バッテリーベンチは15時間超えでした!!
AMD次世代CPU「Ryzen AI 400」を計った!!ASUSの薄型軽量16型モバイルノート「Zenbook S16」実機レビュー
2026年02月02日 06時00分更新
ASUSは、1月のCES2026で発表となったばかりのAI対応プロセッサー「AMD Ryzen AI 400」シリーズを採用した16型モバイルノートPC「Zenbook S16」(UM5606GA)を2月4日より発売する。
本製品は16型3.2K有機ELディスプレーを搭載しつつ、最薄部約11.9mm、重量約1.5kgという軽量・薄型ボディーを実現。そのうえで、AMD製最新プロセッサー「Ryzen AI 9 HX 470」または「Ryzen AI 9 465」を搭載し、10時間越えのバッテリー駆動時間も確保されている(JEITA測定法3.0)。
ASUSから試用機を借りたので、性能、画質、携帯性、そしてスタミナをどこまで両立できているのか、徹底的にチェックしていこう。
プロセッサーとカラーの異なる3モデルを用意
上位機はASUS Store限定
「ASUS Zenbook S16」には下記の3モデルが用意されている。上位のRyzen AI 9 HX 470搭載機よりも、下位のRyzen AI 9 465搭載機のほうが希望小売価格は安いが、これは上位機がASUS Store限定品であるため。また下位機は量販店なら10%ポイントバックがあり、ASUS Storeで購入するのであればクーポンコードを入力すれば、32万3820円で購入可能。つまり希望小売価格では上位機のほうが安価だが、実売価格は下位機のほうがちゃんと安くなっているわけだ。
・UM5606GA-TAI9X321GR
(希望小売価格34万9800円)
Ryzen AI 9 HX 470/ RAM32GB/ SSD1TB/ アントリムグレー
・UM5606GA-TAI9321GR
(希望小売価格35万9800円)
Ryzen AI 9 465/ RAM32GB/ SSD1TB/ アントリムグレー
・UM5606GA-TAI9321WH
(希望小売価格35万9800円)
Ryzen AI 9 465/ RAM32GB/ SSD1TB/ スカンジナビアンホワイト
2つのCPUの違いは以下の通り。
☆Ryzen AI 9 HX 470
12コア24スレッド、最大5.2GHz、28W(15~54W)
AMD Radeon 890M(16コア、3100MHz)
AMD Ryzen AI(最大55TOPS)
☆Ryzen AI 9 465
10コア20スレッド、最大5GHz、28W(15~54W)
AMD Radeon 880M(12コア、2900MHz)
AMD Ryzen AI(最大50TOPS)
メモリーはLPDDR5X-8533、ストレージはPCIe Gen4 x4接続と、容量だけでなく速度も共通。以降で解説する主要スペックもまったく同じだ。というわけでこの3機種のうちどれを選ぶかは、プロセッサーと本体カラーの2点のみということになる。
MS Office付きが用意されていないのは、サブスクリプションで契約しているユーザーが増えており、かつ価格をできるだけ下げるためというメーカーとしての意向によるものだと思われる。
ディスプレーは16型3.2K有機EL(2880×1800ドット、120Hz、タッチ対応、グレア)を搭載。ディスプレー上部には207万画素ウェブカメラ(IRカメラによる顔認証対応)と、マイク×2を内蔵している。
インターフェースは、USB4(Type-C、映像出力、Power Delivery対応)×2、USB 3.2 Gen2 Type-A、HDMI、SDメモリーカードリーダー、3.5mmコンボジャックを用意。ワイヤレス通信はWi-Fi 7、Bluetooth 5.4をサポートしている。
本体サイズは353.6×243.0×11.9~12.9mm、重量は約1.5kg。バッテリーは83Whの大容量タイプ。バッテリー駆動時間は動画再生時で約10.3時間、アイドル時で約14.4時間と謳われている。
16型のタッチ対応有機ELディスプレー、83Whの大容量バッテリーを搭載しつつ、約1.5kgという重量はかなり軽く仕上げてきている。一方で外部GPU(dGPU)を搭載していないことから、本製品の位置づけはあくまでもモバイル用途に軸足を置いた、薄型ハイパフォーマンスノートPCである。
Copilot+PCにとってタッチ対応ディスプレーは
「要件」にしてもいいほどマストな装備
本製品の大きな売りのひとつがタッチ対応の16型3.2K有機ELディスプレーを搭載していることだ。50~55TOPS以上のNPUを内蔵したプロセッサーを採用している本製品はCopilot+PCの要件を満たしており、多くのAIアプリを活用可能。特にラフ絵から画像を生成できる「コクリエイター」では、手軽かつ直感的にイラストを描けるタッチ対応ディスプレーが非常に重宝する。
