クロックが上昇した分クリエイティブ系処理は高速に
ゲームの検証に入る前に、少しだけクリエイティブ系処理におけるパフォーマンスも見ておこう。「UL Procyon」を利用し、「Photo Editing Benchmark」を実行した。これは実際に「Photoshop」と「Lightroom Classic」を動かし、一連の処理(ワークロード)にかかった処理時間からスコアーを算出するテストだ。
このテストではRyzen 7 9850X3Dが9800X3Dに対しクロックが高い分スコアーが高くなっているが、誤差程度の差でしかない。ただコア数の多いRyzen 9 9950X3DやCore Ultra 9 285KよりもRyzen 7 9850X3Dのスコアーが全般的に高い点に注目したい。シングルスレッド寄りの処理が多いとRyzen 9 9950X3Dのようなコア数の多いCPUはベースクロックも低いため逆に不利。ベースクロックが高くコア数も少ないRyzen 7 9850X3Dや9800X3Dの方が有利になるのだ。
続いてはUL Procyonの「Video Editing Benchmark」だ。このテストは「Premiere Pro」でH.264の動画を4本エンコードする時間からスコアーを算出するテストだ。テストにあたってはGPUエンコードを使用した。
GPUエンコードだとCPUパワーの差が出なくなるように思えるが、Premiere Proの場合はCPUパワーもある程度影響する。その証拠にクロックの高いRyzen 7 9850X3Dのエンコード時間は9800X3Dより明らかに短縮している。Ryzen 9 9950X3DやCore Ultra 9 285Kの処理時間からは、コア数が多すぎても(GPUエンコード時は)かえって足枷になることが示されている。あくまでPremiere ProのGPUエンコード中心で攻めるという限定された状況においては、クロックが上がっただけのRyzen 7 9850X3Dが輝くシーンもあるのだ。
高クロック化の恩恵はゲームで味わえる
ここから本命のゲームにおける検証に入る。本稿では以下のような条件で計測した。
- 解像度はフルHD(1920×1080ドット)のみ
- 画質は低設定
- FSR 4はドライバーレベルで有効化
- FSRが利用可能な場合は「クオリティー」設定とする
- フレームレートは「CapFrameX」で計測し、msBetweenDisplayChange基準
- ベンチマーク中の消費電力はPowenetics v2経由で取得
解像度をフルHD、画質を低設定としたのはGPU側のボトルネックを回避するためだ。今回ビデオカードはRadeon RX 9070 XTを採用したが、それでもゲームによっては画質を盛るとGPU負荷がかなり高くなり、CPU本来の性能差が見えにくくなってしまうためである。
「ARC Raiders」
ARC Raidersは画質「低」+RTGI「スタティック」に設定。練習場における一定のコースを移動した際のフレームレートを計測した。
2025年登場のゲームのわりには描画負荷が非常に軽いため、低設定に落とすとフルHDでも相当なフレームレートが出る。ゆえにCPUクロックの影響を受けやすくRyzen 7 9850X3Dは9800X3Dに対し平均フレームレートで約10%、最低フレームレート(正確には1パーセンタイル点以下の平均値)においては約13%高い値を示した。ブーストクロックがRyzen 7 9850X3Dと同じ5.7GHzのRyzen 9 9950X3Dに関してはRyzen 7 9850X3Dよりもフレームレートが伸びなかった。
上のグラフはベンチマーク時に観測されたCPUおよびシステム全体の消費電力である。ただしPCI Express x16スロット経由の電力については、計測機材の問題から除外している。まず消費電力でトップに立ったのはRyzen 9 9950X3D。CPUコア数がRyzen 7 9800X3Dより多いため消費電力も高くなり、かつフレームレートも出る(=GPUが電力を消費する)ためこのような結果となった。コア数の多いCore Ultra 9 285Kのシステム全体の消費電力が低いのは、CPUパワー不足からGPUも仕事をしていないから、といえる。
そして肝心のRyzen 7 9850X3Dだが、CPU単体の消費電力は9800X3Dに対し+20W程度の上昇。システム全体の消費電力は40W程度増えたが、これはCPUの性能が高まった結果、GPUもより働くようになったため、と説明できる。
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