カフェのWi-Fi接続が怖くなくなる!「ESET V19」お手軽「VPN」活用術
2025年11月25日 11時30分更新
人が多く集まるところで提供されている「フリーWi-Fi」。カフェなどの飲食店や空港、駅、電車、高速バス、ホテル、デパート、コンビニ、そして街中まで、さまざまなところで提供されている。手軽に接続でき、キャリアのデータ残量を気にせず使えるとあって、普段から活用している人も多いだろう。
しかしフリーWi-Fiは、必ずしも安全とは言い切れない。特に店舗などで提供されているフリーWi-Fiの中には、暗号化が不十分なものもあり、こうしたネットワークに繋いでしまうと、同じWi-Fiに接続している人には通信内容が筒抜けになったり、個人情報が漏洩する危険がある。また、誰もが接続できるように見せかけた「なりすましWi-Fi」によって、個人情報を抜き取ったり、マルウェアに感染させるといった、悪意ある罠を仕掛けられるかもしれないからだ。
こういった脅威から通信内容を守る方法のひとつが、「VPN」機能だ。
「ESET HOME セキュリティ プレミアム V19」では、このVPN機能が新たに搭載されている。以前は、最上位モデルの「ESET HOME セキュリティ アルティメット」にのみ搭載されていた機能だが、V19では、スタンダードモデルでも、VPN機能が利用可能となった。
今回は、このVPN機能についてスポットを当て、そのメリットと活用法を解説していこう。
「VPNって何?」「なぜ必要なの?」素朴な疑問に答える
「VPN」という言葉は見聞きしたことがあっても、具体的にどういうものなのか、いまいちピンと来ていない人もいるだろう。そこで、ここではVPNに関する素朴な疑問から、そもそもVPNがどういったものかを解説していこう。
Q. VPNってそもそも何?
A. 仮想的な専用回線を構築する機能
VPNは「Virtual Private Network」の略。インターネットのみんなが利用するパブリックネットワーク内に、仮想のプライベートネットワークを構築する機能だ。大きな川の流れの中に、パイプを通る水路を作るとイメージするとわかりやすいだろう。ESETのVPN機能の場合、インターネット上に用意されたVPNサーバーとESETユーザーの端末との間に、暗号化された通信経路を実現する。外部から通信内容が見えなくなるため、まるで専用回線で接続したかのようになるわけだ。
Q. フリーWi-Fiって本当に危険なの?具体的にどんなリスクがある?
A. セキュリティが低い場合がある
ひとくちにフリーWi-Fiといっても、その内容は様々。大手企業が提供しているものもあれば、喫茶店のマスターなどの個人事業者が、店舗の利用客向けに善意で解放しているようなものもある。そのため、セキュリティのレベルに違いがあるわけだ。さすがに最近では見かけないが、昔は接続している他のPCがすべて見え、共有フォルダーへとアクセスできてしまうものまであった。
また、先にも触れたように、一見するとフリーWi-Fiに見せかけたSSIDを用意して悪意あるネットワークにつなげさせることで、個人情報を抜き取る、マルウェアに感染させるといった罠が仕掛けられている場合もある。
Q. VPNを使うとどうして安全になるの?
A. VPNサーバーまでの通信が秘匿されるため、手出しできない
VPNを使うと、その端末からの通信は暗号化され、すべてVPNサーバーとの通信に置き換えられる。実際の通信内容は、VPNサーバーで暗号が解除され、改めて目的のサーバーに接続される。目的のサーバーからの応答もVPNサーバーに対して戻って来たのち、再び暗号化されて端末に届けられるため、外部からはどのサイトにアクセスしているのかもわからないし、暗号化されていない通信であっても、外部から見えることはない。
Q. VPNにセキュリティ向上以外のメリットはある?
A. 海外からのアクセスを拒否するサービスが利用可能に
通信経路のセキュリティを高めるだけなら、近くのVPNサーバーに接続する方が通信が速い。しかし、ESETのVPNサーバーは世界中に用意されており、日本からでも米国やスロバキアのVPNサーバーへと接続が可能だ。
世界中の国が選べることのメリットは、その国でしか使えないサービスへとアクセスできること。目的のサイトから見ると、接続したVPNサーバーからのアクセスと認識されるため、接続先の国を切り替えれば、その国のサービスが利用できるようになるケースがあるのだ。
これは日本で海外のサービスを使いたい場合だけでなく、海外旅行や出張先から日本のサービスにアクセスしたい場合にも役立ってくれる。
ちなみに、「ESET HOME セキュリティ プレミアム V19」では約40ヵ国のVPNサーバーが利用でき、「ESET HOME セキュリティ アルティメット V19」では、さらに多い約70ヵ国のVPNサーバーが利用可能だ。
