さらに探しやすい新UIを採用、日本独自のアニメタブもポイント
Fire TV Stick HDは、今年初めのCESでグローバル発表された新しいUIを採用した、国内初の機種でもあります。ホーム画面が刷新され、従来は6つまでだった動画配信サービスのアプリアイコンが最大20まで並べられるようになり、表示順序もリモコンを使って簡単に変えられるようになっています。
番組を探す際には、画面の左上に配置された映画やTV番組などのカテゴリータブで、コンテンツを効果的に絞り込めます。加えて、リモコンのホームボタンを長押しすると、右側にメニューが表示され、画質や音質の調節が可能です。動画視聴中にも簡単に呼び出せ、いちいちホーム画面に戻って設定を変更する必要がなくなりました。
加えて、画面の左側にもナビゲーションメニューを用意しています。ここからは動画だけでなく、「アンビエント」モードと呼ばれるAmazonが独自にセレクトした魅力ある写真の表示、Ringの防犯カメラなどスマートデバイスが捉えている映像、アプリストアなども呼び出すことができます。
また、日本向けのポイントとしては「アニメ」タブが用意され、「2026年春アニメ」など、現在放送中の番組から絞り込んだり、感情やカテゴリーをキーにして選んだりといった操作が可能になりました。その候補にはAmazon Prime VideoだけでなくNetflixやHuluといった各社のサービスを横串で検索した結果が並びます。
新たにアニメタブも用意している。映画やテレビのタブの横に配置されている。Fire TVでアニメを視聴する人が多いということで追加されたUIだが、逆にアニメはまったく見ないという人にも配慮して、不要な人には邪魔にならない位置の設定を考えたという。
なお、新しいFire TV Stick HDのOSは従来のFire OSではなく、新世代のVega OSになっています。Fire TV Stickで採用するのは「4K Select」に続く2機種目となります。
このOSは従来のAndroidベースではなく、Linux/Yoctoベースで新規に開発したものとなるため、アプリなどは開発しなおす必要があります。必要なアプリがもれなく使えるかどうかは、気になるところですが、Amazonでは、動画配信を始めとした利用頻度の高いものについては概ね網羅できている状況と考えているそうです。
また、AmazonはFire OSの提供も継続していく考えです。これはFire TV内蔵型テレビなど、一部のデバイスではFire OSでないと実現できない機能があることが理由です。
サクサク動く価値を伝える
アマゾンジャパンで開催された発表会には、米国本社 Fire TV エクスペリエンス バイス・プレジデントのジョシュア・ダノヴィッツ(Joshua Danovitz)氏が来日して登壇、Fire TVの目指す世界をアピールしました。
ダノヴィッツ氏は冒頭、「かつてのテレビは電源を入れ、局を選び、観るだけの極めてシンプルなデバイスだった」と語りかけ、これがチャンネルの増加や各種スマート機能の追加によって複雑化、結果、多機能だが使いにくいさも感じるものになってしまったと問題を提起しました。
AmazonがFire TVで目指すのは「FAST」。複雑化したテレビをシンプルでサクサクと使えるようにすることです。(国内では)2015年に登場し、3億台を数える規模まで普及したFire TVデバイスは、Amazonが標榜する「ITS STILL DAY ONE」のコンセプトのもと、スタートアップのように頻繁で迅速な改善を続けてきたデバイスでもあります。
現在のFire TVは単なる動画ストリーミングデバイスではなく、リビングの中心にあるテレビを起点としたスマートホームの核であり、Alexaを使った様々な機器との連携、音声操作などに対応した機器であり、クラウドを通じてテレビで直接Xboxなどのゲームを楽しめるデバイスに進化しました。
スマートテレビの体験に不満を持ち、追加で使う人も
アマゾンジャパン Amazonデバイス Fire TV事業部の西端明彦事業部長は、Fire TVでは現在70万を超える映画やテレビ番組の視聴が可能であり、使いやすいUIとサクサクした挙動が支持され、2024年の調査では、47.6%があえてスマートテレビに差して使っているという結果が出ていると紹介しました。
西端氏によると、Wi-Fi環境とHDMI端子があれば、どこでも使えるFire TVは、旅先のホテルで使うという用途でも活躍しており、16.7%が旅行や出張先で使用しているという結果も出ているそうです。最近のホテルにはスマートテレビが設置されているケースも増えていますが、使い方に慣れるのが面倒だったり、パスワードなどの情報を安易に入れたくなかったりする点がFire TV Stickを持ち運ぶ背景となっているようです。
Fire TV Stick HDは、Wi-Fi 6に加え、AV1コーデックにも対応しています。AV1はYouTubeやNetflixなどで用いられ始めている圧縮率を高くしても高画質を維持できる動画コーデックです。低いデータ量でも満足のいく高画質が得られるので、通信が不安定になる可能性のある、旅先での利用にも適していると言えます。
全部観るには90年以上かかる豊富なアニメコンテンツとの出会いを効率的に
なお、会見終了後にダノヴィッツ氏、西端氏に個別でお話を伺ったところ、興味深い話をいくつかいただきました。
