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日本の叡智が集結! 液晶アンテナから小型電波暗室まで、MWCで見た日本発の通信技術3選

2026年03月12日 09時30分更新

住友電工、5Gミリ波ターミナルをアナログ光伝送で小型化

 住友電工は3つの技術を組み合わせたデモを見せていた。来場者の足が止まっていたのは、AI処理も載せられる5Gミリ波ターミナルだ。

住友電工のブース全景。semiDAS、エッジAI、APN向け光トランシーバーの3技術を組み合わせたライブデモを展開していた

 通常、5G基地局装置ではアンテナユニットで受けた電波を、デジタル変換してから処理する。住友電工のターミナルはここをアナログ光伝送に置き換え、AD変換やデジタル処理をまるごと省いた。結果、センターユニットのサイズは従来の約10分の1に、消費電力は約3分の1に縮まるという。

 スタジアムやアリーナなど設置スペースが限られる場所で、ミリ波のカバレッジを広げたいというニーズに応える。

住友電工のsemiDASリモートユニット。手のひらに載るサイズで、従来のO-RUの約10分の1に小型化した

 ブースではセンターユニットからアンテナを約30m離して設置し、通信品質が大きく落ちないことを見せていた。人が間に立ってミリ波を遮っても、反射波で通信が途切れない。

住友電工のBody Blockingデモ。人が端末の前を通過しても1.01Gbpsの通信速度を維持していた

 ミリ波は人体に吸収されやすく「使いものにならないのでは」という声も根強いが、このデモはその懸念に対する1つの回答になっていた。

 NTT IOWNのAPN向け光トランシーバーも並べていた。光の波長でパスを切り替えるAPNの仕組みに対応し、トランシーバーを遠隔制御して接続先を動的に変えられる。昼間は都市部、夜間は郊外にネットワーク資源を振り分けるといった使い方ができる。3つのトランシーバー間で接続先を切り替えるデモでは、切り替え中もカウンターが途切れず通信が続いていた。

APN向け光トランシーバーのデモ画面。波長制御やBER測定の状況をリアルタイムで確認できる

 なお、住友電工はIOWNのメンバー企業として、オール光ネットワーク向けの機器開発を手がけている。

森田テック、大型電波暗室なしでOTA試験ができるアンテナカプラー

 森田テックが持ち込んだのは、携帯端末のOTA(Over-The-Air)試験を小さな遮蔽箱の中で済ませてしまうアンテナカプラーだ。OTA試験では普通、電波暗室の中で端末から10m以上離してアンテナを置き、遠方界の条件を満たさなければならない。

 だが、森田テックのカプラーは端末にぴたりと密着させても、端末から見ると電波が遠くから届いているように振る舞う。この仕組みで世界特許を取得した。

森田テックの遮蔽箱内部。端末にアンテナカプラーを密着させた状態でOTA試験を実施できる

 FR1からFR2(ミリ波帯)まで対応し、アンテナを4つ内蔵してMIMOの試験もこなせる。国内ではNTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの4キャリアすべてが採用済みだ。Appleも購入した実績がある。

森田テックが展示したアンテナカプラーのラインアップ。FR1からFR2まで周波数帯ごとに製品を用意している

 競合はほぼいない。それでも海外では知名度が足りず、販路の開拓が続いている。ジャパンパビリオンへの出展は4年連続で、「まず製品を知ってもらうところから」と担当者は話していた。

 以上、3社に共通していたのは、衛星通信やミリ波、端末試験といった通信インフラの裏方を担う技術で勝負している点だ。5Gの高度化から6Gへと研究開発が進むなかで、こうした要素技術の出番は増えていく。海外の展示会に足を運び続けること自体が、各社にとって市場開拓の第一歩になっているのである。

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