Q. ESETのVPNはどんな特徴があるの?
VPNサーバーへの接続/切断がワンクリックで行なえるほか、通信量が無制限。また、Windowsに限らずMac、Android、iOSでも利用できるというのが特徴だ。さらに、ノーログポリシーで、プライバシーへの配慮も徹底している。
なお、「ESET HOME セキュリティ アルティメット」では最大10台の端末までVPN機能を利用可能で、「ESET HOME セキュリティ プレミアム」では最大3台まで利用可能といった違いがある。
ESETに搭載されているVPN機能を実際に使ってみた!
VPNというと、専門的で高度な機能というイメージが強く、難しい設定が必要そうに思えてしまうが、ESETならその設定も簡単。デバイスごとに用意されたソフトやアプリをインストールし、アクティベーションコードを入力するだけで使えるようになる。
このインストールから接続まで、Windows 11で実際に試してみよう。
まずはESETのサブスクリプションや各種機能を管理するESET HOMEにアクセス。ESET HOMEの画面が表示されたら、VPNを使う人を選択するため、「メンバー」をクリックする。
すると登録されたメンバーが表示されるので、VPNを使う人をクリックする。ここではメンバーは「私」一人だけとなっているので、「私」を選択した。家族や友人とライセンスをシェアしている場合には、「私」以外にも、メンバーとして表示される。
選んだメンバーの利用状況が表示されるので、左側のアイコンから「VPN」を選択。その後、右下の「+保護を追加」ボタンをクリックしよう。
するとサブスクリプションの選択画面となる。今回は「ESET HOME セキュリティ アルティメット」を使用中だったため、こちらを選択した。なお、VPNが使える他のサブスクリプションがある場合、この画面で複数表示される。
どのデバイスを保護するのか、つまり、どのデバイスでVPNを使うのかを選択するのが、次の画面だ。今回は、操作しているWindows 11のPCでVPNを使うので、「このデバイスを保護」を選んだ。
するとダウンロード画面が表示されるので、VPNのインストーラーをダウンロード。一番下にあるアクティベーションコードは最後に使用するので、この画面を開いたままにしておくといいだろう。
VPNのインストールそのものは簡単で、ダウンロードしたファイルを実行するだけ。インストール先を変更しないなら、「続行」をクリックしてインストールを完了しよう。
最後に、VPNのアクティベーションを行なうと、機能が使えるようになる。このアクティベーションコードは、ESET HOMEの最後の画面で表示されていたものを入力すればOKだ。
これでVPNが使えるようになる。画面遷移を詳細に解説したので手順が多いように見えるが、やってみるとあっけないほど簡単だ。
VPNの使い方は非常に簡単。ESET VPNを起動するとシンプルな接続画面が表示される。接続先は自動で最寄りのVPNサーバーが表示されるが、手動で選ぶこともできる。
VPNサーバーへの接続方法は、中央上にある電源ボタンのマークをクリックするだけ。これだけで接続が開始されるため、迷いようがない。環境やサーバーによっても変わるが、接続にかかる時間は数秒と速い。
無事に接続できると、マークの色が変化。さらに、右下の鍵マークが変化したうえ、IPアドレスも切り替わる。これで、VPNが使えるようになり、より安全にインターネットにアクセスできるようになった。
ちなみに、切断はもう一度電源ボタンのマークをクリックするだけ。これで切断され、VPNは使われなくなる。
なお、接続先のVPNサーバーを手動で選ぶには、VPNサーバーをクリック。すると一覧が表示されるので、国を選んで接続先サーバーをクリックすれば、そのサーバーに接続される。よく使うVPNサーバーは、お気に入りに登録しておくといいだろう。
こんなシーンで! VPN機能を使うのが効果的なシチュエーション
ESETのVPNは高速とはいえ、使わない場合と比べてしまうと、回線の実効速度はどうしても遅くなる。そのため、セキュリティを高める必要がないシーンでは、VPNは使わないほうが快適だ。具体的には、自宅で使う場合や、スマホをキャリア回線で使う場合などだ。
では、VPNはどういったシーンで使うのがいいのだろうか? 具体的な活用シーンを紹介しよう。
・カフェのフリーWi-Fiでの利用
カフェであれば長時間使用しないこともあり、Webサイトの閲覧やSNSの利用がメインだろう。こういったちょっとした利用であれば、そこまで神経質になる必要はない。ただし、オンラインショッピングやネットバンキングを利用するのであれば、話は別だ。こういった重大な個人情報を扱うのであれば、VPNを利用した方が安全性が高まる。
