.change-tomorrow.tokyo/
■変態ガジェットフリマ申し込みページ:https://gadget2026.peatix.com/
遠藤 諭(えんどうさとし)
角川アスキー総合研究所リサーチパートナー、MITテクノロジーレビュー日本版アドバイザー、ZEN大学客員教授、ZEN大学 コンテンツ産業史アーカイブ研究センター研究員。プログラマを経て1985年に株式会社アスキー入社。月刊アスキー編集長、株式会社アスキー取締役、株式会社角川アスキー総合研究所取締役などを経て、2025年より現職。雑誌編集長時代は、ミリオンセラーとなった『マーフィーの法則』など書籍も手がけた。著書に、『計算機屋かく戦えり』、『近代プログラマの夕』(ともにアスキー)など。
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