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「適正飲酒」っていうけど正しい“適正”とは? 学びに行ったら8種類も飲めたのだが

2025年10月27日 18時00分更新

 このタイトルをクリックしてくださった方はきっと、お酒が好きだから「適正飲酒」について知りたいと思ったのではないでしょうか。わたし、ナベコも毎日の晩酌が好きで好きで。お酒で失ったものもありますが(笑)、それ以上に得たものが多いと信じています。だからこそ、健康に楽しく飲み続けるために「適正飲酒」を意識せねばならない、そんな風に感じています。

声に出して読みたい日本語「適正飲酒(てきせいいんしゅ)」

適量の飲酒ってどれくらい?

 厚生労働省が定義する「節度ある適度な飲酒量」は、1日あたりの純アルコールで約20gとされています。ビール(アルコール分5%)なら500mlに相当します。

純アルコール20gに相当する酒量

 平均とはいえ、日常的に飲む人にとってはなかなかシビアな数字ではないでしょうか。また、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」は、男性で40g以上、女性で20g以上と定義されています。

(参考)
厚生労働省「アルコール」について
サントリー「お酒との正しい付き合い方を考えよう」

 けれど、これはあくまで“目安”の基準といえましょう。体格や性別、年齢、そしてアルコールの分解能力によって適量は人それぞれ。大事なことは、自分の適量を知る・意識することです。

サントリーの「ドリンクスマイル」セミナーに行ってきた

 とはいえ、「自分の適量を知る」と言われてもピンとこない人も多いはず。そこで、サントリーが実施している「ドリンクスマイルセミナー」を体験取材してきました。

サントリーが企業など団体向けに実施している「ドリンクスマイルセミナー」

 このセミナーは、企業や自治体、大学などの団体を対象に、適正飲酒の大切さとお酒の価値を伝えるプログラム。2025年にスタートし、年間3万人の受講を目標としていましたが、すでに9月末の時点で3万4887人が受講し、目標を前倒しで達成したそうです。

 そもそも「適正飲酒」という言葉は、「適量飲酒」とは若干意味合いが異なります。酒類メーカーが使うことの多い表現で、サントリーの場合は“お酒をたしなむ文化”を大切にしながら、「お酒を飲む人も飲まない人も幸せになれる」ことを目的とした啓発活動の一環として、この言葉を用いています。

普段はサントリー武蔵野工場で見学インストラクターを務めているスタッフの方が、進行を担当してくれました

 約60分のセミナーは動画を中心に進行。冒頭では、サントリーが考えるお酒の文化的価値が紹介されます。ビールの起源は紀元前4000年ごろ、メソポタミアで偶然発酵した麦粥から生まれたという説など、歴史的な背景にも触れながら、“お酒は人と人をつなぐ文化”であることが語られました。

サントリーのノンアル「ザ・ベゼルズ」でカンパイ

なぜ人は酒に酔うの?

 次に「酔うとは何か」というテーマ。飲んだアルコールは胃や小腸で吸収され、血液を通じて全身に運ばれます。血中アルコール濃度が上がると脳の働きが抑えられ、いわゆる“酔った”状態に。酔いの程度は軽度に酔った爽快期から、起き上がれない昏睡期まで6段階に分けられます。

 アルコールは肝臓で分解され、「アセトアルデヒド」という物質に変化します。これは顔が赤くなったり、頭痛を引き起こしたりする原因物質。このアセトアルデヒドを分解する酵素(ALDH)の働きには個人差があり、それがお酒の強い・弱いを分ける要員だそうです。

世界的にみても日本人はアルコールに弱い人の割合が多いです

 日本人の場合、お酒に弱い人が約40%、まったく飲めない人が約4%、強い人が約55%。欧米人と比べて“お酒に弱い体質”の割合が高いのは遺伝的な特徴で、後天的には変えられません。

 セミナーでは、健康的にお酒を楽しむための5つのポイントが紹介されました。

1・やわらぎ水を一緒に飲む
2・空腹で飲まない
3・お酒は計画的に。飲む量や帰宅時間を決めておく
4・飲酒量を把握する。純アルコール量を意識
5・週2日は休肝日を設ける

 「飲む前に飲む量を決めておく」は、シンプルながら実践が難しいポイント。楽しくなってつい飲みすぎてしまう自分への戒めにもなりました。ちなみに、わたしは休肝日を週1日しか設けていないので、ギクリとしました……。

 セミナーでは、自分のアルコール体質を調べる簡易テストも体験。ジェルパッチを腕に貼り、20分後の肌の色で体質を判定します。赤く反応する人ほどアルコール分解が苦手。私はというと、反応ほぼなしで「飲めるけれど、油断は禁物の“危ない族”」との結果に。納得です。つい飲み過ぎちゃう。

色が明確に変わらなかったので、お酒が飲めるからこその“危ない族”でした

 また、おもしろい話として、縄文人はお酒に強い遺伝子を持ち、弥生人は弱い遺伝子を持っていたという説も紹介されました。お酒の強さにまで歴史のロマンを感じますね。

まさかの8種類(お酒+ノンアル)が飲めた!

 そして驚いたのが、プログラムの一環である「酒の価値体験」パート。なんと、サントリーのビールや缶チューハイ、ノンアル含め8種類のテイスティングが登場。もちろん少量ずつですが、しっかり飲み比べを楽しめました。

え、飲んでいいんですか?

 今回は「多様性を知るコース」。価値体験パートでは、他にも「神泡を知るコース」「こだわりを知るコース(山崎蒸溜所AR体験)」があり、選べるそうです。まさか“飲める適正飲酒セミナー”とは思わず、嬉しい驚きでした。チームでお気に入りの1本を選んでディスカッションする時間もあり、隣の人と話したり、わちゃわちゃとしたムードになりましたよ。

みんなで飲むとおいしいですよね

無理せず、無理させずに、お酒を楽しむこと

 サントリーのセミナーでは、さらに任意視聴で「酒席マナー」動画も用意されており、若手・中堅・全年代向けと段階的に学べる内容です。単に「飲みすぎるな」と説教するのではなく、“お酒を楽しむ力”を育てる構成が印象的でした。

お酒クイズもおもろしかったです

 セミナーを終えて感じたのは、結局のところ「適正飲酒」とは“自分を知ること”に尽きるのかなと。そして、一緒に飲む人と気持ちよく過ごせるように思いやることも大切です。自分だけが楽しんでも、本当の意味での幸せな時間にはなりません。

 1日あたりの純アルコール量を意識しつつも、無理のない飲み方、体調に合わせた飲み方を心がけたいものです。
 

ナベコ

アスキーグルメの酒好きご飯好きの記者・編集者。人生酸いも甘いも。七味唐辛子は薬研堀を愛用。
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