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「Tokyo ものづくり Movement」で最優秀賞を受賞 いよいよ商品化

おしゃれしているときこそ付けてほしい 「Yolni」は持ち歩きたい防犯アクセサリー

2025年10月03日 15時30分更新

 現在、クラウドファンディングで販売中の「Yolni(ヨルニ)」はスマートフォンと連携する防犯アクセサリー。アクセサリーとしての美しさとシンプルな操作性を両立している。「おしゃれしているときこそ付けてほしい」と語るYolniの矢島 佳澄さんに話を聞いた。

夜道が気になる女性だけでなく、男性や高齢者にも「安全を」

 「夜道の安全に」を掲げるYolniはバッグチャームなどとして使える防犯アクセサリー。iPhoneとBluetoothで連携し、デバイスを握るとiPhoneから着信音が鳴り、ピンを引き抜くと、位置情報がLINEで通知される。シンプルな使い勝手で、いざというときに迅速にアクションを起こせる。「着信音を鳴らして、電話をかけるふりをして逃げることもできます。事故を未然に防ぐために役立つはず」と矢島さんは語る。

「夜道を安全に」を掲げる防犯アクセサリー「Yolni」

 想定するユーザーは痴漢やストーカーなどに対策したい若い女性。「夜道が不安な女性、見守りケータイを卒業した方に持ってほしいです」と語る。見守りケータイと異なり、ピンは押し込んだ状態では、位置情報は通知されないので、プライバシーにも配慮されている。

 子供や男性、高齢者などでもYolniの利用価値は高い。「世界的に見ると、性被害の1割は男性。実際にヒアリングすると、男性からのニーズも多かった。健康に不安がある方も、いざというとき、家族にSOSを送ることができます」とのこと。シンプルな操作性で、老若男女で幅広く利用できるのが、Yolniの特徴だ。

おしゃれしているときも持ち運べる防犯ブザー

 Yolniの特徴は、ブランドバッグに付けても違和感のないデザインだ。同じコンセプトを持った防犯ブザーは数あれど、アクセサリーとしてのデザイン性に欠けていた。「今まで防犯ブザーをなぜ持ちたくなかったのか?を考えたら、おしゃれじゃなかったから。ネコちゃんやチョコレートの形はあるけど、ブランドバッグには付けにくかった」と矢島さんは語る。

ブランドバックに付けても似合う

 その点、Yolniはアルミ削り出しのボディに、空をテーマにした5色のサーフェス。「慣れないドレスやかかとの高い靴などをはいて、一番おしゃれしているときこそ危ないので、ぜひ持ち歩いてほしい」と矢島さん。「しっぽコール」というファーを握る形や、香水瓶や勾玉などさまざまな形を試作した結果、このデザインに落ち着いたという。

 ジェンダーレスを意識した青、紫、オレンジ、黄色、紫という5色のカラバリも魅力の1つ。「アクセサリーとして利用するのであれば、自分の推しカラーを選べた方がいい」とのことで、当初3色だったが、黄色と紫を増やした。それぞれには「ブルーモーメント」「トワイライト」「サンセット」「フルムーン」「ミルキーウェイ」と空の名前が付与されている。「学校の授業で聞いてみたら、今の世代はアナ雪世代なので、ピンクよりも紫の方が人気」(矢島さん)とのことだ。

5色展開のYolni

開発に9年の歳月 コロナ渦の半導体不足を乗り越え、いよいよクラファンへ

 Yolniの開発は9年前にスタート。きっかけは、電子工作が得意な矢島さんとYolni現代表の奥出えりかさんが、ものづくり系のコンテストを見て、「防犯ブザーって形がかわってないから、3G回線のボードでつくったら面白そう」と考えたことだ。

Yolniのハードウェア担当 矢島佳澄さん

 コンテストはイメージCGの提出が必要だったが、いきなりプロトタイプを持ち込んだところ、めでたくファイナリストに選ばれたという。ニーズの高さを感じ取った2人は、個人会社とダブルワークをこなしながら、商品化をスタート。奥出さんがディレクター、矢島さんがハードウェアを担当し、その他ソフトウェア、デザイナーの4人でYolniの商品化を進めたという。

 当初はモノづくりの聖地であるDMM.make AKIBAで商品開発を行ない、アクセラレーションプログラムにも入った。最大の課題はやはり量産化。「もともと一点ものの電子工作を受託開発していたのですが、量産は始めて。一点ものの受託開発と異なり、100台作ったら、すべて同じように動き続けなければならないので、DMM.Akibaの方々からイチから教えてもらいました」と矢島さんは振り返る。

 基本的な形状は4~5年前には決まっていたが、商品化のために静電気対策や回路設計の変更などが必要だった。「コロナ禍は半導体不足で試作品ができなかったのは大変でした。BLEボードも5製品くらい試しました」と試行錯誤の毎日だった。特にレザーブランド「FABRIK」社とのコラボで作り上げた革製ストラップの開発には2年かけているとのこと。「レザークラフトの経験もなかったため、大変でした」と矢島さんは振り返る。

ストラップを外さずに電池交換できる

 ハードウェアスタートアップも冬の時代に突入したが、2023年には「Tokyo ものづくり Movement」のコンペで最優秀賞を受賞。賞金を元に2023年にYolniを法人化し、先頃ようやく商品化にまでこぎ着けた。現在は2025年10月末までグリーンファンディングでクラウドファンディングを実施中。来週開催される 「Maker Faire Tokyo 2025」や蔦屋家電、東京有楽町のTokyo Innovation Baseショップなどで現物を見ることができるという。

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