「アームスリーブ」は何のためにあるの?
ミズノに聞きました「eスポーツのユニフォームって、普通の服と何が違うんですか?」
2025年09月25日 16時27分更新
eスポーツのプロが着るユニフォームは
他のスポーツでも使えるレベルの快適さ
「eスポーツ」という言葉が普及しつつあり、テレビやネットメディアにプロのゲームプレイヤーが出演することもめずらしくない昨今。そんな時代に、気になっていることがありました。
「プロのゲームプレイヤーってユニフォームを着ているけど、あれって、普通の服と何が違うのかな?」。これです。スポーツウェアのように見えるけど、素材や縫製に特別なポイントがあるのか、ないのか……。
9月25日〜28日、千葉・幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2025にて、eスポーツ日本代表が着用する予定のウェアを手がけるミズノのブースを発見。さっそく、担当の方に聞いてきました。
ミズノのブースに展示されていた人形。「eスポーツのプロ選手が着ているウェア」って、まさにこんなイメージですよね
——こんにちは。単刀直入にうかがいますが、このeスポーツのユニフォームって、普通の服と何が違うんですか?
ミズノの担当スタッフ(以下、ミズノ) はい。実はこちらのウェア、「eスポーツ専用に開発された素材」などを使用しているわけではないんです。
——あっ、そうなんですね。でも、通気性などはよさそうに見えますけど。
ミズノ そうです。素材自体は他のスポーツウェアと同じく、通気性や速乾性、伸縮性にすぐれたものを使っています。もちろん、裁断や縫製などにも動きやすいような工夫があります。「他のスポーツでも問題なく使えるウェア」といえばよいでしょうか。
スポーツ用品に長年携わってきたミズノならではの高機能素材を使用しています
——ほほー。eスポーツ専用というわけではないといえども、スポーツウェアを長年手がけてきたミズノのノウハウが詰まっている、快適にゲームができるウェアなんですね。
アームスリーブの縫い目の位置さえも
ミズノならではのこだわりがある!
——ところで、このブース、ユニフォーム以外にも展示されているものがありますが……。
ミズノ ご紹介しますね。まず、こちらはアームスリーブです。
アームスリーブ。プロの選手が着けているのを見たことはあるけど、何のために……?
——あっ、プロが着けているのを見たことある! これって、どういう効果があるんですか?
ミズノ 「汗が垂れない」ことが大きいですね。机や、椅子のアームレストなどに腕を置いて長時間プレーしていても、気にならないんです。
長時間、マウスを操作しても汗が垂れてこない。大会では室温はもちろん、緊張による発汗も操作に影響を与えることがあるでしょう
——なるほど。わずかなミスが敗北につながりかねないeスポーツなら、ちょっとでも違和感を覚える状況になることは防ぎたいもんなあ……。
ミズノ このアームスリーブでいえば、シーム(縫い目)の場所もこだわりですね。腕を回すとわかるんですが、上側にも下側にもシームが来ません。周りから見えにくい、内側の下部分に来ます。
一見、アームスリーブの下側にシームが来るように見えますが……
腕を回すとこの通り、内側というか、「絶妙に見えない位置」にシームが来ます
——腕の下側に生地を縫い合わせる部分が来ると、マウスパッドなどに擦れて気になる……みたいなリスクがあるのはわかります。でも、上側に来ない理由は?
ミズノ eスポーツの大会では、手元がカメラに抜かれる可能性があります。この位置なら手元がアップになっても、アームスリーブに印刷されたグラフィックやロゴなどにシームが重ならないので、見た目がよいですよね。
——おお、本当だ! さすがミズノ、「スポーツの大会中にアップで抜かれる」ことも考えているとは……。こちらの「フィンガースリーブ」はなんでしょうか?
フィンガースリーブ。モバイルゲーム用のため、画面にタッチして操作できるカーボン導電繊維を採用
ミズノ これはスマートフォンやタブレットなど、モバイルゲームでのプレイを快適にするものです。伸縮性はもちろん、ラグがあっては困りますから、素材の通電性にも気を配っています。
——とことん、プレイヤーのことを考えているんですね。
eスポーツも“スポーツ”だから
ミズノは現場の声に耳を傾ける
ミズノはeスポーツに本気。「ストリートファイター6」のコラボなども予定しているという
ミズノ 弊社では2025年から、本格的にeスポーツ用のアイテムを開発しています。本日ご紹介したアイテムも、プロのゲームプレイヤーの方々に使用していただいて、フィードバックをもとに改良していく予定です。
——やっぱり、現場の声は大切なんでしょうか。
ミズノ 我々はスポーツメーカーですから、「スポーツの現場から見たら、こういうものが必要じゃないか?」と思って開発しています。とはいえ、他のスポーツでは感じにくいけれども、eスポーツの現場では目立ってくるような困りごと、あるいは「こうなったらうれしい」というポイントもあるはずです。その点を改良して、よりよいものを作っていければと思います。
eスポーツ界の必須アイテム、ゲーミングチェアもミズノは開発しています
レバーレスコントローラーも出品されていた。こういったアイテムも、現場からのフィードバックで改良されていくのでしょう
——eスポーツではコントローラーやマウスパッドなどは話題になりやすい一方、こういった身に付けるアイテムはあまり注目されない印象です。
ミズノ はい。それでも“スポーツ”である以上、選手たち、あるいはプロを目指す人たちの「困ったこと、悩んでいること」はあると思うんです。それを我々のウェアやアイテムで解決できるように、これからも努力を重ねていきたいですね。
ちなみに、ディスプレーされていた人形が履いていたのはミズノのスニーカーでした。ですよね〜
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります
