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「Ryzen 7 9850X3D」は今年第1四半期発売! AMDのCES 2026発表で気になったことまとめ

2026年01月06日 12時30分更新

文● KTU (加藤勝明) 編集●北村/ASCII

Radeonは「FSR “Redstone”」のアップデートのみ

 RX 9000シリーズは近年のRadeonの中でも特に出来と人気の高いGPUであるが、残念なことにRadeon関してのアップデートは出てこなかった。ただ昨年末に登場したRadeon Softwareの25.12.1で追加実装されたFSR “Redstone”に言及した。

 FSR “Redstone”とは、従来AIを使用しなかった処理にAIを組み込むことで、画質や性能を向上させるものである。GeForceのDLSSは初代からTensorコアを利用した処理を組み込んだため、実行にはRTXシリーズが必要不可欠。これに対しAMDは「特定ハードへ紐付けない」ことを訴えFSR系の技術を育ててきた。FSR 1〜3はGeForceどころかSteam Deckのような異種GPU/ 異種プラットフォームにまで展開可能な素晴らしい技術に成長したが、どうやらそれにも限界が見えてきた、ということだ。

 FSR “Redstone”は次の4つの柱から構成されている。

  • FSR 4……AIを利用したアップスケーラー
  • FSR Frame Generation……機械学習を利用したフレーム生成
  • FSR Ray Regeneration……AIを利用したレイトレーシング用デノイザー
  • FSR Radiance Caching……AIを利用したレイトレーシング技法

 上3つはDLSSのSR(Super Resolution)やFG(Frame Generation)、RR(Ray Reconstruction)に対応する機能である。最後の一つは昨年のCESでNVIDIAが発表した技術(Neural Radiance Cache)のRadeon版というべきもの。つまり機能面でGeForceにキャッチアップしていこうというものだ。

 現時点で最もユーザーにメリットがあるのはFSR Frame Generationである。FSR 3のFGは高速で移動する物体に対しOptical Flowの処理が追い付かず激しい残像が出てしまうことがあった。機械学習を利用することで画質を劇的に向上させようという試みだ。この技術の良いところはFSR 3.1.4以降のフレーム生成に対応していれば、ドライバー側でオーバーライドすることで利用できるというもの。具体的にはゲームに同梱されている「amd_fidelityfx_dx12.dll」のバージョンが「1.0.1.41314」以降であればOKである。

 また、現状のFSR “Redstone”はRadeon RX 9000シリーズが必須となる。AMDもNVIDIAと同じ道、すなわち特定ハード(ここではRDNA 4のAI Matrix Accelerator)への紐付けに踏み切った点は興味深い。

AMD Software上に新設された「AMD FSR フレーム生成」のスイッチをオンにしてからゲームを起動することで、機械学習を利用したフレーム生成が可能になる。ゲーム側で前もってFSR 3 FGを有効にしておく必要がある。ちなみにAFMF(AMD Fluid Motion Frames)とFSR FGは相性が悪く、並走させようとするとパフォーマンスがガタ落ちになることがあるのでオススメしない

FSR “Redstone”の4本柱。このうちアップスケーリングはRX 9000シリーズ発売当時より「FSR 4」という名称で解放されている。Adrenalin 25.12.1では残りの機能が解放されたが、FSR Radiance Cachingだけはまだ利用可能なゲームが存在しない(GPUOpenでの情報公開のみ)

「Call of Duty: Black Ops 7」はFSR RRにいち早く対応したタイトルである。レイトレーシングをつけて4KでレンダリングするとRX 9070 XTでも20fps台にまで落ち込むが、FSR 4+FSR 3 MLFG+FSR RRをフルセットで導入すると、109fpsまで上昇。これはレイトレーシングなしの時よりも軽快、かつ細部の描写精度も向上すると謳っている

 FSR “Redstone”に関しては筆者が出演するYouTube配信「ジサトラKTU」で検証しているのでその結果を紹介しよう。AMDが言うところのFSR FGを「FSR 3 MLFG」と表記しているが、FSR 3 MLFGの効果が最も劇的に体感できたのは「F1 25」だった。車体のスピードが上がると従来のFSR 3 FGでは激しくゴーストが出現して非常に見辛いが、FSR 3 MLFGを有効化すると、ゴーストの発生がピタリと止まる。ただRTX 50シリーズと比較すると、細部のディテールの再現性は今ひとつだ。

F1 25をRX 9070、画質「超最大」つまりパストレーシングありで実行した際の画面。高速で走行する車体の周囲にFSR 3 FG特有のゴーストが出ている。特にウイングの青い残像が車体の下部に滲みでている点に注目。Optical Flowの処理が不完全なため、本来は出ないはずの残像がフレーム生成時に出現しているのだ

同じシーンをFSR 3 MLFGで描画したところ。ゴーストの類は完全に消え、チラつきのない非常に安定した描写となった。FSR 3 MLFGは高速で移動する物体(というよりモーションベクターの大きな領域を含んだシーン)の描写に強い

さてFSR 3 MLFGとDLSSの画質差はあるか? ということでこのシーンに注目してみる。FSR 4は「クオリティー」設定としている。タイヤの溝の描写、ボディーのカーボン調の部分に注目して欲しい

同じシーンをRTX 5070 Ti、DLSS「クオリティー」、DLSSのFGは2xで描画した。タイヤの溝やボディーのカーボン調の部分はこちらの方がより明瞭に描写されている

 そしてCall of Duty: Black Ops 7では、Radeon環境におけるレイトレーシングの処理の一部が端折られているのではないかと疑うに足るほどの画質差が出た。問題の根源はRadeonのドライバーなのかBO7自体の処理なのか判然としないが、FSR “Redstone”は走り始めた直後であり、GeForceに画質で追い付くにはもっと精進が必要なことは確かだ。

同じくBO7での例。ここでは画面左上の建物の描写に着目する。画質は「極限」を使用しているため、レイトレーシング処理も使われている

RX 9070ではこのような描写となる。ガラスを支えている鉄骨やワイヤーが奥の壁面に陰を落としている。ちなみにこのシーンの描写はFSR Ray Regenerationをオン・オフしてもほぼ見分けがつかない

同じシーンをRTX 5070 Tiでプレイしてみると、Radeonよりも描写が格段に増え、より“それっぽい描写”となった。Radeonが描写を省略しているのか、Black Ops 7のレイトレーシング処理がRadeonだと手を抜いてしまうのか判然としない、という点は繰り返し力説しておきたい

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