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複数ファイルを「PDF スペース」に一元化 この連載を分析したらいろんな知見が見えた

2026年06月23日 10時00分更新

 本連載は、Adobe Acrobatを使いこなすための使い方やTIPSを紹介する。第172回は、「PDF スペース」を使ってこの連載を分析し、その実力をシミュレーションしてみる。

PDFはもちろん、Office文書など複数の資料をまとめて置ける「PDF スペース」

 今回は、Acrobatのイチオシ機能「PDF スペース」を紹介する。「PDF スペース」は単体のPDFに質問する機能というより、複数の資料をまとめて置き、AIと一緒に読み解くための作業場というイメージだ。

 PDF スペースでは、PDFだけでなく、Word、PowerPoint、Excel、テキストファイル、貼り付けた文章、Webリンクなどを1つのスペースに追加できる。Google DriveやOneDrive上のファイルも取り込めるので、手元の資料をいちいちPDF化してから読み込ませる必要はない。

 使い方はシンプルだ。Acrobatのホーム画面から「PDF スペース」を開き、ファイルやリンクを追加する。すると、そのスペース内の資料をもとに、AIへ質問できるようになる。たとえば、複数の説明資料を入れて「要点を整理して」と頼んだり、製品カタログと料金表を入れて「違いを比較して」と聞いたりできる。AIは追加されたコンテンツをもとに回答するため、一般的なWeb検索ではなく、自分が指定した資料群に絞って調べられるのが特徴だ。

Acrobatで新規PDF スペースを作成する

ファイルやリンク、テキストなどのソースを登録する

 もう1つ面白いのが、AIアシスタントを選べる点だ。通常のAIアシスタントに加え、データ分析や調査向けの「アナリスト」、概念説明に向く「インストラクター」、ストーリー性のある表現に向く「エンターテイナー」などが用意されている。さらに、独自のアシスタントも作成できる。つまり、同じ資料を読み込ませても、「分析者として読む」「先生として説明する」「企画担当として要約する」といった使い分けができるわけだ。

「AIアシスタントを選択」からAIの役割を選択できる

この連載記事を登録して分析してみた結果

 今回は、本連載の過去記事をソースとして登録し、いろいろと質問してみた。しかし、過去記事のWebページを機械的にPDF化したため、全169回分で3,651ページ、180MBという巨大なファイルになってしまった。1つのPDF スペースには最大100個のファイルを追加でき、各ファイルは最大100MB、最大600ページまでとなっている。そこで、PDFを8分割して、登録することにした。

 まずは、ジャブとして連載の説明をしてもらった。AIは要約が得意なだけあり、問題なく概要をまとめてくれた。しかも、原稿の構成まで分析しており、なかなかに賢いのがわかる。

●プロンプト
このAcrobatの連載について、概要を説明してください。

●出力
連載の主な特徴
実務に役立つ使い方の解説

PDFの作成・編集・結合・分割・圧縮など、日常業務で役立つ操作方法を具体的に解説。 電子サインやコメント機能、しおり作成、セキュリティ設定など、ビジネスシーンでの活用例も豊富です。

~中略

連載の構成例
各回ごとにテーマを設け、具体的な操作手順や活用例を写真や図解とともに紹介。
企業や自治体での導入事例、AIやクラウド連携など最新トレンドもカバー。
読者がすぐに実践できるよう、サンプルファイルやチェックリストも提供。
このように、Acrobatの連載は初心者からビジネスユーザーまで幅広く役立つ内容で、PDF業務の効率化・高度化をサポートしています。


 続いて、具体的なテーマを指定して、過去記事の中から該当する内容を探してもらうテストにチャレンジ。長期連載では、同じ機能を何年かおきに取り上げたり、別の記事内で関連機能として触れたりすることがある。今回は、Acrobatらしい機能の1つである「墨消し」を例に、どの回で扱っているのかを聞いてみた。

 すると、きちんと記事をピックアップしてくれた。「墨消し」という機能名を入れずに、「情報を隠す機能は何回紹介されている?」のように質問してもきちんと回答してくれるのがさすがだ。

●プロンプト
墨消し機能は何回紹介していますか?