まず最初にアニメタブの設置に至った経緯について。
これはすでに述べたように、日本のFire TVならではの機能となります。日本は世界的に見てもアニメに対する関心が高く、Fire TVで見られるアニメコンテンツの数は、平均的なユーザーの視聴時間から計算した場合、90年分に相当する量があるとのことです。
Amazonはグローバルではなく特定の国や地域向けでも、強いニーズがあれば、個別に対応していく方針を取っているそうですが、世界的に見てもレアな日本の状況を鑑み、日本から発信して開発を進めた機能になっているとのことです。
このタブ機能は、必要に応じて自由に設置できるものとなっており、海外では大規模なスポーツイベントの際に、期間限定でタブを作り、ライブや関連コンテンツをまとめるといった取り組みも活発だそうです。
OSやそのうえで動くUIのアップデートなく、サーバー側の設定で自由に決められるものであり、日本でも期間限定の取り組みなどが実施される可能性があるかもしれません。
Amazonが第一に置く、「FAST」を実現するために
Fire TV Stick HDは、テレビのUSB端子からの給電で動作することが正式にサポートされました。実はこれまでも、テレビのUSB端子につないで電源を取ろうとするユーザーがおり、実際使うこともできたのですが、Amazonは公式に認めていませんでした。
理由は、テレビからの給電ではテレビの電源を落とした際にFire TV Stickへの給電が止まってしまい、テレビの電源を入れるたびにFire TV Stickの再起動が必要となり、リモコンでテレビをオンにしても、すぐ動画を見始めることができなかったためです。そうならないよう、従来のFire TV Stickでは、電源に常時つなぎ復帰の速いスタンバイ状態にしていたと言います。
最新機種では性能の向上により、仮に給電が止まっても、再起動のストレスを感じなくなりました。このため、テレビのUSB端子からの給電で動作することを正式に認めることにしたのです。
高速化の背景には、OSやアプリの軽量化、プロセッサーの高性能化などがあります。Amazonでは、新しいUIの提供を現行機種であるFire TV Stick 4K、Fire TV Stick 4K Select、Fire TV 4K Max、Fire TV Cubeなどにも展開していく予定で、新UIにすることで、これらの機種でも30%程度のレスポンス向上が期待できるそうです。
また、「放熱の限界」に挑んだともいえるスリムな筐体は、「FHDモデルに限定したものなのか」という趣旨の質問もしてみました。この点については、4K版の登場なども含め、質問への回答は得られませんでした。
ちなみに、Vega OSへの移行によって気になるアプリ対応の状況ですが、Linuxベースとなったことで、Android版アプリからの移行が比較的しやすかったFire OSと比べると、若干のハードルはあるようです。
しかしながら、Fire TV Stick HDの発売タイミングでは主要なアプリの対応が済んでいることに加え、新規アプリ開発に際してもライブ配信に関する機能や支払いといったシステムの基礎的な部分は共通化されており、比較的容易に移行できるという見解も示されました。
Amazonはコンテンツ視聴のその先も狙っている
Fire TV Stick HDでは、コンテンツ視聴だけでなく、Ringとの連携など、リビングの中心にあるテレビを起点とし、情報を集約したスマートホーム活用が強くアピールされました。
Amazonとしては、Alexaを活用して、様々な機器との連携の幅を広げていくとともに、音声との親和性もより高めていきたいという意向があるようです。
Amazonのデバイスではすでに、Fire TV Cubeが本体にマイクを内蔵し、離れた位置からの音声操作に対応しています。ダノヴィッツ氏は「今後2027~2028年ごろにはテレビ側にもマイクが内蔵される機会が増えていく。そうなれば、リモコンに話しかけるニアフィールドでの音声操作に加えて、ファーフィールドでの音声操作もしやすくなる」とコメントしていました。
国内では未展開ですが、Amazonは海外で生成AIで自然な会話ができる「Alexa+」の提供を始めています。結果、会話を経由したコマースなどが伸長しているという指摘もあります。単なる「声を使った指示」の先にある「音声活用の進化」にも期待したいところです。
また、アンビエントモードは何かを観ない際には置物になるテレビをインテリアの一部として活用するための機能です。Amazonがセレクトした豊富な写真を表示し、絵画のように楽しむことができます。以前から存在した機能ではありますが、メニューのわかりやすい位置に置くことで、より活用を進めていきたいという狙いがあります。
Fire TVでは、Amazon Photoにアップロードしたユーザーの写真を表示することもできますが、個人的には、写真のマーケットプレイスのようなものを設置して、ユーザーが撮影した写真や描いたイラストを販売できるようになると思うと面白いと思っています。ダノヴィッツ氏に意見を聞いてみたところ、興味を持ってくれたので、新しいアイデアの一つになればいいなと考えています。
サクサクと使え、テレビを賢く変えるFire TVはAI時代により輝く存在になるかもしれません。
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