「特殊詐欺」は普通の詐欺と何が違う?
現在、大規模な情報漏えいが相次いでいますが、個人情報はバラまかれて終わり……ではありません。実際に問題が起こるのはこの後です。
運転免許証などの本人確認書類系が漏れてしまった場合は、成りすましによる消費者金融での借入といった直接的な金銭被害が最も恐ろしいかと思いますが、そのほかにもやっかいな詐欺に遭遇する恐れがあります。
メールアドレスには詐欺メールが押し寄せてくるでしょうし、電話番号にもニセ警察をはじめ詐欺電話が増える恐れもあります。漏れた番号が高齢者のいる家庭の固定電話だったりすれば、特に注意が必要です。もし住所もセットなら、官公庁や自治体を装ったニセの督促状が届くかもしれません。さらに、漏えいした情報が別の犯罪に悪用される可能性も考えられるため、警戒が必要です。
そのなかでも特に注意しておきたいのが、いわゆる「特殊詐欺」です。
と、ここで早くも「普通の詐欺と何が違うの?」と疑問に思った人、いらっしゃいますよね? 今回はテーマがテーマですので、即回答を。
特殊詐欺とは警察庁の造語です。もともとは、家族を装って電話を掛けて、示談金が要るなどと偽り、金銭を騙し取る手口を“オレオレ詐欺”と命名することから始まりました。
ほどなくして銀行口座への振り込みを指示する手口が増えたことで名称が“振り込め詐欺”に変わり、さらに架空料金請求など電話やインターネットを悪用した詐欺の手口が多様化したため、警察庁では“対面せずに詐欺行為を働く手口全般”を特殊詐欺と呼び、通常の詐欺とは別に統計・分類するようになったようです。
現在多発しているSNS型投資詐欺、SNS型ロマンス詐欺、そして2024年後半から被害が急増しているニセ警察詐欺も、現在では特殊詐欺の1つとして数えられています。
氏名も住所も知っている詐欺師、その言葉を信じられますか?
漏えいした個人情報は、名簿業者間やダークウェブなどで売買され、詐欺グループのターゲットリストに利用される恐れがあります。今回、本人確認書類など複数の個人情報が漏れてしまった人は、巧妙なフィッシング詐欺・脅迫のターゲットになるかもしれません。
厄介なのは、詐欺メールや電話に、漏えいした氏名・住所・生年月日・免許証番号などの正確な情報が使われる可能性があることです。本人しか知らないと思っていた情報を示されれば、官公庁や自治体、警察などからの正式な連絡だと信じ込んでしまうかもしれません。
ニセ警察詐欺など、電話やビデオ通話を悪用する手口も同様です。加えて、複数箇所からの漏えいデータを詐欺グループが整理・統合している場合、想定以上に情報精度が高くなっていることもあり得ます。
自治体や企業・団体からの封書に見せ掛けて、ニセのWebサイトへ誘導するQRコード付きの督促状もしくは“プレゼント当選のお知らせ”などが届くことも予想されます。
さらに、住所に加えて顔写真まで漏えいしている場合、住所だけでなく本人の外見まで第三者に知られてしまいます。これらの情報が悪用されれば、特定の人物を狙った嫌がらせやつきまといなどにつながる可能性も否定できません。
「個人情報を知っている=信用できる」は大間違い!
事ここに至って個人ができる対策は限られていますが、まず重要なのは、どのような情報が漏えいしたのかを正確に把握することです。
もしパスワードも漏えいしているなら、速やかに変更しましょう。同じパスワードをほかのサービスでも使い回している場合は、そちらの変更も必要です。対応しているサービスなら、パスキーや多要素認証を設定しておくと、アカウント乗っ取りのリスクを抑えられます。
一方、氏名や住所、本人確認書類などが漏えいした場合は、それらの情報を使った詐欺に警戒する必要があります。たとえ相手が正確な個人情報を知っていたとしても、それだけで本物の警察官や自治体職員だと判断してはいけません。
不審なメールやSMSに記載されたURLは開かず、電話や書面に記された連絡先も鵜呑みにしないこと。必要なら、公式サイトなどで調べた窓口に自分から問い合わせましょう。
漏れてしまった個人情報を取り戻すことは困難です。だからこそ、「相手が自分の個人情報を知っているから信用できる」という思い込みを捨てることが、二次被害を防ぐ第一歩になるのです。
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