裏面接続の進化と熱抵抗20%削減
Nova Lakeへの採用も明言
次がDirect BS(Back Side) Contactの話である。Intel 18Aではゲート部へは右の写真で言えば上端(Front Side Contact)のみで接続されていたが、Intel 18A-Pでは下端(Direct Back Side Contact)での接続も追加された。
Direct BS Contactの概要。右端の写真は連載806回で示したRibbon FETの図で言うところの黄色い矢印方向からの断面写真、その左は赤い矢印方向からの断面写真となる。Front Side ContactはPowerVIAを経由して下端(つまりトランジスタの下側)にある電源ラインに接続されているが、これに加えてBacksideからも直接ゲートに接続できるようにした
Direct BS Contactの効果を示したのが下の画像である。これまではFront Side側のみを経由して電流が流れていたが、今度はFront/Backの両方から流れるようになるので、より高い駆動電流が実現できる。結果としてゲートからBSPDNまでの配線抵抗が減ったようで、これによりNMOSで20%、PMOSで12%の配線抵抗削減に成功、結果としてこちらも6%程度の駆動能力向上につながった、ということのようだ。
だったらいっそFront Sideを廃してBack Sideのみにすれば、Front Side用のPowerVIAを省けてシンプルに構築できるのではないか? という気もするが、性能を稼ぐにはDual Sideの方が好ましいという判断なのだろう
Direct BS Contactに関する信頼性の検討が下の画像である。要するにDirect BS Contactを追加したことで信頼性に問題は出ないか? という話であるが、電圧ストレステストや破壊試験の結果を見る限り、既存のIntel 18Aと同等であるとしている。
トランジスタ全般としての信頼性に関してBTI(Bias Temperature Instability)およびGOX(Gate Oxide degradation)を検証した結果が下の画像だ。BTIの結果は大幅に改善、GOXは多少の改善(といっても対数軸なので、絶対的な数値で言えば結構大きな差であろう)が見られており、Intel 18A-Pの要求に合致した結果になるとされている。
その次が発熱対策である。左の図はあくまでもコンセプトであって実際のものとは異なる(厚みが減っているかどうかは結構怪しい)とのこと。
この図は一番上がBSPDNの配線で、その下にトランジスタ層、信号配線層と続いているわけだが、その下のピンク色/緑色の部分は別にこの厚みのなにかがあるわけではなく(絶縁用の酸化膜はあるが)、あくまでも熱抵抗が下がったことを視覚的に示したかっただけの模様だ
論文をあたってみると、「Intel 18では微細化された高電力密度トランジスタの影響を補うために、熱影響の緩和策が導入された。Intel 18A-Pでは材質の改良と、EDAツールフローの強化により、局所的にも全体的にも熱抵抗を約20%削減している。
JEDEC規格のストレス試験を通して、チップ・パッケージの相互作用(CPI:Chip Package Interaction)の信頼性は完全に認定されている」と説明されており、発熱そのものが減っているわけではないが、熱抵抗を下げることでより放熱しやすい(=温度を下げやすい)構成になっているとのことだ。
最後に配線層について。今回配線層そのものの説明はなかったので、基本的なジオメトリはIntel 18Aのものに準ずるものと思われる。
ただ意外な改良点があって、それがBSPDNに使われるVIAである。信号側についてはタングステンベースのVIAだったと記憶しているが、これはVIAの直径が小さいためである。BSPDN側は銅ベースのVIAだと思うのだが、これについて「寸法及び材質の面での改良」により10~30%の配線抵抗を削減できた、としている。
このV0~V2、Intel 18Aの説明ではBM0~BM2という名称だったと思うのだが、なぜ名称が変わったのかは不明である。ただこれにより配線抵抗に起因する電圧降下や消費電力/発熱の削減に貢献している模様だ。
このIntel 18A-P、Nova Lakeに採用されることが今回明確に示されたのが最後のニュースだ。ほかにDiamond RapidsもIntel 18A-Pを利用することがCOMPUTEXのタイミングで明らかにされている。すでにIntel 18A-Pのリスク生産は始まっているとされており、年内にはエンジニアサンプルなども出てきそうである。
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