スマートフォンを低コストで使いたいという人にはすっかり定着した感がある、2年後の端末返却で残債が免除される各キャリアの購入プログラム。
「実質2年レンタル」と表現されることもあるように、入手したスマートフォンが自分のモノにならないという部分に引っかかりを感じる人もいるものの、2年間は小さな負担で最新機種を使えることは確かだ。そこで2年後の重要なイベントとなる「返却」の手続きについて、実際の作業を含めて紹介しよう。
“実質2年レンタル”とはそもそも何?
キャリアによるスマートフォンやケータイの割賦販売はかなり前から存在するが、そこに付随する割引の施策は時代とともに変わってきた。
数年前から広がった“実質2年レンタル”とも呼ばれる購入プログラムは、4年間分割払いでの購入を原則とし、2年以上経過したところでスマートフォンを返却すると残債が免除、つまりそれ以上は支払わなくていいという内容になっている。
サービス名ではドコモ「いつでもカエドキプログラム」、au「スマホトクするプログラム」、ソフトバンク「新トクするサポート+」、楽天モバイル「買い替え超トクプログラム」で、今回紹介する2年後の返却とは別に、1年後に返却できる制度もある。
ドコモとauのプログラムについては、2年経過後の残価が決まっていて、購入価格と残価の差分を最初の2年間で23回支払う。2年経過後に端末を返却しない場合は、その残価を再度24回分割されて、さらに2年支払うことになる
スマートフォンを普通に購入して、2年経過後に中古専門店に売却するのと基本的には同じことではあるのだが、2年経過後の端末の価値、つまり売却額があらかじめ決められているため、そのときの中古相場に左右されないという特徴がある。
また、最近の中古専門店やオンラインの買取サービスは一般のユーザーにとっても使いやすくなってきたが、下取り額が高い店では視線の鋭い店員が微細な傷まで発見して指摘、査定額が下がってしまうことがあり(その代わりに最初に提示されている下取り額はキャリアより高いことが多いのだが)、詳しくないユーザーには足が遠のく印象があるのは確かだ。
その点、キャリアによる回収では、減額されるのは故障や画面割れなどの重大なものが中心で、微細な傷については専門店の査定よりはかなり緩い。以前は購入プログラムの利用には、同じキャリアでの機種変更が条件だったが、その制限もなくなっている。
また、2021年頃から多くなってきたのが、4年間の分割の支払い額が均等ではなく、最初の2年間は極端に低く設定されているタイプだ。最初の2年間は月1円というものもあり、2年後のタイミングに忘れず返却すれば残債免除で、2年間を24円で使えてしまう。ある意味、新たな形の1円ケータイという言い方もできるだろう。
2年後に返さないと損するのか?
後半2年間の支払い額は高いが、総額で考えたい
さて、購入から2年が経過して、スマートフォンの返却&残債の免除が可能になっても、キャリアからわざわざそのことを知らせる案内などはないと考えておきたい。
返さないで放っておけば、4年間の分割払いの後半部分に突入する。前述したような前半の2年間は支払い額が極端に低く設定されているケースでは、後半の2年間は支払い額が一気に高額になる。つまりプログラムを利用するべく、スマートフォンを返却するには自分自身で積極的に動くしかない。
なお、もちろんそのまま使い続けるという方法もある。後半2年間の高額になった分割払いを払い続けるのは一見すると損のように感じるが、実際には最初に一括で買った場合と総額では同じ。分割払いでの金利も基本ないことを考えると、一概に損とはまでは言い切れない。
また残債を清算して、完全に自分のモノにしてから、専門店などに売却する方法もあるが、これは意外と難しい。なぜなら、残債、つまりキャリアが設定した2年後の価値よりも下取り額の方が高いケースはあまりないからだ。比較的相場の高いiPhoneであってもそれは同じだ。実際に専門店のサイトの下取り額を見てみるといいだろう。
さらに「ネットワーク利用制限」のステータスが「〇」(完済)になるタイミングなどを考えて売却する必要があるなど、その点でも一般のユーザーにはハードルは高い。
返却のための準備はお早めに
プログラムの利用中、一番面倒で難関なのが返却の申し込みだ。購入時のキャリアの契約のまま使い続けているなら比較的簡単だが、その回線を解約していると途端に面倒になる。
基本的には購入時のキャリアのユーザーID(dアカウント、au ID、SoftBank ID)とパスワードでキャリアのサイトにログインし、そこから返却を選ぶ。しかし、回線を解約した場合にはIDが変えられてしまったり、契約をメインブランドからサブブランドやオンラインプランに変更している場合でも、そのままでは不可能なことがある。
その場合の手続き方法は、契約状況など人それぞれで異なってくる。ドコモやauは元のユーザーIDに紐づいていることが多いが、ソフトバンクは「機種契約番号」という特殊なIDになる。
実は、筆者もこの返却の一連の手続きをすべてオンラインで済ませるのはかなり難しいと感じている。オンラインで完結しない場合は、コールセンターやキャリアショップでの対応になるが、かなりの手間と時間がかかりがちだその結果、タイミングを失うこともあるので、早めに手続きを確認しておくことを強くオススメしたい。
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