・旅行先、出張先ホテルでの利用
旅行や出張でホテルに宿泊する場合、インターネット利用は長時間になることが多い。また、仕事などで大事なデータを送受信することもあるだけに、基本的にVPNを使う方がいい。とくに海外では、ホテルのインターネット回線を信用しない方が安全だ。
また海外からだと、日本のサービスを利用できないことも多いため、日本のVPNサーバーに接続して使うといいだろう。
・リモートワークのセキュリティ強化
リモートワークであれば、会社側がVPNサーバーを用意しており、そこ接続して利用するというのが基本だろう。そのため、ESETのVPN機能を使う必要はない。会社にVPNが用意されていない場合でも、自宅からアクセスするのであれば回線の安全性が高いため、やはりESETのVPNは使わなくてもそれほど問題ないだろう。必要となるのは自宅外、カフェや出張先のホテル等からアクセスする場合だ。勤務場所を選ばないのがリモートワークのいいところだが、気分を変えてカフェで仕事を……といった場合には、ぜひVPNを活用したい。
・オンラインプライバシーの保護
SNSや掲示板などで、国や地域を特定されたくない場合は、ESETのVPNを活用しよう。またこの逆に、国によって表示が変わるサイトで利用するというのもありだ。
また、セキュリティ強化という側面からではないが、個人で利用するVPNのメリットとしてはこんな使い方もある。例えば世界各国でサービスを展開しているオンラインマーケットプレイス「eBay」であれば、日本への発送をNGとしているセラーは検索結果に表示されないが、VPNで海外サーバーへと接続すれば、その国からのアクセスと認識されるため、検索結果に出るようになる。
ESET V19の新機能でランサムウェア対策が強化
ESET V19ではESET HOME セキュリティ プレミアムでVPN機能が使えるようになったことが大きなトピックだが、これ以外にも新機能の搭載で、さらに高いセキュリティ対策が可能になっている。
中でも、ランサムウェア対策機能には大幅な強化がなされている。従来は、「ランサムウェア保護機能」によりランサムウェアの動作を検知・ブロックするという機能と、「フォルダーガード機能」により、あらかじめ設定したフォルダーには安全なソフトからしかデータにアクセスさせない、という2つの機能が基本だった。
ここにさらに加わったのが、「ランサムウェアの修復機能」。この機能は、ランサムウェアのような怪しい挙動をするプログラムのふるまいを検知すると、自動でファイルをバックアップするというもの。これにより、万が一暗号化され、ファイルが人質に取られてしまったとしても、バックアップされたファイルは元の状態に修復でき、被害を最小限に留めることができる。
これは元々エンタープライズ版に搭載されていた機能だが、V19では、個人向けの最上位モデルであるESET HOME セキュリティ アルティメット V19に追加されている。個人でも法人レベルの安心が得られるようになった意義は大きい。
もうひとつ、直接ESETの新機能というわけではないのだが、V19へのアップデートを機に、ESETの管理ポータルである「ESET HOME」でデバイス管理がより便利になっている。
ESETの保護対象デバイスは、本人の所有に限らず、家族や友人のデバイスも対象にして、ライセンスをシェアできるのが特徴だ。しかし、従来の管理画面では、あくまでデバイス単位での管理しかできず、誰がどのデバイスを使っているのか、分かりにくかった。
新しいESET HOMEでは、メンバー別表示を導入。これにより、メンバーごとに、誰のどのデバイスを保護しているのか、というのが一目で分かるようになっている。
外出先でのインターネット接続を保護してくれるVPN機能が強い!
以前から、ESET HOME セキュリティ アルティメットには搭載されていたVPN機能だが、V19から新たにESET HOME セキュリティ プレミアムでも利用できるようになった。よりVPN機能が身近になり、誰にでも使いやすくなったといえるだろう。
外出先でのインターネット接続、とくにフリーWi-Fiの安全性を高める方法は手段が限られているだけに、通信内容を暗号化してくれるVPNは頼もしい存在だ。しかも、Windows、Mac、Android、iOSと、デバイスを問わず使えるというのもうれしい。
カフェや空港などのフリーWi-Fi、旅行や出張先のホテルでのインターネット接続をより安全に使いたいと思っているなら、ESETのVPN機能を活用するのがおススメだ。
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