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Nothingが挑んだ9ヵ月間の「共創」で生まれた「Phone(3a) Community Edition」の全貌

 12月12日に日本で発売になったNothingのスマホ「Phone(3a) Community Edition」。これはPhone(3a)をベースにユーザーの意見を取り入れて作られた、特別バージョンです。価格は5万9800円で、Nothingのサイトで販売されています。

 12日にファンを招いたPhone(3a) Community Editionローンチパーティーがあり、実機を触れるだけでなく、実際にその場で購入できるとあって、先頭に並んだ人は開場の4時間前から並んでいたとか。全世界で限定1000台ということもあって、なんとしても購入したいという人が多かったのです。

 さて、そんなイベントの直前に、Nothing Japanのマネージングディレクター 黒住吉郎氏に今回のCommunity Editionについて、いろいろお話を聞きました。

――Community Edition(以下、CE)はPhone (2a)から始まりましたが、今回も展開されるということですね。他のモデルではCEを展開する予定はないのでしょうか? ハイエンドモデルでCEが欲しいという人もいるかと思いますが。

Nothing Japan マネージングディレクター 黒住吉郎氏

黒住吉郎氏(以下黒住) やはりCEは、とても準備に時間をかけています。その準備とは、クリエイターたちをどのように巻き込んでいくかというアイデアの創出や、クリエイターの方たちにしっかりと時間をかけて参加していただくという意味合いも含まれます。今の我々のキャパシティの中では、コ・クリエーション(共創)の質が薄くなることを避けるため、年に一度のサイクルが最も良い結果を生むと考えています。

 また、価格の問題やカスタマイズ性から、(3a)を選んでいます。

9ヵ月に及ぶ異例の「共創」プロセス

――CEの共同制作プロセスは、どれくらいの期間を要するのですか?

黒住 今回のクリエイターの方たちとのコ・クリエーションのプロセスにかける時間は9ヵ月間です。その間に、クリエイターの方たちにはアイデアを提供していただき、我々が先行して議論を重ね、その後、一緒になって製品をリファインしていきます。その議論は非常に濃密で、実際おそらく100回以上のミーティングを重ねています。

――制作期間中、会議はオンラインが中心ですか? もしくはみんなロンドンに来るんでしょうか?

 オンラインでも実施しましたが、今回は意識的にロンドンで多くの時間を過ごしています。デザイン、パッケージング、ソフトウェア、マーケティングといったクリエイティブチームの多くが、ロンドンに集中しているためです。選ばれたクリエイターの方たちにはロンドンに来ていただき、ミーティングを重ね、共同で物作りを進めます。創業者であるカール・ペイも、この種のデザイン議論が好きなので、セッションに参加することもありました。

経験不問、アイデアが選定を左右する

――クリエイターの選出基準は何でしょうか? プロやセミプロの方が多いのですか? 素人は選ばれないのでしょうか?

黒住 応募は700件以上あり、中には結果を出しているプロの方もいれば、デザイン経験のない学生の方もいました。我々としては、過去の功績をベースに選んでいるわけではなく、純粋にそのクリエイティブなアイデアとコンセプトというものをベースに選出させていただいています。

 優れたアイデアやコンセプトがあれば、たとえ一般の方であっても、Nothingのデザインチームが一緒になって物を作り上げます。クリエイターのアイデアを尊重したうえで、パーツや品質の問題を解決しながら、より良い製品へと昇華させるのです。

――ベースモデルのPhone (3a)と、CEとの具体的な違いは何でしょうか?

黒住 最大の差は、背面パネルの素材感です。ベースモデルはツルツルとした質感でガラス素材でしたが、CEではマットなプラスチック素材を採用しています。これは磨りガラス的なもので、傷がつきにくい加工になっています。

――「透明でマット」な素材は、Nothingにとって大きなチャレンジだったそうですね。

黒住 はい、透明でマットという商品をこれまで扱ったことがなかったので、デザイン面だけではなく、品質をどう担保するか、どうやって生産するかという点で、非常に難しく、大きなチャレンジとなりました。

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