ササッと描いた絵からクオリティーの高いイラストを生成できるのだから、本当に便利だ。個人的にはCopilot+PCにとってタッチ対応ディスプレーは「要件」にしてもいいほどのマストな装備だと考えている。
キーボードのキーピッチは実測19.2mm、キーストロークは実測1.2mm。一部キーは密着しているものの、文字キーは「\」キー以外はすべて等幅に揃えられており、打鍵時のフィーリングも良好だ。なによりも圧巻なのは実測150×100mmの大型タッチパッド。
複数指ジェスチャーだけでなく、ピンチイン・ピンチアウト操作も非常に快適だ。前述のとおりタッチ対応ディスプレーも搭載しているので、外付けマウスを用意する必要のない入力環境となっている。
本製品はディスプレー上部に207万画素ウェブカメラ(IRカメラによる顔認証対応)が内蔵されている。このウェブカメラはRGBカメラとIRカメラのハイブリッドタイプ。眉、目、髪のディテールは保たれ、発色もおおむね自然だが、ややシャープネスが甘く、背景が少しつぶれ気味だ。RGBとIRのハイブリッドタイプなので、どうしても独立タイプよりは画質の点では不利となる。
とは言えこれは静止画として見たときの評価。ビデオ会議などでは画面が動くし、そもそも背景は置き換える場合もあるので、ウェブカメラとしては実用的な画質を備えている。
AI 400の10コアモデルながらAI 300の12コアと同速
ストレージは1.5倍速で
バッテリーは15時間超え
最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回試 用した「Zenbook S16」はRyzen AI 9 465/ RAM32GB/ SSD1TBというスペックの下位モデル。比較対象には、Ryzen AI 9 HX 370/ RAM32GB/ SSD1TBというスペックの「ASUS Zenbook S16 UM5606WA」を使用した。プロセッサーの主なスペックは下記のとおりだ。
・Ryzen AI 9 465
10コア、20スレッド、最大5GHz、28W(15~54W)
AMD Radeon 880M(12コア、2900MHz)
AMD Ryzen AI(最大50TOPS)
・Ryzen AI 9 HX 370
12コア、24スレッド、最大5.1GHz、28W(15~54W)
AMD Radeon 890M(16コア、2900MHz)
AMD Ryzen AI(最大50TOPS)
まずCPU性能については、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は909、CPU(Single Core)は114、「CINEBENCH 2026」のGPUは4314、CPU(Multiple Threads)は3853、CPU(Single Core)は624、CPU(Single Threads)は468となった。
新モデル「UM5606GA」は前モデル「UM5606WA」に対して、「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は92%相当、CPU(Single Core)は101%相当のスコアを記録したわけだ。CPUコア数の多いRyzen AI 9 HX 370を搭載する前モデル「UM5606WA」のほうが、順当により高いマルチコア性能を発揮しているが、差は小さい。
「CINEBENCH 2024」のCPU(Multi Core)は909、CPU(Single Core)は114。「CINEBENCH 2026」のGPUは4314、CPU(Multiple Threads)は3853、CPU(Single Core)は624、CPU(Single Threads)は468
一方、3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のPort Royalは1443、Time Spyは3413、Fire Strikeは7600、Wild Lifeは18410、「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは9831(快適)、「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは4317(普通)となった。
新モデル「UM5606GA」は前モデル「UM5606WA」に対し、3DMark(Port Royal、Time Spy、Fire Strike、Wild Life)の平均では約96%となっている。Ryzen AI 9 HX 370の内蔵GPU「Radeon 890M」のほうが演算ユニット数で勝ることに加え、GPUクロックやメモリー帯域条件の違いも影響しているが、ほぼ同じ速度を実現している。
