CES 2026を歩き回って感じた「体験」を重視するPC業界の潮流
「AI搭載」「スペック2倍」は、もはやPCを買う理由にならない。
2026年01月16日 08時00分更新
2026年のPC業界の鍵を握るCES
来場者14万8000人で閉幕
米ネバダ州ラスベガスで開催された、世界最大級のテクノロジーイベント「CES 2026」が閉幕した。
公式発表によると、今年は4100社以上が出展し、来場者はおよそ14万8000人。この規模と多様な立場の人々が集まる空間では、会場全体を包む「潮流」のようなものが立ち上がってくる。
それは、特定の企業が打ち出す明確なトレンドというよりも、多くの企業が無意識に共有する前提や価値観が重なり合う中で自然と浮かび上がる、おぼろげな輪郭のようなものだ。
「AI搭載」という言葉の重みが変わった
2026年のCESでまず感じたのが、「AI搭載」という言葉の扱われ方の変化だ。
従来、「AI搭載」は製品の先進性を端的に示す強力な売り文句だった。
ステージ上で強調され、会場にはシャッター音が響く。「AIを搭載した、高性能な製品であること」そのものが、新しい価値として受け取られていた。
しかし今年のCESでは、AI搭載を前面に押し出さないメーカーが目立った。
もちろんポスターやリーフレットから「AI」という言葉が消えたわけではないし、説明の中にも、相変わらず頻繁に登場する。
だがAI搭載や、それを支える性能は、もはや“主張すべき特徴”というよりも、製品が成立するための前提条件として扱われているケースが目立つ。
「搭載しているかどうか」というよりも、「どれほど自然に製品に溶け込み、どのような体験を生み出すのか」をメインの物語として扱う──この姿勢を、今年のCESでは強く感じた。
個人的に、印象深く感じたのがデルの例だ。同社はXPSブランドを刷新し、新たに「XPS 14」「XPS 16」を披露。薄型・軽量化、高いバッテリー駆動時間、滑らかなディスプレイ表示など、ユーザーが実際に体感する快適さを前面に提示した。
またゲーミングラインのAlienwareでは、反射防止OLEDや最新プロセッサーを搭載した新モデル群を通じ、没入感や操作感など体験価値を強調。
そしてディスプレーには「ピクセル保護」と呼ばれるAIソフトウェア技術を内蔵し、パネルの健全性をAIが自動で管理する仕組みを導入している。しかし、公式発表では「AI搭載」を誇示せず、「ピクセル保護にAIを活用している」とシンプルに伝えるのみ。AI技術は、体験を支える“裏方”として描かれている。
MSIは、AMD X870EおよびB850を採用した新マザーボードを展示。新たな機能として、LLM タスク高速化の「AI Cache Boost」や、チャットボットでマザーボードの設定・管理を支援する「MSI AI Advisor」といった機能を搭載している。
ここでのAIは、搭載そのものを誇示するものではなく、ユーザーの操作や管理体験を滑らかにするための“仕掛け”として働いている。
マーケティング戦略としての“AI搭載”というよりも、“AIをいかにしてユーザーの利便性につなげるか”を起点とした開発をうかがわせる。
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