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【パソコンが買えない】部材高騰で値上げせざるを得ないPCメーカー 消費者に値上げを納得してもらうために何をする?

2026年01月23日 08時30分更新

 メモリー価格の上昇に始まり、各PCメーカーが受注停止を公表するなど、一般メディアなどでも「PCが買えなくなるのでは?」「今買わないとヤバいかも」といった報道がなされている昨今。その背景に何が生じているのか、PC業界の識者にそれぞれの視点から分析いただいた。

2026年に入ってPCの値上げが進んでいる
今春までには多くのメーカーが10~20%の値上げをしそうだ

 2026年1月から、PC本体の値上げが始まっている。

 2025年12月時点で、2026年1月以降の値上げを表明していたマウスコンピューターでは、注文が殺到したことで、12月23日から、主要製品の販売停止の措置を講じていたが、1月5日からの販売再開に合わせて価格を改訂した。

 また、国内個人向けPC市場でトップシェアを維持している富士通クライアントコンピューティング(FCCL)では、1月13日に、4シリーズ7機種の新製品を発表。これらは従来モデルに比べて価格設定が高くなっている。

PC

1月に発表されたFCCLの春モデル。全体的に価格設定が高くなっている

 今後、値上げをするPCメーカーが相次ぐのは明らかだ。

 PCメーカー各社に取材すると、2026年4月までに、6割以上のPCメーカーが値上げに踏み切ることになりそうだ。

 各社の手の打ち方はまちまちだ。

 マウスコンピューターのように、既存モデルを含めて、価格の引き上げを行うPCメーカーがある一方で、FCCLでは、既存モデルの価格は維持しながら、新製品から価格の引き上げを行なった。こうしたPCメーカーも多いと見られる。さらに、企業の年度末需要が集中する3月末までは現行の価格を維持しながら、4月以降の価格改定を計画しているPCメーカーもある。

 値上げ幅は、各社とも明確にはしていないが、10~20%の値上げになるというのが一般的な見方だ。

主要部品の価格高騰でPCの値上げが進行
この高騰は一過性ではないことになりそうだ

 値上げの背景にあるのは、主要部品の価格高騰だ。

 FCCLの大隈健史社長は、「メモリーやSSDなどの主要部品の価格高騰により、最終価格に転嫁せざるを得ない部分がある。部品価格の高騰は一過性のものではなく、中長期的に腰を据えて取り組まなくてはならないものだと認識している」と語る。

FCCL 大隈健史社長

 また、マウスコンピューターの軣秀樹社長は、「生産性改善のほか、オペレーションや倉庫管理の見直しなどを通じて、無駄を排除し、コスト削減を進めてきたが、使用する部材価格の高騰および供給不足により、値上げをせざるを得ない状況にある」と語る。

PC

マウスコンピューター 軣秀樹社長

 同社では、これまでにも、為替の変動や部材の軽微な調達コストの上昇については、物流費の低減や、生産コストの低減などの企業努力でカバーしてきたとするものの、昨年後半から、メモリーやSSDの価格が2倍以上に高騰している状況に直面し、値上げに踏み切らざるを得なかったことを明かす。

 Dynabookでは、「DRAMの価格がこれまでにない急激な幅で値上がっており、さまざまな経営努力で補える範囲を超越し、マイナス影響が出ている。健全な経営を持続させるための本体価格値上げの実施を検討している」と語る。

 その一方で、値上げの予定はないとするPCメーカーもある。

 VAIOは価格維持の姿勢をみせている1社だ。VAIOの糸岡健社長は、2025年12月時点までは、「現時点で値上げの予定はない」とコメントしており、「VAIOは高い成長を遂げており、その成長を見越して、事前に部材の確保を進めている。長期的な戦略契約により、パートナーから安定して部材を供給してもらえる体制を敷いている。同時にコストを抑えるための取り組みを強化していく」と語っていた。

 VAIOは、長野県安曇野市の同社工場でPCを生産しており、自ら生産性向上などの改善に乗り出しやすい環境にあることも、部材価格の高騰に対抗する措置になるとしている。

 だが、ここにきて、コメントにも変化が見られている。2026年1月中旬になり、「価格改定は現時点で具体的には決まっていないが、部材の動向や市場環境を見極めながら判断を行なっていく」と発言。状況の深刻ぶりに、値上げの検討も視野に入れざるを得ない様子が見て取れる。

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