週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Xアイコン
  • RSSフィード

Apple H2チップ搭載で限界突破! さらに多機能な「AirPods Max 2」実機レビュー

2026年03月31日 22時00分更新

強化されたノイズキャンセリング機能に確かな手応え

 アクティブノイズキャンセリング(ANC)の性能は、Apple H1チップを搭載するAirPods Maxとの比較で、最大1.5倍に向上しました。実際に比べてみると効果の差がわかります。初代モデルではANCをオンにしてもわずかに残っていた周囲の環境ノイズが、Max 2では全帯域でまんべんなく抑制されています。

右がワイヤーカップのトップには左側にDigital Crown、右側にリスニングモードボタンを搭載。リスニングモードボタンをクリックするとノイズコントロールのモードを素速く切り替えられます

 リスニングモードボタンを押してANCに切り替えた瞬間に、すっとノイズが消えて深い静寂に包まれる感覚があります。賑やかなカフェの店内に流れるBGMさえも、ほとんど聞こえなくなるほどの消音効果には驚かされます。

 むしろ効果がとても強力なので、屋外を歩きながら音楽等のサウンドを聴く際にANCモードはオススメしません。必ず外部音取り込みや、周囲の状況に合わせてモードを自動調整する適応型オーディオに切り替えて、安全なリスニング環境を確保して使うべきです。

外部音取り込み、ダイナミックヘッドトラッキングもレベルアップ

 アップルのエンジニアたちが特に重視したのは、高性能・高効率なApple H2チップによりオーディオストリームのレイテンシー(遅延)を極限まで低くすることでした。その効果として本体に内蔵するマイクで拾った環境音と、リスニング中のコンテンツの音を選り分けながら同時に再生する、外部音取り込みモードの精度もまた飛躍的に高まっています。

 こちらのモードも新旧モデルで比較すると、AirPods Max 2の外部音取り込みは極めてクリアです。音楽を再生していない状態では、数メートルうしろにいる人の声がすぐ側で聞こえているように感じられ、思わず振り返ってしまうほどでした。やや強めに感じられる外部音取り込みのバランスも、音楽再生を始めると実用的に感じられます。

 大きなイヤーカップによるパッシブな遮音性が高いAirPods Maxだからこそ、安全性を考慮して意図的に外部音を強めに通すチューニングを施しているのかもしれません。

iPhoneにAirPods Max 2をペアリングすると、多彩な機能の操作や設定が直感的にできます。Apple H2チップの採用により会話感知、ヘッドジェスチャーによるSiriのハンズフリー操作などが新しく追加されました

 オーディオストリームの低遅延化は、ダイナミックヘッドトラッキングと組み合わせた空間オーディオ体験にも大きく寄与しています。ヘッドホンに内蔵されたモーションセンサーがユーザーの動きを追従する際、オーディオがその動きに遅れることなく滑らかに連動するからです。その結果、ヘッドトラッキングと自然に同期しながら、より没入感の高いサウンドが実現されています。

 やや誇張気味に表現するならば、先代モデルが「点」の連続で音の動きを再現していたとするならば、新しいAirPods Max 2では、その動きが「線」として滑らかにつながるような手応えがあります。

Apple Intelligenceによる「ライブ翻訳」にも対応

 AirPods Pro 3とPro2、ANCを搭載するAirPods 4に続き、AirPods Max 2も「ライブ翻訳」の機能に対応しました。Apple Intelligence対応のiPhoneと組み合わせることで、ハンズフリーでのリアルタイム通訳が可能になります。

AirPods Max 2とiPhoneのApple Intelligenceが連携するライブ翻訳機能

 ヘッドホンを装着して「Siri、ライブ翻訳を開始」と呼びかけるか、リスニングモードボタンの長押しなどで起動できます。残念ながら今回のテスト期間中は外国語を聞く機会がなかったので、ひとまずApple Eventの基調講演の動画を再生しながら、英語から日本語へのライブ翻訳を試してみました。

Apple Eventの基調講演の音声を再生しながらライブ翻訳をテスト。翻訳を提示するスピード、内容の正確さともに実践的に使える手応えがあります

 翻訳が提示されるスピード感は人間による逐次通訳よりも少し遅い程度で、実用的には遜色ないレベルです。機能がローンチされた直後に比べると、翻訳の精度も向上していると感じます。ほかの英語のニュース、IT関連のイベントの動画をライブ翻訳してみても精度は安定していて、十分に翻訳内容が理解できます。

 可搬性ではワイヤレスイヤホンであるAirPods Pro 3の方に分がありますが、長時間の会議や集中して情報を処理したい場面では、装着感に優れるAirPods Max 2でもライブ翻訳ができることが頼もしく感じられるでしょう。

約9万円は安くないが、触れてみる価値はアリ

 H2チップは7nmプロセスで製造され、10億個以上のトランジスタを搭載しています。この膨大な計算能力により、適応型オーディオ、会話検知、ヘッドジェスチャーによるSiri操作といった高度なアルゴリズムを駆使する機能を並列処理しながらも、ANCオン時で最大20時間という再生時間を、初代モデルのスペックから維持しています。

付属するSmart Caseに収納するとAirPods Max 2が超低電力状態に切り替わります

 現行のAirPodsシリーズがApple H2チップへと統一されたことで、アップルのオーディオエコシステムはひとつの完成形を迎えました。聴覚補助機能など一部の機能は、その特性からイヤホンタイプのAirPods Proシリーズに限定されていますが、ヘッドホンタイプならではのパッシブな遮音性の高さと、Apple H2チップの高い計算能力が融合したAirPods Max 2は、現時点でAppleのコンピュテーショナルオーディオの最先端に触れられるデバイスのひとつです。

 今後は、この強力なプラットフォームを活かした、さらなる機能の追加にも期待が高まります。8万9800円という価格は高い壁ではありますが、Appleによる「サウンドのイノベージョン」に触れてみる価値は大いにあります。

筆者紹介――山本 敦
 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。

■関連サイト

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この特集の記事