第21回
偽のECサイトで金銭と個人情報を盗み取る
ニセ「ラブブ」詐欺がアメリカで多発! TikTokの広告やライブ配信で煽る手口も
2025年09月29日 19時00分更新
ラブブ人気にあやかった詐欺が横行
大阪・関西万博の閉幕まで半月あまり。2025年に入ってからはチケットを求める人たちを狙ったフィッシング詐欺が目立っていましたが、ここにきてマスコットキャラ「ミャクミャク」のグッズ販売店に見せかけた偽Webサイトも複数発見されているようです。
このように悪意ある人たちは世間の流行を嗅ぎつけて巧みに詐欺のタネを作り出しますが、それは海外でも同様のようです。マカフィーの発表によると、ぬいぐるみブランド「ラブブ」を使った詐欺がアメリカで多発しているとのこと。
ラブブとは、中国のポップマート社が展開しているぬいぐるみ商品。アメリカをはじめ、世界各地で人気を博しています。キャラクター性に加えて、無数のバリエーションが存在するため箱を開けるまでどれが入っているかわからないという、ガチャ的な要素もファンを熱くさせています。
マカフィー曰く、「需要が過熱しているレアなシークレット版などは数千ドルで転売されるほど。ファンは正規のラブブを手に入れるためにポップマートの店舗で何時間も行列に並び、海外にまで足を運んでいます」。
偽ECサイトを繰り返し立ち上げて騙す
こうした熱狂を嗅ぎつけて、悪意ある人たちは詐欺サイトを次々と立ち上げたようで、米商業改善協会には、模造品を買わされたり、ECサイトから商品が届かなかったりといった報告がすでに76件も寄せられているようです。
仕組みは単純で、偽のECサイトを構築したあとTikTokやInstagramにラブブのレア商品を販売する旨の広告を打ちます。その広告に釣られて偽ECサイトに支払い情報を入力すると模造品が届く、あるいは何も届かないといった被害が発生します。ファンたちが購入したい一心で入力した個人情報や金銭はそのまま盗み取られ、苦情が増えると偽ECサイトごと姿をくらます、というわけです。
冒頭の万博マスコットキャラに伴うトラブルでも同じような手法が使われており、需要がある限り何度でも新しい偽ECサイトを立ち上げて繰り返す特徴があります。
常識的に考えよう
こうした詐欺への対策は、まず冷静になることです。熱狂の渦に巻き込まれている最中とはいえ、「入手困難なレア商品をそう簡単に購入できるはずがない」という当たり前の認識を忘れてはいけません。
また、公式の販売チャネル(ポップマート公式、認証済みのアマゾン公式ストア)以外で買わない、と決めることも安全な立ち振る舞いと言えます。
こうしたトラブルを受け、マカフィーは偽Webサイトにおける注意点として以下を挙げています。
・正規価格(ラブブ正規品は20~30ドル)を大幅に下回る価格設定
・正規ブランド名をわずかに書き間違ったドメイン名
・確認できる問い合わせ先やお客様対応窓口が存在しない
・公式のポップマートブランドやライセンスの情報が記載されていない
・会社情報が適切に記されていない形式的な注文確認メール
また、あり得ない価格を掲示する広告や、希少性をうたってカウントダウンを繰り返すTikTokのライブ配信および公式と誤認させるためのQRコード(誘導先は当然偽Webサイト)、そして個人間送金アプリでの支払い要求などは、注目すべき詐欺の警告サインです。
この手の詐欺は人気商品全般で起こるため、あなたも無関係ではいられません。たとえば新型コロナが感染拡大したときはマスクや検査キット、果てはワクチンそのものを入手できると宣伝する偽Webサイトがいくつも登場しました。家族の安全に直結するような場合でも、冷静で常識的な判断が重要になるのです。
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