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【パソコンが買えない】は悲報ではない? AIブームの今、一般ユーザーはあえて「待ち」が正解な理由

2026年01月28日 08時30分更新

 メモリー価格の上昇に始まり、各PCメーカーが受注停止を公表するなど、一般メディアなどでも「PCが買えなくなるのでは?」「今買わないとヤバいかも」といった報道がなされている昨今。その背景に何が生じているのか、PC業界の識者にそれぞれの視点から分析いただいた。

PC市場に起きている「異変」とメーカーの事情

 PCが買えなくなってきているんだそうだ。本当かなとも思うが、メモリーの価格が上昇したり、AIサーバーへの高帯域幅メモリー供給優先による、クライアントPC用メモリーの供給不足といった状況がいろいろと重なり、結果としてBTO PCが受注を停止するといったニュースが耳に飛び込んでくるので、なんらかの異変が起こっているのは間違いない。おそらくそれはAIが起こした騒動だ。

 その一方で、先日のFCCL(富士通クライアントコンピューティング)の2025年春モデル発表会では、同社の大隈社長が囲み取材に応じ、FCCLやNECパーソナルコンピュータはレノボ傘下にあり、そのスケールメリットによるシナジー効果で、影響は最低限で済んでいるといった事情を匂わせてもいる。世界規模の調達力の強みは決して伊達ではないようだ。いずれにしても、業界全体が大騒ぎというのは現実である。

PC

日本のメーカーであるのと同時に、レノボ傘下の企業として世界規模の調達力も持つFCCL。価格上昇はともかく、PCがまったく入手できなくなるといったことはなさそうだ

 では、一般消費者はどうすればいいのか。業界内の一人であろうぼくが言うべきではないとも思うが、あえて書くと、実は今パソコンが買えないことは、悪いことばかりじゃないようにも感じている(ナイショだけど)。

チャッピーも普及する今、ローカルAIにこだわる必要はあるか

 今、世の中は空前のAIブームで、ChatGPTやGemini、Microsoft Copilotが浸透し、ChatGPTにいたっては「チャッピー」などと呼ばれるようになり、女子高校生や主婦層にまで広まっている。NHKのドキュメンタリー番組「クローズアップ現代」が「友人や家族より 私の理解者はAI!?」といった特集を組み、AIへの向き合い方を再考しようともする。

 パソコンはと言えば、クラウドとローカルの双方でAI処理ができることが求められるようになり、NPU搭載のプロセッサーが必須だと言われるようになろうとしてもいる。モバイルノートPCのCPUとGPUだけでAI処理をすれば、アッという間にバッテリーが空になるから、電力効率よくAI処理ができる専用プロセッサーを用意しようというわけだ。

 だが、本当に将来のAIサービスが、そういったハイブリッドなものになるのかどうかは、今なお不透明だ。そもそも、Microsoftが定義するCopilot+ PCの要件としての、たかだか40TOPS以上のNPU搭載のAI処理性能で何ができるんだということもある。来年にはもっと高性能なNPUが登場して、ローカルでの実用性が高まっている可能性もある。結論から言うと、どうなるのかわからない。わからないからこそ、今あわてて高価な「暫定的な最新機種」に飛びつく必要はない。

 少なくとも、機密情報盛りだくさんの企業ユースならともかく、一般消費者のパーソナルコンピューターの使い方ならクラウドサービスのAIだけでも十分に役に立つだろうし、極端に言えばローカルのNPUがなくても困らない。そんなものよりeSIMで常時通信させてほしいというユーザーの方が多いんじゃないか。

 もっと言うと、今は多くのユーザーが現行で使っているPCの処理性能に不足を感じていない。ほとんどの場合、これから購入するPCは2代目、3代目といったところだろうか。その買い替えを1年程度先送りにしたところで大きく困ることはない。

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