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FinFETを超えるGAA構造の威力! Samsung推進のMBCFETが実現する高性能チップの未来

2026年01月05日 12時00分更新

FinFETからMBCFETへ
Samsungが推し進めるGAAアーキテクチャー

 ではSC1.1の話に移りたい。最初にCMOSスケーリングやPlaner/FinFETのスライドが十数枚続くがこれは割愛して、GAA世代の話である。まずGAAのメリットとして挙げられるのが、短チャネル効果に効くという話である。

GAAは、ゲートの周囲を完全に絶縁膜で覆われているので、リークが圧倒的に少なくできるのが、短チャネル効果に効く要因の1つである

 GAAにもさまざまな構造が考えられるが、SamsungでいうところのMBCFET、世間ではRibbonFETと呼ぶ、Nanosheetを垂直に積み重ねる方式が、現時点では一番バランスが良いと考えられている。

Samsungは以前からMBCFETという用語を使っているが、今1つ普及しないのはやはり発音しにくいためか?

 MBCFETの構造のもう1つのメリットは、トランジスタ密度を上げやすい(構成で密度が変化しない)ことだ。FinFETの世代では、駆動電流の大きさ(≒動作速度)をフィンの数で調整する(フィンを増やす)ため横幅がどうしても広くなるが、MBCFETではNanosheetを縦に積み重ねるだけなので、底面積および配線長は変化しないので、それだけ小型化できる。

これはFinFETとMBCFETを上から見た図。逆に言えば、省電力向けの1フィン構成のFinFETではMBCFETより小型化できる場合もある

 ここまでの話はこれまでもさんざん説明してきた。厳密に言えば酸化膜の作り方などいろいろ違いがあって技術的な難易度は決して低くはないのだが、基本的にFinFETの世代とMBCFETでは同じ製造方法が利用できるとする。

FinFETとMBCFETでは同じ製造方法が利用できる。これまでにも増してより厳密に製造工程を制御する必要はあるのだが、まったく従来と異なる製造方法が必要なわけではない

 ここからまた10枚ほど、そのMBCFET(GAA)の細かな特徴や特性、GAAに起因する構造上の制約やその回避法といった話が続くのだが、割愛して先の話に進む。FinFETではMulti-Vt(複数電圧)の作り分けはWF(Work Function)の変更で行なっていたのだが、これがMBCFETとRibbonFETでは難しいという話である。

絶縁膜の厚みはWFを変更する簡単な方法の1つだが、特にRibbonFETの場合は、その厚みを変更するのが難しい。リボン同士の間隔が決まっているためだ。全体の高さを引き上げるのは別の問題が出てくる

 そこで厚みは変えずに、ダイポール効果と呼ばれる、しきい値電圧を変化させる材料を充填することでMulti-Vtに対応させるとしている。

真ん中の図の赤い部分がダイポールになる

 また、この先MBCFETが普及していくと信頼性の問題が出てくるが、現時点ではFinFETと同等以上ないし同等にできると説明されている。細かいことを言えばいろいろあるのかもしれないが、ある程度問題は克服できていると見なしていいだろう。

MBCFETの信頼性はFinFETと同等にできる。BTI/HCI/TDDBなどについては連載784回で説明しているので、そちらを参照して欲しい

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