RCSと「ナンバー・ベリフィケーション」が融合する新時代
「RCS(Rich Communication Services)」という言葉をご存じでしょうか? 電話番号を使って高画質な写真・動画・スタンプ・グループチャットを送受信できる、SMSの進化版メッセージサービスです。Androidは「Googleメッセージ」、iOSは「メッセージ」アプリで使えます。
今、このRCSとGSMAで標準化が進む新たな認証技術「Number Verification(ナンバー・ベリフィケーション)」を組み合わせた、非常に興味深い取り組みが始まろうとしています。KDDI、横須賀市、そしてTOPPANエッジの3者が合意した、デジタル行政サービスの共同実証実験です。
ワンタイムパスワードの手入力が不要に!?
今回の実証実験の核となるのは、私たちが日常的に行なっている「本人確認」のアップデートです。現在、多くのウェブサービスや行政手続きでは、SMSで送られてくる4桁や6桁のワンタイムパスワードを手入力する手間が発生しています。
しかし、今回のプロジェクトで導入されるナンバー・ベリフィケーション技術を使えば、この入力プロセスを過去のものにできる可能性があります。これはGSMAの「オープンゲートウェイ」という世界標準規格に基づいたAPIを活用するもので、ユーザーがクリックするだけで、キャリア側の通信基盤が直接電話番号の正当性を認証すると言います。
。行政サービスを劇的に変える「デジタル上の住所」
この技術が行政サービスに導入されるメリットは計り知れません。横須賀市では、平時における免許の更新案内や定期検診のリマインダーだけでなく、災害時における住民の安否確認や支援要請への活用を想定しています。
たとえば、災害で家を離れざるを得ない状況でも、電話番号という「デジタル上の住所」がキャリアによって認証されていれば、自治体は確実に本人と繋がり、スムーズな支援をすることができます。従来、紙の通知や物理的な訪問に頼っていたプロセスが、圧倒的に効率化されるのです。
スミッシング詐欺を防ぐ、確かなセキュリティ
また、セキュリティ面でも大きな進化が見られます。従来のSMSは電話番号しか表示されず、フィッシング詐欺(スミッシング)の温床になりやすいという課題がありました。
これに対し、RCSではキャリアが審査した公式アカウントのみが送信でき、企業ロゴや認証マークが表示されます。これにより、住民は一目でそのメッセージが自治体からの正当なものであると判断でき、安心してサービスを利用できるようになります。
キャリアの垣根を越える、ユニバーサルIDへの挑戦
さらに注目すべきは、この取り組みが「キャリアフリー」を目指している点です。KDDI独自の技術ではなく、世界標準の技術を採用することで、ドコモやソフトバンク、楽天モバイルといった他キャリアのユーザーも同様の利便性を享受できる未来を目標としています。まさに、電話番号というユニバーサルなIDの価値を再定義する試みと言えるでしょう。
「+メッセージ」との棲み分けと、これからの展望
従来のメッセージアプリ「+メッセージ(プラスメッセージ)」との棲み分けについても、KDDIはRCSをグローバル標準の設定に近い技術として重視しており、今後全力で推進していく姿勢を見せています。4桁のコードを打ち込む煩わしさから解放され、よりリッチで安全なメッセージング体験が行政手続きにも浸透していく。そんな、スマートフォンの真のポテンシャルを引き出す未来が、すぐそこまで来ているようです。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります




