第295回
「kintoneを大学の業務の共通言語にしたい」から「日本全国、kintoneで大学DX!」へ
全職員の6割がkintoneを利用する関西外国語大学 背景に待ったなしの大学DX
2025年10月16日 09時00分更新
メインシステムから外れた手作業の業務をkintone化
そんな山本氏の熱い想いを受けて、立ち上がったのが教務課(留学生別科)の仲井氏だ。留学生の管理はメインシステムから外れた多くの業務があり、アナログな業務プロセス、データの散在、タイトな業務スケジュールなどで、多大な時間とエネルギーを消費していたという。
そんなときに聞いたのが、山本氏の「kintone説明会しまーす!」の声。電車の広告で刷り込まれていた仲井氏は一も二もなく、説明会に参加。山本氏からのサポートを受け、導入から約半年で8個のアプリを作ることに成功したという。コンセプトは「三方よし」で、先生、学生、職員がみんなハッピーになることだ。
その1つが留学生の成績管理であるAcademic Warning管理。今までは日本人向けのシステムから外れていたため、Word、PDF、メールなどを使って手作業で行なっていた。これら教員からの資料提出、職員の情報確認・追加、学生・アドバイザーへの連絡、PDFの管理や他部署への連絡など一連の業務をkintoneにすべて集約することができたという。
導入6ヶ月で作成したアプリは、Academic Warning管理のようにうまくいったアプリもあれば、うまくいかなかったアプリ、バージョンアップを試しているアプリもある。「まずリリースしてみて、使ってみて直すことも簡単にできる。これもkintoneのいいところだと思っています」と仲井氏は語る。
なぜ短期間にここまでできるようになったのか? まずはkintoneを知り、いっしょに伴走してくれるという山本氏の存在が大きかった。「電話したらすぐに相談に乗ってくれるし、すぐに足を運んでくれるし、声をかけてくれました」と仲井氏。なにより、大学全体が業務や教育のDXに積極的で、チャレンジしやすい環境が整っていたのも大きかった。「学習環境、サポート体制、学内の上長・同僚などの理解、3つ揃ったからこそ、大学内にkintoneが浸透したのではないかと思います」と仲井氏は語る。
関西外国語大学では、kintoneを使って業務改善にチャレンジする仲井氏のような職員が何人も現れたという。そこで山本氏はがんばっている人が同じ学内にいることを知ってもらうための舞台として、関西外国語大学版のkintone hiveとも言える学内事例発表会を企画した。各部の代表者の発表に対して、サイボウズ、トヨクモ、富士フイルムビジネスイノベーションジャパンが講評を加えたことで、大いに励みになったという。
導入後、半年後の効果測定では、8部署で合計2837時間(見込みも含む)の業務時間の削減効果が得られたという。山本氏は、同じような基幹システム、同じように基幹から漏れる業務をkintoneでカバーする「日本全国、kintoneで大学DX!」をアピールし、kintone hive 2025 osaka最後の事例登壇を締めた。
そして、kintone hive 2025 osakaの最後には、参加者の投票を経て、近畿地区の代表が発表された。7組の登壇者の中で最も支持を集めたのは……アースセキュリティの中西 さやか氏だ(関連記事:kintoneを使ってもらうことはあきらめた でも、年間1500時間も業務時間は減った)。中西氏は、10月28日に幕張メッセで開催されるCybozu Daysのkintone AWARDに出場予定だ。
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