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まだまだ生き残っているWikoのスマートフォン、2025年モデルを確認した

2025年12月05日 12時00分更新

日本にも上陸したフランスのwikoだが……

 スマートフォンメーカーは大手数社にどんどん集約されていますが、日本でも製品展開をしていた「Wiko」は、実は今でも生き残っています。Wikoのグローバルウェブページを見ると、2020年以前の旧モデルが掲示されている一方で、2025年には3つの新製品を出していることがわかります。

 果たして今、Wikoはどんなスマートフォンを出しているのか見てみました。

Wikoのスマートフォンはまだ生き残っている

 グローバル向けの最新機種は5Gに対応した「T30 5G」です。低価格モデルでありディスプレーは6.75型のHD+、チップセットはMediaTekのDimensity 6300を搭載します。格安モデルが採用するUNISOCのチップセットではない分、そこそこの動きは期待できそう。なお、発売時期は未定です。

Wiko T30 5G

 カメラも1眼ですが5000万画素と悪くない性能です。バッテリーは5000mAhで18W充電対応。メモリー構成は4GB+ストレージ128GBということで、価格はおそらく100ドル台後半かと思われます。Wikoのブランドは一時期ヨーロッパで絶大でしたが、今は存在を覚えている人も少ないでしょう。「低価格な5Gスマホ」としてどこまで注目を集めることができるか、気になります。

ブランド力が弱いだけに、どこまで売れるだろうか

 2025年夏に発売されたとされる「T40」は、MediaTekのHelio G85を搭載した4Gスマートフォンです。「される」と書いたのは、発表後にまだ発売情報がなく、ヨーロッパのECサイトを見ても販売情報が見つからなかったからです。ディスプレーは6.56型のHD+、90Hz対応でバッテリーは5000mAhです。

発売情報が不明なWiko T40

 製品名だけを見ると、T30より上のスペックなのかと思ってしまいますが、Wikoとしてもより低価格なこのT40のほうを大々的に売り出したいのでしょう。今のところバングラデッシュなどで製品情報が見られるので、新興国向けに割り切った格安モデルとして出てくるのかもしれません。

iPhoneデザインを安易に採用しているあたりが残念

wikoのスマホと中国の関係は深い

 一方、中国ではWikoのスマートフォンが定期的に出ています。これは現在Wikoが中国のTINNO Mobileの製品であることも関係しているでしょう。ファーウェイのHarmonyOS Connectプラットフォームを採用し、ファーウェイベースの5Gモデル「Hi暢享」(Hi Enjoy)シリーズを独自展開しています。ただしこのモデルにはWikoのブランド名は記載されていません。

Hi Enjoy 80 Pro。ボディーにWikoの名前はない

 ところが、2025年11月に「Wiko X70」として、Wikoブランドのスマートフォンが中国で登場しました。2022年12月発表の「Wiko 5G」以来、約3年ぶりの登場です。OSはHarmonyOS Connect、5000万画素カメラに6100mAhバッテリー、40W充電対応です。チップセットは4年ほど前に採用例が多かったSnapdragon 778Gということで、性能はあまり高くないことが予想されます。

中国向けのWiko X70

 グローバルモデルはHarmonyOSを採用していませんし、このX70はディスプレー表面をファーウェイが開発したKunun Glassで覆うなど、完全な中国向けモデルとして出てきています。価格は1399元(約3万1000円)からで、すでに中国で販売中です。

中国で実際に販売されている

 Wikoブランドのスマートフォンが市場で生き残れるかどうかはわかりませんが、中国でのHarmonyOS Connect端末はファーウェイストアでも販売されており、一定の人気を得るでしょう。一方グローバルモデルはインドやアフリカなど新興国に活路を見出そうとしていると考えられます。

 日本ではもう中古品を見るのも難しくなったWikoのスマートフォンですが、このようにまだまだ生き残りを模索しているのです。

Wikoのスマートフォンはこの先生き残れるか?

筆者紹介───山根康宏


 香港在住の携帯電話研究家。海外(特に中国)のスマートフォンや通信事情に精通。IoT、スマートシティー、MaaS、インダストリアルデザインなど取材の幅は広い。最新機種のみならずジャンク品から100万円のラグジュアリーモデルまであらゆる携帯電話・スマートフォンを購入する収集家でもあり、その数はまもなく1800台に達する。

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