実際、「ファイナルファンタジーXIV」と「FINAL FANTASY XV」ではその差が逆転し、新モデル「UM5606GA」のほうがスコアは高かった。これらのベンチマークはCPU依存度が比較的高く、またドライバー最適化の影響を受けやすいタイトルであることから、計測時期の違いによるOSおよびドライバーの最適化度合いが結果に影響した可能性もある。
「ファイナルファンタジーXIV:暁月のフィナーレベンチマーク」(1920×1080ドット、標準品質、ノートPC)のスコアは9831(快適)。「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは4317(普通)
ストレージについては、新モデル「UM5606GA」のほうが大きく上回った。搭載されていたのはサンディスクのPCIe Gen4 x4接続SSD「PC SN5100S(SDFQNSM-1T00-1002)」で、「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7125MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5458MB/sを記録した。これは前モデル「UM5606WA」に対して、シーケンシャルリードで約141%、シーケンシャルライトで約150%相当のスコアとなる。
このクラスの転送速度であれば、大容量RAWデータの読み込みや4K動画素材の書き出しといった用途でも、ストレージがボトルネックになることはまずない。
すべてのロットで同じSSDが搭載される保証はないが、少なくとも初回ロットではこの高速SSDの恩恵を受けられる可能性が高い。
ストレージはPCIe Gen4 x4接続SSD「Sandisk PC SN5100S SDFQNSM-1T00-1002」を搭載。「CrystalDiskMark 9」のシーケンシャルリード(SEQ1M Q8T1)は7125MB/s、シーケンシャルライト(SEQ1M Q8T1)は5458MB/s
AI処理能力を計測する「UL Procyon」のAI Computer Vision Benchmarkのスコア(NPU - Integer)は1822となった。前モデル「UM5606WA」の検証時点では同ベンチマークがAMD製プロセッサーのNPUに対応していなかったため、本項目は新モデル「UM5606GA」のみの評価となる。
Ryzen AI 9 465に内蔵されるNPU「AMD Ryzen AI」は最大50TOPSと謳われている。TOPS値とベンチマークスコアが単純に比例するわけではないが、今回の結果は同クラスのNPUとして妥当なレンジのスコアだ。
Copilot+ PCのNPUの要件は40TOPSとされているので、それを上回る余力を備えている。オンデバイスでのAI処理を長期に渡って活用するために、余裕のあるAI処理能力だろう。
バッテリー駆動時間については、「PCMark 10」のバッテリーベンチマークが完走しなかったため、簡易的な計測を実施した。ディスプレー輝度とスピーカーの音量をそれぞれ40%に設定して、YouTube動画を2時間連続再生したところ、バッテリー残量は100%から87%まで減少した。
バッテリー消費は使用状況によって変動するが、この結果から単純計算すると、動画再生中心の軽負荷環境では約15時間23分前後の連続駆動が可能だと考えられる。高性能なプロセッサーと高輝度、高画質の16型有機ELディスプレーを搭載しながらも、モバイル用途に活用可能なスタミナ性能を備えていると評価できるだろう。
パワー、画質、使い勝手、スタミナを
高次元で両立した16型ハイエンドモバイル
「Zenbook S16」(UM5606GA)は、16型3.2K有機ELディスプレーと約1.5kgの薄型ボディーを両立しつつ、Ryzen AI 400シリーズによる高いCPU性能と、内蔵GPUとして高水準の描画性能、さらに50TOPS級NPUを備えたハイエンドモバイルノートPCだ。
dGPU非搭載だが、日常用途からクリエイティブワーク、オンデバイスAI機能まで幅広くこなせるし、タッチ対応有機ELと大容量バッテリーの組み合わせは、外出先での作業効率を着実に高めてくれる。よりパワーが必要なのであればRyzen AI 9 HX 470搭載の上位モデルを選ぶべきだが、多くの一般ユーザーにとっては、今回レビューしたRyzen AI 9 465搭載機で十分なパフォーマンスを備えている。
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