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テレビが話しかけ、冷蔵庫が献立を決める──サムスンは生活そのものを再設計した

2026年01月20日 12時00分更新

 サムスン電子はラスベガスで開催された「CES 2026」ではブース出展を行なわず、ラスベガス市内のホテル「Wynn」に単独の展示会場を設けて最新のイノベーションや製品の展示をした。

 その中心にあったのはAIだ。展示テーマは「Your Companion to AI Living」。家電製品にAIを融合させたことで、生活をサポートするコンパニオン製品へと変貌していくダイナミズムが来場者に提示された。

テレビの使い方がAIで変わる「Vision AI Companion」

 CESでのサムスンの顔といえる製品は、最新技術を搭載したテレビだ。世界初となる130型のマイクロRGBテレビ「R95H」を公開した。バックライトに極小サイズのマイクロLEDを採用したことで、高い輝度とコントラストを両立。さらに広い視野角と色再現性の高さも特徴となる。明るい環境でも色の鮮やかさや階調が損なわれにくく、画質劣化や輝度低下もおきにくい。次世代の大型テレビ向けパネルとして業界が注目する技術だ。

世界初の130型マイクロLEDテレビ

 ゲーミング向けのモニターもさまざまな製品が展示されていたが、裸眼3D表示可能な「Odyssey 3D(G90XH / G90XH6K)」が注目だった。32型で6K解像度(6114×3456ドット)、最大リフレッシュレート165Hz。解像度を3Kに落とすと330Hzまで利用できる。モニター上部のカメラがリアルタイムで視線を追跡し、眼鏡をかけずとも3D表示ができる。また、3Dをオフにして一般のモニターとしての利用も可能だ。

裸眼3D表示可能なOdyssey 3D

 開発中のコンセプト製品としては、透明有機ELディスプレーなどに加え、円形ディスプレーを使ったメディアプレイヤーの展示があった。13.4型の円形OLEDパネルは、タッチ対応でレコードを模した表示を行ない、下部のプレーヤー部分からはモーターでディスプレーを稼働できる。操作のしやすさに加えインテリア性を高め、アナログ感も味わえるという、ディスプレーの新しい展開事例の1つだ。

円形ディスプレーを使ったメディアプレーヤーのコンセプトモデル

 このように、CESにおけるサムスンの展示は最新のテレビやディスプレーなど、ハードウェアの展示が毎年目立っていたが、今年の展示ではテレビの使い方を変える、AI技術の応用も大きな目玉だった。

 それが「Vision AI Companion」だ。これはTVのリモコンを使い、音声認識でTVに質問を投げかけたり、TVの操作ができるというものである。しかも、画面上のコンテンツに関連した情報表示やレコメンド表示も可能。単なる音声リモコンではなく「テレビの操作ができる会話型AIプラットフォーム」なのである。

Vision AI Companion

 たとえば料理番組を視聴中に「この料理の作り方を教えて」と質問すると、レシピや調理方法を表示。スマート家電が接続されていれば調理設定の送信もできる。またサッカーの試合を視聴中に「どちらのチームが有利か」と聞けば、過去の成績などを表示し勝敗の行方を示唆。「アナウンスの音声を消して」と指示すれば、観客の音だけが聞こえ、まるでフィールドにいて観戦しているような体験も可能だ。ドラマ出演中の俳優も「これは誰」と情報を確認することもできる。

 ほかにもオススメの番組を聞いたり、あるいは今日の天気を確認するといったこともできる。スマートフォンやPCのAIアシスタント機能に加え、テレビで放映されている内容に応じて情報を得ることができるのだ。

番組に対して必要な情報を自由に入手できる

 サムスンのテレビはOSとしてTizenを採用しており、このOSのアップデート内容も紹介された。まずスマートフォンで採用されているOne UIとの統合が図られ、ホーム画面やメニュー構成などの外観がより同じものになった。また、2026年のテレビからは最大7年間のOSアップデートを保証。セキュリティーパッチや新機能も定期的に提供される。またHDR10+ ADVANCEDやEclipsa Audioなど最新のAV技術も統合されている。

