SAOT、VAR、全選手の3Dスキャン―― 審判をサポートする技術にもイノベーションが
ワールドカップ2026で実現 より速く、正確なオフサイド判定テクノロジーの裏側
2026年06月27日 13時00分更新
日本代表チームの決勝トーナメント進出が決まり、いよいよ盛り上がってきたFIFAワールドカップ2026。連日盛り上がる試合中継の合間に、2022年の前大会の名場面を見返しているサポーターもいるかもしれない。
前大会で記憶に残る名シーンのひとつが、日本対スペイン戦の“三苫の1ミリ”である。三苫薫選手が放ったクロスは、ゴールラインを割っていたのか、いなかったのか――。審判の肉眼では難しい精密な判断を支えたのが、最新のボールトラッキング技術を用いたVAR(ビデオアシスタントレフェリー)システムだった。これをきっかけに「VAR」という言葉も広まった。
この場面が話題になったのは日本だけではなかったようだ。今年6月、FIFAとLenovoが開催した記者説明会でも、FIFAイノベーションディレクターのヨハネス・ホルツミュラー(Johannes Holzmüller)氏が「話題になった事例」として取り上げた。
そして、2026年大会ではこのテクノロジーがさらに強化された。VARはゴールライン判定だけでなく、オフサイドの判定にも使われる。その精度は年々向上しているが、それでも接戦になるほど「あのオフサイド判定は本当に正しかったのか?」と疑問視する声が上がる。そこで今大会から、オフサイド判定のフローそのものが根本的に変わっている。
今年のW杯はオフサイド判定がスピードアップ! その裏側は?
前回、2022年のカタール大会では「SAOT(半自動オフサイドテクノロジー)」が導入された。これは、スタジアムの屋根付近に設置された専用の光学トラッキングカメラとボール内蔵のセンサーを使い、選手の全身骨格とボールの位置を精密に追跡する技術だ。
ただし、そのオフサイド判定フローは“伝言ゲーム”のようなものだった。SAOTの判定システムが選手とボールの位置からオフサイドの可能性を検知すると、まずVARのオペレーションルーム(VARルーム)にアラートが送信される。担当者がビデオ映像でキックポイントとオフサイドラインを確認し、判定結果をピッチの副審に伝える。副審はその通知を待って旗を上げる流れだ。
今大会では、システムの改善で“伝言ゲーム”の一部が省略される。「明白なオフサイド」については、VARルームを経由せず、ピッチ上の副審に直接通知が届くかたちになったので、副審はすぐに旗を上げることができる。つまり、オフサイド判定がよりスピーディーになるイメージだ。
第一の目的はオフサイド判定の時間短縮だが、ホルツミュラー氏は、もうひとつの理由も強調した。副審がVARルームの最終判定を待ち、プレーが続行される間に、選手どうしが激しく接触して負傷するリスクがある。FIFAとしてはこのリスクも減らしたいのだという。
カタール大会では、オフサイド判定に平均で35秒かかっていた。今大会でどれだけ短縮できるのか、具体的な秒数は「プレーの状況によって変わるので一概には言えない」と語るが、大幅に短縮されるのは間違いないだろう。
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