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and SORACOM

第22回

建設DXを推進するGRIFFYから見た「SORACOM Flux」の現場対応力

生成AIが建設現場のIoTの運用を大変革 顧客の声に営業がプロンプトで応える 

2026年01月27日 11時30分更新

ソラカメ+SORACOM Fluxで価値を出すための「定義力」と「実装力」

 現在、都鳥氏はソラコムクラウドカメラサービス「ソラカメ」とノーコードのIoTオートメーター「SORACOM Flux」の連携を試している。

 ソラコム ソラカメ 事業責任者の高見悠介氏は「大手ゼネコンでは、すでに数多くのカメラが建設現場に導入されていますが、カメラの画像を確認するのはまだまだ人手が多いのが現状。人手を介さず、危険を察知したり、現場を検証するための処理の自動化は大きな課題です」とは語る。

ソラコム ソラカメ 事業責任者 高見悠介氏

 この課題にフィットするのがSORACOM Fluxだった。SORACOM Fluxはアラート通知や制御を行うIoTでの自動化をノーコードで定義できるツールだ。生成AIを用いた分析も手軽に取り入れられる。ソラカメを利用すれば、カメラで撮影した画像や動画を生成AIで分析して、ユーザーに通知したり、解析結果をダッシュボードで可視化することができる。

 都鳥氏は、「昨年のSOARCOM Discoveryで発表された段階で、『これは使うしかない!』と考え、会社で試用していましたが、そこから1ヶ月くらいでPoCにつながりました」と語る。最初のPoCは、カメラ画像から公園にいる人数をカウントするという案件。続いて、GRIFFYが北海道の商業施設で試しているのは、除雪の必要がある、積雪状態をカメラの画像から判断するという用途だ。

 雪の多い北海道の商業施設では、バス停にある程度雪が積もったら、除雪作業が必要になる。この商業施設ではバス停にカメラを設置し、ある程度の積雪になった場合には除雪を行なっている。今までは、これを人手の監視で行なっていたが、これをソラカメとSORACOM Fluxで実現しようという試みである。

 ここで重要になるのが、ソラコム テクノロジーエバンジェリストの松下享平氏が指摘する「定義力」と「実装力」だ。定義力とは、文字通り事象を定義する能力だ。SORACOM Fluxでは生成AIのプロンプトを元に画像の中身を判断することができるため、今回の場合は「そもそも積雪とはどういう状態か」を判断する必要があった。具体的には、「バス停と車道の境界線が見えなくなる」という条件と除外条件を定義して、プロンプトを生成。そのプロンプトをAIでチェックして、リファインしているという。

 もう1つの実装力は、判断に必要なデータを収集できるようにする力だ。今回のケースでは、最初に設置したカメラの位置が悪かったため、積雪して一帯が雪になった場合、人間も、AIも、画像を積雪した地面だと判断できなかった。そのため、バス停という比較対象物を納められる位置にカメラを置き、雪がどの程度積もったかを判断できるようにした。

ソラコム テクノロジーエバンジェリスト 松下享平氏

営業がプロンプトで仕様を変更 生成AIがIoTの運用を変える

 GRIFFYはSORACOM Fluxをさまざまな案件で試している。たとえば、現場ロイドを利用しているゼネコンからの「熱中症で実際に倒れている人をカメラで自動検知できないか?」というリクエストに対して、SORACOM Fluxを利用している。安価なモデルで使い、「転倒している人を検出して」というきわめてシンプルなプロンプトで、除外条件なしで検出するという。取材が終わったら、「カメラ画像から降灰した火山灰を検出する」という案件について、クライアントとミーティングをするという。

 このように生成AIを利用し、自然言語でプロンプトを記述しながら、非エンジニアが自動化を設計できる。これはGRIFFYにとって画期的なことだった。「GRIFFYにはハードウェアエンジニアはいますが、ソフトウェアやクラウドの開発は外部に依存していました。できれば自社で自動化の知見を得たかった」と都鳥氏は振り返る。

 その点、SORACOM Fluxを利用すれば、ユーザーから条件変更の依頼を受けても、わざわざ外部にソフトウェア改修を依頼することなく、担当営業が条件を変更できる。「従来は、顧客からの要件を営業が仕様として策定し、エンジニアが作ったら、違うモノが出てくるみたいなミスマッチや手戻りがありました。でも、営業がお客さまの要件を聞いて、直接プロンプトを書き換えて、試行錯誤すればよくなります」と都鳥氏は語る。

 SORACOM Fluxを利用したことで、固定的な機械学習のAIエンジンを利用するエッジカメラより、まずサービスのコストが大きく下がったという。

このような現場の声を受けて、ソラコムは2025年11月にカメラと生成AIを気軽に使える「ソラカメAI」を提供開始した。ソラコムが提供するクラウド型カメラ「ソラカメ」で撮影した画像をみながら、日本語で指示(プロンプト)を書いて、生成AIを利用した分析を試せる機能だ。このソラカメAIの裏側では、SORACOM Fluxが動いているが、使い方は至ってシンプル、ソラカメの管理画面から、指示文、分析のタイミング、メール通知先を登録するだけだ。

 「AIとどう簡単につなげるか」を追求してきたSORACOM。都鳥氏に今後のソラカメAIについて聞くと、「私たちの現場では、プロンプトの調整を現場に赴くセールスが顧客とアイディアを考えながら書くことも多くあります。実際の画像をみながら、プロンプトを変更して分析を試せるので、こういった現場の知見とデジタルの融合も加速できそうで良いですね。ソラカメAIもそうですけど、ソラコムにはもっとITに強くない人に使ってもらえるサービス強化を進めてもらいたいです」と語る。

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