CES 2026を歩き回って感じた「体験」を重視するPC業界の潮流
「AI搭載」「スペック2倍」は、もはやPCを買う理由にならない。
2026年01月16日 08時00分更新
スペックの語られ方にも変化
私は、これと似た変化が「スペック」の語られ方にも及んでいると感じた。
かつてスペックの発表は、それ自体が発表全体の主役になることが多かった。誰もがスペック発表の瞬間を待ち構え、数値が示された途端、会場には鼓膜がビリビリと震えるような大歓声と、無数のシャッター音が響く。
ところが今年は、数値が示されると、大きな拍手こそ起こるものの、その高揚はすぐに鎮まり、話題がすぐ次へと移っていく印象を持った。
もちろん「スペックが重要でなくなった」という話ではない。インテル、AMD、NVIDIAといったチップベンダーの発表では、処理性能や電力効率が、いまも明確に強調されている。
変わったのは重要性というよりも、やはりその“描かれ方”だ。
多くの発表で、焦点は「どのような体験が可能になるか」という未来像に当たっている。スペックは一定の存在感を保ちつつも、あくまでその体験を支える根拠として語られることが多かった。
従来の「この数値があるから→このようなことができる」という語りではなく、「近い将来の体験はこうであり→それを実現するために、このスペックがある」という物語が、会場の随所で見て取れた。
例えば、ASUSのブースでの説明を例に取ってみる。
同社は今回、Snapdragon X2 Eliteを採用する16型ノートPC「ASUS Zenbook A16」や、Core Ultra(シリーズ3)を搭載する14型ノートPC「ASUS Zenbook S14」といった強力なラインアップを展示した。
発表されたばかりの高性能なプロセッサーを搭載したモデルの、お披露目会としても機能しているCES。こうした場では、以前は「このプロセッサーを搭載している→だからこそ、このようなゲームが滑らかに動く」という文脈での解説が主流だった。「新しいプロセッサーの搭載」そのものが、製品の価値に直結していたのだ。
しかし今回は「このサイズ感のモバイルノートPCなのに、このようなゲームが快適に動く→それは、Snapdragon X2 Eliteや、Core Ultra(シリーズ3)といったプロセッサーを搭載しているからだ」という流れで、スペックの紹介を受けることが多かった。
もちろんこれは一例であって、細かいことを言えば、メーカーや、そのときの担当者、記者の質問のタイプによっても、説明は変わってくるだろう。PCは依然として「まずはスペックで選ぶもの」という側面を持っていることには変わりはない。
ただし、「数字よりも体験を軸とした訴求を、以前よりも頻繁に感じるようになった」ということもまた、数日間をかけて大量の展示と講演に参加して、はっきりと感じ取れた事実だ。
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