最新の画像生成AIは“編集”がすごい! Nano Banana、Adobe、Canva、ローカルAIの違いを比べた
2026年01月09日 13時00分更新
「効率」のAdobeか「自動化」のCanvaか:実務で選ぶクラウドAIの最適解
編集を支援するクラウド型サービスは、Nano Banana Proのように生成と編集を一体で実行するAIだけではない。実際の制作現場では、編集処理そのものを担うAIと、それを使うためのツールや環境が組み合わさって使われるケースが一般的だ。
ここで重要なのは、「どのAIが優れているか」を競うことではない。クラウド型の編集環境は、編集処理をどこまでAIに任せ、どこを人間がコントロールするかという設計思想が大きく異なる。生成から修正までをまとめてAIに委ねるアプローチもあれば、既存の制作フローを前提に、編集作業だけを効率化する設計もある。
代表例がAdobeだ。Adobeは生成AI「Firefly」を単体の生成ツールとしてだけでなく、PhotoshopやIllustratorの中核機能として深く組み込んでいる。特徴的なのは、白紙から絵を描くことよりも、既存の素材を活かしながら「いかに短時間で、プロの要求に応える編集を完結させるか」に最適化されている点だ。
たとえばPhotoshopの「生成塗りつぶし」や「生成拡張」は、もはや説明不要なほど制作現場に浸透している。特筆すべきは、AIが編集対象を自動認識する精度が劇的に向上し、ユーザーが手動でマスクを切る場面がほぼ消失したことだ。かつてはペンツールで数十分かけていた切り抜きや合成が、コンテキストメニューからのワンクリックで、しかもレイアウトを崩さない「非破壊」な状態で実行される。編集の知能そのものが、プロの手に馴染んだ道具の一部と化しているのだ。
この設計は、広告ビジュアルの微調整や、アスペクト比の変更に伴う背景拡張など、実務上の「あと少しの修正」で圧倒的な強みを発揮する。元の素材の質感を維持しつつ、プロレベルの整合性を保ったまま編集工程を数秒単位にまで短縮できる点が、Adobeのアプローチだ。
一方でCanvaは「Magic Studio」を軸に、デザインの知識がなくても迷わずに編集を完結できる環境を構築している。Adobeが「写真を加工する」ツールから進化したのに対し、Canvaは「テンプレートの中に最適な要素を配置する」という思想がベースにある。
CanvaのAI編集で際立っているのは、画像内のオブジェクトを自由に動かせる「マジックつかみ(Magic Grab)」や、不要なものを瞬時に消し去る「マジック消しゴム」といった機能が、テンプレート編集のフローに完全に溶け込んでいる点だ。ユーザーは「加工」という意識を持つことなく、スライドやバナー上の写真を、まるで図形パーツを扱うような感覚で自在に再構成できる。
ポイントは、これらの高度なAI処理が、判断コストを最小化するように設計されている点にある。色のトーンを周囲のパーツに合わせたり、文字が読みやすい位置へ背景を拡張したりといった「デザイン上の最適解」をAIが先回りして提案してくれる。そのためCanvaは、SNS用バナーや告知画像など、スピードと一定以上のクオリティの両立が求められる用途において、制作の民主化を推し進める強力な武器となっている。
このように、クラウド型の編集環境はひとつの方向に収束しているわけではない。生成から編集までをまとめてAIに委ねるモデル、既存の制作ツールを中心にAIを組み込む設計、そしてテンプレート主導で専門知識を不要にするアプローチ。それぞれが異なる制作現場のニーズに応えている。
どのサービスを選ぶかは、「何を作るか」よりも「どの工程をAIに任せたいか」で決まる。生成から修正までを一気に進めたいのか、既存の制作環境を保ったまま編集工程だけを効率化したいのか。その違いを意識すれば、クラウド型の編集環境の使い分けは自然に見えてくる。
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