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年間2500時間を時短するも、DX人材育成プロジェクトでその先へ

本当のkintoneらしさとは? 紙文化、属人化、システムの進化に真正面から取り組んだキーコーヒー

2026年09月24日 10時30分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水 写真提供●サイボウズ

キーコーヒー 管理本部ITクリエーションチーム 主任 白坂勇樹さん

 コーヒーを主力に、創業100年を超えて日本の喫茶文化を支えてきた企業は、アイテム数の多さ、属人化した見積書、プリントアウトされた見積書の承認作業に掛かる時間といった課題に頭を悩ませていた。事業本部デジタル化推進プロジェクトにかり出された主任はkintoneに無償プラグインを導入するが、要望の多さにその管理ができなくなってきた。

 kintone hive 2026 tokyoの2番手として登壇したのは、コーヒーに関する事業をを手がける「キーコーヒー」の白坂勇樹さん。プレゼンでは、kintoneのプラグイン20個と生成AIのJavaScriptの導入で問題が生じ、それを解決するために「kintoneらしさ」を考え、継続的な業務改善のための道しるべを掴んだ事例について語られた。

kintone hive 2026 tokyoの2番手はキーコーヒー株式会社

コロナで打撃を受けた営業現場が見つけた共通課題は、Excelと紙の見積もり作成

 キーコーヒーは1920年の創業以来、コーヒーに関する事業を幅広く手がけてきた総合企業だ。本社は東京都港区にあり、社員は約1000名。日本の喫茶文化を長年支えてきた老舗で、街で青い鍵の看板を見たことがある人も多いだろう。その最前線を担ってきたのが営業部隊の事業本部だ。白坂さんは新卒入社後の4年間を営業で過ごし、現在の情報システム部門に異動してきた。

 創業100周年を迎えた2020年、新型コロナウイルスの影響で事業本部が大打撃を受けた。喫茶店や飲食店、宿泊施設といった取引先の休業や時短営業が相次ぎ、主力の業務用市場が一気に冷え込んだ。今まで通りが通用しなくなった経験を経て、2022年4月に事業本部デジタル化推進プロジェクトが発足する。白坂さんはサポートメンバーとして参画した。

 いざ始まってみると、現場が抱える課題は人それぞれで、営業所によって仕事の進め方も統一されていなかった。そんな中でやっと見つかった1つの共通課題が見積もり作成だった。基幹システムから商品情報をExcelにコピーし、そのまま見積書を作り、印刷したものをハンコで承認する。取り扱いアイテムが多いため検索に時間がかかり、全国チェーンの顧客は別部署の本部担当に毎回確認が必要で、確認する側もされる側も負担が大きかったのだ。承認にも時間がかかり、作った見積もりは担当者のパソコンに残ったままで共有もできない。

アイテム数の多さ、紙の承認、属人化が見積もり業務の課題になっていた

 解決策をいくつか検討したものの、改善効果があまり見込めなかったり、コスト面で導入が難しかったりと、これだと思える策がなかった。そんなときに出会ったのがちょうどリリース直後だった「RICOH kintone plus」。サイボウズのkintoneをベースにリコーが提供する、独自プラグインを標準で搭載した業務改善プラットフォームだ。

 CSVでマスターを取り込め、ルックアップやテーブル、関連レコード、コメント、プロセス管理といった機能で見積もりの課題はすべて解決できそうだった。Excel出力ができるRICOH 帳票作成プラグインも標準で付いているのもポイントだった。

「迷っている時間がもったいなかったので、すぐに導入を決めます。クラウドサービスだからこそできる素早い意思決定で、すぐに契約しました」(白坂さん)

 ところが、アプリを作ってプロジェクトメンバーに公開すると評価はいまいちだった。課題は検索機能だった。1文字での絞り込みができず、英単語の部分一致にも対応しておらず、使いにくいと言われてしまった。さらには、標準機能では対応できない要望もたくさん出てきた。

プラグイン20個と生成AIのJavaScriptで膨らんだカスタマイズを一本化

 要望に応えるため、白坂さんは頑張ってカスタマイズを重ねた。すると、今度は「kintoneいいね」とみんなに認めてもらえた。ただし、このカスタマイズには問題があった。当時行ったのは無償プラグインの導入と、登場したてのChatGPTによるJavaScript開発だったのだ。

 1つのアプリにプラグインが最大20個も入り、自分でも内容を把握できていないJavaScriptファイルが積み重なる。カスタマイズ同士が競合しておかしな動きをすることもあれば、アップデートで動かなくなって非常に焦ったこともあったという。無償プラグインにサポートはなく、生成AIが毎回必ず動くコードを書いてくれる保証もない。

「何より、自分でも訳が分からず、とても管理できません。引き継ぎなんてもってのほかという、kintoneらしくないカスタマイズをしてしまっていたんです」(白坂さん)

 kintoneらしさとは何だろうと改めて考えた白坂さんがたどり着いたのが、kintone SIGNPOSTだった。kintoneで継続的な業務改善をするための道しるべをまとめたコンテンツで、答えそのものはないものの、ヒントや手がかりがたくさんあった。

kintone SIGNPOSTを手がかりに、kintoneらしいカスタマイズへ方向転換した

 そこで導入したのが、アールスリーインスティテュートのgusuku Customine(以下、カスタマイン)。JavaScriptを書けなくても、kintoneのカスタマイズをノーコードで自由に行える連携サービスだ。白坂さんも少し勉強するだけで手を動かせるようになり、ぐちゃぐちゃだったカスタマイズをカスタマインに一本化できた。

 カスタマインの良さは機能の豊富さだけではない。自分でアプリを作り、自分で業務改善ができるのがノーコードツールであるkintoneのメリットで、そこには達成感や楽しさがある。カスタマインを導入したことで、機能面以上にこの達成感と楽しさが大きくなった。

「私はカスタマインが大好きですが、この達成感と楽しさが一番好きな理由です。そしてこの楽しさこそが、業務改善を推進する上で非常に大切な要素であると考えています」(白坂さん)

 業務改善は一度やっただけでは意味がない。継続に必要なのが、自分でもできたという成功体験だ。それがモチベーションになって学習が進み、スキルが身につき、そこにまた成功体験が生まれる。

「学習すること自体が楽しい。新しくできることが増えるのが楽しい。業務改善そのものが楽しい。この楽しさが回す業務改善のサイクルこそが、kintoneらしさだと考えています」(白坂さん)

学習と成功体験が循環することで業務改善が続いていく

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