Tizen OSもアップデートされた

 Tizen OS上で動く多数のアプリも提供されており、カラオケアプリではテレビと接続したスマートフォンをマイクにしたり、場を盛り上げるタンバリンなどの楽器にすることもできる。そして新たに楽器メーカーのFender(フェンダー)とも提携。世界初という「Fender Play」アプリで、テレビを使いながらエレキギター、アコースティックギター、ベース、ウクレレのレッスンができるという。2026年モデルのテレビに加え、過去の一部テレビにもOSアップデートで利用可能になる予定だ。

テレビでギターの練習ができる「Fender Play」

冷蔵庫にGeminiを搭載! 進化するスマート家電

 冷蔵庫などの白物家電の展示でも、AIの統合が大きくアピールされていた。サムスンは大型ディスプレーを備えた冷蔵庫「Family Hub」を家庭内スマート家電のハブとして位置づけており、その画面にはカレンダーや天気予報といったウィジェットを表示できる。そして新しいウィジェットとしてスマートフォンに展開している「Now Brief」を搭載。

 多人数で使う冷蔵庫向けに、音声IDで家族を認識し、それぞれに最適な予定やアクティビティ情報をパーソナライズ表示できるようになった。

Galaxyシリーズの「Now Brief」が冷蔵庫にも搭載

 そして、冷蔵庫内の食材をカメラを使って管理する「AI Vision」のAI機能がGeminiベースになり、自動認識できる食材の種類が大幅に広がった。さらに従来は食材の在庫管理、在庫を基にした簡単なレシピ提案にとどまっていたが、Geminiによりユーザーの嗜好や朝・昼・夜など時間帯による料理のリコメンド、また、在庫をもとに1週間分の献立を作るといった機能に拡張された。「中身が見える冷蔵庫」から「献立提案をするキッチンAI」へと進化したのである。

食材管理だけではなく最適な献立の提案もGeminiが支援

 AI Visionは家電をスマートな製品へと進化させている。ワインセラーではワインボトルを入れる際にラベルをカメラで認識させれば、ワインの種類をカードとして保存、どこにどのワインを保存したかを画面から確認できる。また、オーブンでは入れた食材をカメラが認識して調理方法を自動選択。調理中の焼き具合を見て、調理時間を自動調節もできる。食材を入れてボタンを押せば、自動的においしい料理ができ上がるのだ。

AI Visionで調理も楽になる

 家電へのAIの応用は家屋の気配りにも対応している。スマート洗濯機が搭載する「AI VRT+」は、全自動洗濯機の騒音や振動を低減させる技術だ。これは洗濯機に搭載された複数のセンサーが洗濯中の振動や加速度信号を読み取り、AIが床の種類を推測。床の条件と洗濯量に応じて脱水時の回転パターンを最適化し、共振を避けることで揺れや騒音を減らすことができる。洗濯機の洗浄能力アップや乾燥機の熱効率向上といった技術だけではなく、生活空間の静けさや快適さを損なわないことを重視した技術開発も進めているのだ。

洗濯機にもAIを搭載

 これらのスマート家電はすべてWi-Fiで相互に接続され、サムスンのスマートホームシステムである「SmartThings」により制御される。スマートフォンのアプリからの操作が可能なだけではなく、AIにより家電同士が直接相互にデータのやり取りをする。寝室の照明を落とせばエアコンのタイマーが自動設定される、といったインテリジェンスな連携ができる。

 そして、ネットに接続されているからこそ、家電の常時保守も可能になる。「HRM (Home Appliances Remote Management)」は、家電の動作データやエラー情報をクラウドで管理し、異常時などにユーザーに知らせるシステムだ。ユーザーサポートが家電の状態を確認し、ユーザーに解決方法の提案をしてくれる。

家電のクラウド管理「HRM」

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