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構想5年。横から見えない「プライバシーディスプレー」誕生の裏側をサムスン開発トップに直撃

2026年03月14日 12時00分更新

5年もかかったプライバシーディスプレーの開発

 続いて、Galaxy S26シリーズの開発について話を聞いた。まずはプライバシーディスプレーやカメラなど、ハードウェアについて気になる点を質問した。

チェ氏に開発の話を聞く

──世界初の「プライバシーディスプレー」はどう製品化したのですか。

チェ氏 アイデアは消費者の意見を受けモバイル事業部から出されたものです。モバイル事業部でアーキテクチャーの実現可能性を確認し、その後ディスプレー開発パートナーと公式プロジェクトを立ち上げましたが、開発には約5年を要しました。

 プライバシーモードをオフにしたときに既存のディスプレーと比べて性能が落ちないよう苦労しました。また、特定のアプリやモードだけで動作するようにするソフトウェア構造やアルゴリズムにも力を入れました。

──3月にバルセロナで開催されたMWC26でプライバシーディスプレーの展示を見ましたが、これは今後業界標準のものになるとも感じました。

チェ氏 プライバシーディスプレーは初期の反応として、消費者から非常に良い反響をいただいています。私たちのアイデアが、業界全体で多くの消費者にベネフィットを提供することは良い方向だと考えています。一方、我々は消費者のフィードバックに基づきさらなる技術発展をさせ、これからもGalaxyの中核的な差別化技術として力を入れていきます。

プライバシーディスプレーを実演してもらった

──他社ではカメラメーカーと協業してカメラの画質を追求する動きもあります。御社のカメラ機能はどのような位置付け目指しているのでしょうか。

チェ氏 私たちはカメラの体験全体の最適化を重視しています。目標は「一般の人もプロのように撮影でき、プロに近い人もより良い写真が撮れるようにすること」です。光学の最適化、色彩の最適化、自動ノイズ削減など、消費者が高いスキルを持っていなくてもプロに近い撮影ができる機能の提供に努めています。

Googleとの開発関係、エアドロ互換はいつ?

 続いてソフトウェア面での質問をした。

──GoogleのエージェンティックAI機能をいち早く取入れましたが、Googleとどのように協業したのでしょうか。

チェ氏 GoogleさんとはGalaxy S24シリーズの時から協力を強化しており、今回はこれまでの個別アプリごとのサービスにとどまらず、OSへのAIインテグレーションを行ないました。具体的には、個人化のためのコンテキストエンジンや、エージェント体験を実現するための自動化エンジンを実装しています。

2月のGalaxy UnpackedではGoogleとの協業もアピール

──AIOSについて、オンデバイスでの処理には限界があると思います。今後AIOS化が進むなかで、クラウドとオンデバイスの関係性を教えてください。

チェ氏 エージェンティックAIを実現するためには、オンデバイスとクラウドの適切な融合が必要です。個人化のためのデータやエンジンはプライバシー保護の観点からオンデバイスで実現、一方そのデータに基づいた複雑な判断や思考は強力な性能を持つクラウド側で実施します。自動化についても同様の使い分けです。

──Google Pixelがクイックシェアでアップルとの相互通信を可能にしましたが、Galaxyはいつ頃対応しますか。

チェ氏 クイックシェアの互換性については、Galaxy S26からサポートする計画です。発売後のアップデートを通じて対応していく予定です。

エージェンティックAIの使い勝手は?

──Galaxy S26シリーズに実装される「Now Nudge(ナウナッジ)」やジェミニの自動化などは、まだできることが限られている印象です。

チェ氏 今回はまずAIOSという基盤プラットフォームを作ることにフォーカスしました。現在は、プラットフォームの構築と検証という側面で、選定された一部のアプリやサービスでプレビューしている段階だとご理解ください。今後はより多くのアプリやサービスへと拡大していく計画です。

──先回りして提案するAIはこれまでもありましたが、シーンが限られたり精度がいまいちなど使われなくなることが多かったと思います。

チェ氏 従来との大きな違いはAIOSが「プラットフォーム」でありOSレベルで最も競争力のあるエンジンをインテグレーションしました。たとえば各アプリに散らばっていたデータを「PDE(パーソナルデータエンジン)」というプラットフォームで収集し、それを1つのコンテキストエンジンとしてOSレイヤーで実現しています。プラットフォームレベルで全体のレベルを引き上げることで、機能の拡大と性能の高度化を推進しています。

エージェンティックAI機能を強化

── 音声アシスタント「Bixby」の強みは何でしょうか。

チェ氏 Bixbyは新たに「4.0」として一新し、業界で最も競争力があると判断されたLLM(大規模言語モデル)を適用、自然な話しかけを理解できるようにしました。またBixbyはモバイルだけでなくテレビや家電を含めたサムスンのエコシステム全体の「デバイスエージェント」として世界中のどのAIよりも優れた、サムスンに特化した存在になることを目指しています。

日本語対応の状況や日本での予約状況は?

 日本市場に関する質問に対しては、サムスン電子ジャパンのMX事業本部常務・CMOである小林謙一氏からも回答をいただいた。

──BixbyやAI機能における日本語の認識精度はどのように向上しましたか。

小林氏 日本語は文法、語順、同音異義語など特有の課題が多くあるため、LLMの採用に向けて追加で大量の日本語データを学習させています。その結果向上した点として複雑な文脈を含めた命令が可能になりました。

 たとえば「AをしてからBをして」といった複数の指示を同時にしても対応できるようになっています。今後もひたすら学習を続け、デバイスAIとしての取り扱い説明のような役割をしっかり果たすことで、ユーザーの役に立てるようにしたいと考えています。

──予約における「Ultra」の割合が7割とのことですが、前作よりも比率は上がっているのでしょうか。また、日本でも同様の比率でしょうか。

チェ氏 グローバルではUltraの割合は前作より高くなっています。我々はスマホマーケット全体がプレミアムモデルへシフトすると予想していましたが、それに近い形になっています。

小林氏 日本では3月11日まで予約を受け付けておりましたが、比率に関してはウルトラが非常に高く、ほぼ我々の想定通りのイメージです。

──ありがとうございました。

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