中国で話題となった「外国山海経」なるキャラクターをご存じだろうか? 外国山海経をめぐる一連の現象は、生成AI時代の新しい「子供コンテンツ産業」のあり方を象徴する事件になりつつある。AIで生み出された奇怪なキャラクターと短尺動画、そしてグローバルなサプライチェーンが組み合わさることで、従来のIPに依存しないキャラクタービジネスが、子供の日常に深く入り込んでいる。
中国では生成AIで生み出された「外国山海経」と呼ばれる謎の怪物たちの文化が流行している。そして、そのキャラクターを3Dプリンターでグッズ化した製品がECサイトにあふれている。昔のAAを彷彿させるような合体させたキャラクターの商品も
中国の奇怪なキャラクターのブームは生成AI時代の象徴
子供ウケする短い動画がどんどん生み出されている
中国では今、「外国山海経」と総称される一連のキャラクター群が、小学生を中心に大きなブームになっている。名前の由来となった「山海経」は、知らない人でもその名前は聞いたことがあるかもしれない。中国古代の地理・神話を集成した古典で、さまざまな見た目の妖怪や神獣が登場する書物だ。
が、ここで言う「外国山海経」はそれとは異なり、生成AIで作られた言わば現代版怪物図鑑である。小学生や未就学児がこれらのキャラクターに由来した、ミーム化したフレーズで盛り上がる光景が数多く報告されている。短い動画なので暗記しやすく、友だちとのコミュニケーションの共通のネタとして機能しているのだ。
この「外国山海経」の元ネタが、イタリアやインドネシアなどで作られた「Italian brainrot(イタリアンブレインロット)」や「Tung Tung Tung Sahur」と呼ばれる短尺の動画シリーズで、棒人間風のキャラクターや、バナナを擬人化したようなキャラクター、意味不明な擬音を連呼する顔のないキャラクターなどが登場する(「小学生における流行はTikTokとYouTube発!「イタリアンブレインロット」「ナルトダンス」が人気」)。
アルファベットや意味を十分理解できない子供にもウケる、繰り返される謎フレーズとクセの強い動きゆえか、中国やイタリアやインドネシアほか世界の国々で動画は人気になり、キャラクターやフレーズがネットミームのように拡散している。
既存IPではないキャラクターなので
3Dプリンターを使って高速でグッズを作り、越境ECで出荷する
その背景には、中国のテクノロジーも大きく関係している。Italian brainrotや「外国山海経」のキャラクターをあしらったグッズは、すでに中国国外の市場にも浸透し始めている。Tシャツ、ステッカー、キーホルダー、アクリルスタンド、ぬいぐるみなど、さまざまなグッズが海外のECサイトに並んでいる。こうしたグッズ展開を支えているのが、中国企業の資本が入った海外のECプラットフォームと、temuで鍛えられた世界各地に商品を届けるサプライチェーンである。
そこに製品を送り込むのに3Dプリンターが活躍する(「3Dプリンターで製品を作って商売しまくる中国 「3D打印農場」が増えすぎて早くもバブル崩壊!?」)。キャラクター画像をもとに3Dモデルが作成され、世界各地の3Dプリンターや「クラウド工場」が小ロットのフィギュアやトイを量産する。同様に海外のプリンターを活用して、シャツや金属プレートにキャラクター画像を印字する。注文されれば世界各地の印刷工場から製品を出荷という流れができている。
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