【パソコンが買えない】本当は起きていないメモリー不足!? それでもPC向けメモリーの高騰が今年末頃まで続くと予想する理由
2026年01月24日 08時30分更新
DRAMベンダーにとって上客であるサーバーベンダーが
サーバー用DIMMを確保すべく、一斉に大量発注した?
問題はこの『考えられた』『予測される』をしたのは誰か? という話で、SamsungやSK Hynixが明示的にそう示したというのならわかるのだが、報道を見ている限りそうではない。これはベンダーが自発的にそう考えた/判断したと考えるのが妥当と思われる。また、ここで言う「ベンダー」とは誰? という話をするためは、ちょっと説明が必要だろう。
以下の図はDDR5 DIMMの流通工程の構図である。
まずDRAMベンダーではSK Hynix/Samsung/Micronがトップ3で、ほかに台湾NanyaとかWinbondなど組み込み向けを中心にDRAMチップを製造している。ほかの大手は中国CXMTだが、ここはDDR5世代をまともに量産できていないし、流通は中国国内に限られるのでここでは除外する(他に台湾PowerChipもあるが、ここはDRAMメーカーというよりDRAMファウンダリの傾向が強いのでこれも議論から外す)。
このDRAMベンダーは、自社でもDIMMを製造しているが、これはサーバーやワークステーション、あるいはソリューションベンダーなど極めて限られた顧客に対するものである。一般向けは? というと、KingstoneとかCorsairといったDIMMベンダーにDRAMチップを卸し、こうしたDIMMベンダーがDIMMに仕立て上げる形になる。ここまではすべてContract(事前契約ベース)での供給である。つまり供給期間や供給量・価格を事前協議して納入する形態だ。
そしてDIMMベンダーは直接、あるいは代理店/商社を経由して自社のDIMMをショップに卸す。ここはContract以外にSpot(都度取引、一回だけの取引でその都度供給量や価格が変わる)の形態も入る。現実問題としてDIMMベンダー→代理店はまだContractの比率が多いかもしれないが、ショップとの取引はSpotのパターンが非常に多い。これはショップとしては在庫を多数抱えるのがリスクになりかねないためである。
さて話を戻す。先に書いた『考えられた』や『予測される』をしたのは、先ほどの図で赤破線で囲んだ部分である。サーバーベンダーやAI向けのソリューションを提供するベンダーが、一斉にDRAMメーカーに対して買い占めのContractを相次いで締結。結果としてDRAMベンダーの供給能力がオーバーしたと考えられる。
こうしたベンダーはDRAMメーカーにとっても無下にできない、いわば上客である。なにしろこれらのベンダーは高価なサーバー向けのECC Registered DIMMを大量に購入してくれてきたし、新技術や新規格のメモリーを開発する際に、その検証などにも協力してくれるから、DRAMメーカーに対する発言力は相応にある。強く求められたら、ほかの契約を多少犠牲にしてでも要求に応えざるをえない。
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