ネパール人が経営する料理店に行くと
同じ楽器が置いてあることに気づいた
ネパール人が切り盛りしている(インド)ネパール料理店が好きだ。他の国の料理も同じくらい好きだが、ネパール人の店が好きなのはカレーがおいしいからだけではない。ネパール料理店には楽器があるからだ。一体飲食店に何を求めているのか!? と思うかもしれないが、ネパールを食以外でも学べるのが楽しいのである。
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過去に行ったネパール料理店で撮った店内の写真を振り返ったときに、いくつもの店に同じ楽器があるのに気づき、「なんだこれは?」と驚いた。いくつかの店に細長い太鼓のような楽器と、一部を意図的に欠けた形にした変わった弦楽器が壁にかかっているのだ。
筆者だけではなかった。友人や編集者の知人やネパール料理屋に連れて行っても、そこに太鼓や弦楽器があることを気づいていなかった。そんな疑問から始まったスマホの使いこなしを書いていきたい。
まず、この楽器の名前がわからないのでGoogleレンズを起動し、モノの写真を撮り検索してみる。iPhoneユーザーであれば、iOS標準の「画像を調べる」機能を利用してもいい。すると太鼓は「マダル(madal)」、弦楽器は「サーランギ(sarangi)」ということがわかった。
ちなみに筆者は、中国でもネパールにやや近い西南の「雲南省」に長く居たことがあり、現地の少数民族チベット族の集会所的なレストランでサーランギを見たことがあったのだった。ネパールもチベット文化圏で同じだからこそのデジャブだ。
オーナーに楽器を触ってみたいとお願いしたら快諾してくれた
興味が沸いたので、AIでこの楽器のことをさらに調べた
楽器の名前がマダルやサーランギとわかったので、顔見知りだから大丈夫だろうと、ときどき行くネパール料理店でネパール人オーナーに、マダルとサーランギを触ってみたいと話してみた。オーナーは「よく知ってるね」とばかりに、それを説明しながら手渡ししてくれた。
ずっしりとした重みや質感は触ってこそで、ネットでは得られない感動ポイント。マダルを叩き、弦をはじけばこんな音が鳴るのかと体感できるのはもちろんのこと、本体には様々な絵柄が描かれていて、じっくりと様々な角度からみることができる。読者の皆さんも行きつけのネパール料理店にマダルやサーランギがあれば、触らせてもらえませんか? と声をかけてみてはどうだろうか。
Wikipediaや検索で調べるのもいいが、今は生成AIがあるので、より深く知りたいことを知ることが簡単になった。生成AIの中でも信憑性のある回答をしてくれることに特化した「Perplexity」を使って、さらにマダルとサーランギについて聞いてみた。
Perplexityのクセとして、質問した言語と同じ言語の情報を探すので、Google翻訳でマダルとサーランギについて、ネパール語および英語に訳して、それぞれで説明を見る。ネパールの音楽とダンスは海外在住のネパール人のコミュニティーで人気があり、伝統的な祝賀行事、結婚式、海外での文化公演などで使われているとのこと。伝統的な行事で用いられるので、ネパールの伝統のものの1つとしてこれが置かれているという。
ネパール料理店に置かれたテレビでは、ネパールの音楽がしばしば流れている。その中でマダルを結構見る。認知すると面白いもので、マダルをどう叩いてどう音がでるのかが気になるようになり、それはまるでバンドの楽曲でボーカルやギターよりもドラムやベースの音を意識するようなそんな感じになった。
楽曲自体が気になってじっくり家で聞きたいときは、理屈上はGoogleアプリやShazamを起動し音を拾って楽曲を知ることもできるが、音が十分に大きくないとか雑音があるとかで認識できないことも多い。ネパール人の店員に何の曲ですか? と尋ねたほうが早いことも多々ある。ネパール文化に関心をもつ日本人を無下にする人はあまりいなかったし、多くの人がそうだと願いたい。
この楽器の演奏法を教えてくれるスマホアプリもあるらしい
YouTubeでもチュートリアル動画を見ることができた
Perplexityに「マダルが使われている楽曲の代表曲」を聞いてみる。するとネパールの国民的音楽「レッサムフィリリ(Ressam phiriri)」という音楽がそうだという。ネパールに造詣のある日本人が演奏し、筆者自身も聞いたことがある。
この楽曲をYouTubeで再生すると、マダルが存在感を主張していた。すると今までなんとなく知ってた曲の味わい方が変わっていく。そこまで知ったうえで「レッサムフィリリでの叩き方」を尋ねてみると、PerplexityはYouTube上の「レッサムフィリリでのマダルの演奏方法」というネパール人が教えるチュートリアル動画を提示したうえで、文章でもコツが示された。
そして「Ressam phiririの歌の意味はなにか?」とPerplexityに聞けば、ネパールの山岳風景と伝統の詩的な世界観を背景とした、旅や愛や忍耐の自由を歌ったものと回答してくれる。伝統を伝えるコンテンツは豊富にあるので、探して引用するPerplexityは活躍する。
さらにマダルをスマホで練習できるアプリがあることもPerplexityは教えてくれた(サーランギ用はなかったが)。「Madal Nepal Music Instrument」を始め、アプリがいくつかあり、叩く場所によって音色が異なるのを各アプリで再現している。これならアプリで練習して店で借りて(迷惑にならないよう)軽くたたいて本物で確認することもできる。
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