●出力
確認できた特集回は3回です。
第8回: PDFファイルの見せたくない部分を完璧に墨で消す方法
第63回: PDFの隠したい部分を「墨消し」で完璧に消してみる
第156回: 018サポート申請書類の個人情報をAcrobatでマスキング(墨消し)する方法

要約だけではなく、これからの企画についても聞いてみる

 今後の企画について質問してみよう。過去記事をすべて読ませたうえで、「まだ取り上げていない機能や活用法」を聞けば、単なる思いつきではなく、これまでの掲載傾向を踏まえたインサイトが得られる。編集会議の前に、過去記事の重複チェックや未開拓テーマの洗い出しをしておくような使い方だ。

 あっという間に、6つの機能をピックアップしてくれた。アクションウィザードやJavaScript、アクセシビリティ、API連携など、高度な機能なので、確かにほとんど紹介したことがない。今後のいい記事のネタになりそうなので助かる。

 このように、人の手で管理したりチェックしていると見落とすような分析を手軽に行えるのが、PDF スペースの真骨頂。ウェブ検索ではなく、登録したソースを元に回答しているので、ハルシネーションを抑えやすいというメリットもある。

●プロンプト
連載でまだ取り上げていない、Acrobatの機能や活用法があれば、アドバイスしてください。

●出力
連載であまり取り上げられていない機能・活用法とアドバイス

1.PDFの自動化・バッチ処理(アクションウィザードの高度活用)
連載ではアクションウィザードの基本的な紹介はありますが、複雑なバッチ処理やカスタムアクションの自動化事例は少ないです。
アドバイス: 定型業務(例:大量のPDFへの一括透かし追加、複数ファイルの一括最適化やセキュリティ設定)を自動化することで、作業効率が大幅に向上します。独自のアクションセットを作成し、繰り返し作業を自動化しましょう。

2.JavaScriptによるPDFのカスタマイズ
AcrobatではJavaScriptを使ってフォームの自動計算や動的な動作を実装できますが、連載ではほとんど触れられていません。 アドバイス: 複雑なフォームや業務フローがある場合、JavaScriptで自動入力・検証・計算などを組み込むと、ユーザーの入力ミス防止や業務効率化に役立ちます。

~略


 難しいかとも思ったのだが、「新規のAcrobatユーザーを増やすような記事にするにはどうすればいいですか?」という直球の質問も投げてみた。すると、無料体験の強調、初心者向けの活用提案、他ツールとの差別化明示など、いろいろな提案をしてくれた。どれも、そのまま今後の記事ネタにできる内容だ。

●プロンプト
新規のAcrobatユーザーを増やすような記事にするにはどうすればいいですか?

●出力
1. 無料体験や無料版の活用を強調
Acrobat Reader DCは無料で利用でき、注釈やハイライト、電子サインなど多機能であることを明確に伝える。
有償版の7日間無料体験を活用し、実際に手を動かして便利さを体感できるサンプルファイルや具体的な操作例を記事内で提供する。
「無料で始める」ボタンやダウンロード手順を画像付きでわかりやすく案内する。
2. 初心者でもすぐに役立つ具体的な活用シーンを紹介
営業・総務・マーケティングなど職種別に「Acrobatでできること」を具体的な業務例で紹介。
例:ExcelやWordからのPDF化、電子サインでの契約書締結、PDFの結合・分割・圧縮、コメントやレビュー機能の活用など。

「紙とインクの無駄を省く」「脱ハンコ」「テレワークでの効率化」など、時流に合ったキーワードを盛り込む。

~略


 以上のように、PDF スペースは、資料を要約するだけの機能ではない。大量の過去記事をまとめて読み込ませれば、連載の方向性を確認したり、既出テーマを洗い出したり、次回以降の企画を考えたりできる。編集者やライターにとっては、過去原稿を眠らせておく保管庫ではなく、企画出しや振り返りに使える「相談相手付きの資料室」として使えるのだ。

 なお、PDF スペースを本格的に利用するには、Acrobat Studio、またはAcrobatのAI機能を含むプラン・アドオンが必要になる。ただし、他のユーザーが作成したPDF スペースに招待される際は、無料アカウントでも利用できる。

作成したPDF スペースを他のユーザーと共有できる

画面は、無料アカウントユーザーが招待されたPDF スペースで質問しているところ

 以上が、PDF スペースの活用法となる。今回はテストデータとして、このAcrobat連載の過去記事を読み込ませてみたのだが、正直、想像以上に面白かった。単に要約するだけでなく、過去に何を扱ってきたのか、どこに抜けがあるのか、次にどんな切り口がありそうかまで見えてくる。自分で書いてきた記事なのに、あらためて外から棚卸しされたような感覚があった。

 もちろん、AIの回答をそのまま鵜呑みにせず、引用元や原文の確認は必要だ。それでも、眠っていた資料をまとめて投げ込むだけで、企画や改善のヒントが返ってくるのはかなり実用的。過去記事や社内資料、マニュアル、調査レポートなどを「保存して終わり」にしているなら、一度PDF スペースに入れて質問してみる価値はあるのではないだろうか。

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